タイトルの先頭に★が付いた話は彩音視點になります。

佑真と彩音、それぞれのストーリーを楽しんでいただけたら幸いです。

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私、星月彩音は今日から高校生になります。

靜岡県にある実家からゆうにぃの住む東京まで遙々やってきて、まだ右も左も分からないままの生活だけどゆうにぃには迷を掛けたくないし頑張ろうと思う。

ピカピカのセーラー服に著替えて外に出る。今は新鮮な気持ちだけどこれからは當たり前の日常になるんだよね。

そんな事を考えながら綺麗に整備された歩道を通り、最寄り駅に到著。

ホームの端で電車を待つ。

ゆうにぃが「癡漢とか危ないから朝と夜は専用車に乗れ」と出掛ける前に散々言っていた。別に大丈夫だと思うけど、ゆうにぃが私を心配してくれている事が凄く嬉しかった。

満員電車に揺られ、駅から學校まではまたしても徒歩での移。

どこに行っても人が多いし正直気分が悪い。でもゆうにぃと一緒に暮らす為には避けて通れない道だし頑張らなくちゃ。田舎者って思われるのも嫌だし。

學校の校舎前にある広場に著くと私と同じ制服を著た人達が沢山いた。集合時間はまだ先だけど皆時間に余裕を持ってくるんだね。

見渡す限り知らない人。でもこの中に將來の友達がいるのだろうと思うと心が躍った。先程の気持ち悪さもどこかへ吹っ飛んだようだ。

その場でしばらく待っていると校放送が響き渡った。式が始まるから育館へ移してほしいとのことだ。段々と歩を進める生徒達を見て、私も流れに合わせて歩き出す。

すると背後からの子のび聲が聞こえた。

「すぅみませぇーん！」

思わず振り返る。

私と同じ新生とみられる子がこちらに向かって走ってきた。

彼は私の前で立ち止まり、ぜいぜいと息切れを起こしていた。

「はぁ、はぁ……。あの……まだ學式始まってない？」

「えっと……ちょうどこれから始まるとこ……ですけど」

私が答えるとの子は頬を緩めながら

「良かった……。初日から遅刻とかマジ黒歴史って思ったけどなんとか救われたよ！」

「そっか。ギリギリセーフ、ですけどね」

「だよねー。ってかあなたも新生でしょ？　タメでいいよ全然！」

「あ、うん。ありがと」

の子ははにかんだ笑顔をみせる。

彼は濃いめの茶髪で長いポニーテールをしており、長は私より頭一つ分高い。第一印象はズバリ元気なお姉さんってじだ。

「それよりもう始まるんだよね？　ウチ達も早く移しないと遅刻しちゃう！」

「そうだね。じゃあ行こっか」

私の聲掛けにの子は元気良く頷いた。

彼は水窪みさくぼ遙香はるかという名前だそうだ。一緒のクラスになるといいなぁ。

◆

退屈だった式を終え、待ちに待ったクラス発表の時間。

先程のの子、遙香ちゃんと一緒にり出された名簿から自分の名前を探していると、なんと私達は同じクラスである事が分かった。

「彩ちゃん同じだよー！　やったー！」

「うん、良かった。私、知ってる人他に誰もいないから安心したよ……」

いつの間にか遙香ちゃんは私を彩ちゃんと呼んでいる。會話のノリも軽く、約一時間前に初めて顔を合わせた間柄とは思えないくらいだ。

「ウチも一人だったし、彩ちゃんと一緒で良かった！」

「うんうん！」

初日から友達もできて、高校生活のスタートとしては完璧だろう。

高鳴るをなんとか抑える私だったが、遙香ちゃんはそんな私をじっと見つめていた。あれ、何か私変な風に見えちゃったかな？

「彩ちゃんって…………めっちゃ可いね！」

「えぇ！？」

いきなり何！？

お世辭なのかな？　こういう時ってどう答えればいいんだろう……。

「最初に見た時も可いなぁって思ったけどよく見るとヤバいね！　ちっちゃくて細いし……羨ましいなぁ」

「いや、うん……あはは」

私は想笑いを浮かべるのが一杯だった。

だってこんな率直に、しかも初対面の人に可いだなんて言われたこと無かったもん。ゆうにぃでさえ言ってくれないし……。

それに遙香ちゃんの方が私よりもずっと可いと思う。は結構ありそうだし腳も長いしモデルのような型だし……。

「ねぇ、頭でていい？」

「え！？　う、うん、いいけど……」

今度は私にるの！？

驚く私をよそに遙香ちゃんは嬉しそうに微笑みながら手を私の頭に乗せて、さらさらと前後にかした。

はとてもらかくて心地良かった。だけどゆうにぃにでられた時のあのがドキドキする覚は無かった。まあ、當たり前だよね。

顔を上げて遙香ちゃんの表を伺うと彼は幸せの頂點に達したような最高の笑顔をしていた。口元は緩んでおり、涎よだれが垂れそうで心配になってしまう。

頭をでるのってそんなに気持ち良いのかな。今度ゆうにぃで試してみよっと。

「これからよろしくね、彩ちゃん！」

「うん。こちらこそ……よろしく」

ちょっぴり奇妙だけど元気溢れる友達ができました。