高校生活が始まって二日目。

四限目が終わり、初めての晝休みが始まる。

この一時間をどうやって過ごそうか、誰に話し掛けようかと周りをキョロキョロと見回す者が多く、教室は妙な張に包まれていた。

私も自分で作ったお弁當を手にしながらソワソワしていたが、すぐに橫から聲が掛かった。

「彩ちゃん、一緒に食べよ？」

「うん！」

気さくだけどし不思議なクラスメイト、遙香ちゃんがから晝食のおいだ。手にはコンビニの白い袋を提げている。買い弁なのかな？

「うーん。他にも誰かいたいねー」

「そうだね……」

周囲を見渡してみる。やはり既にグループを作って集まっている者や仲間を探している者が大多數を占めていた。

だがひとりだけ窓際の機に座り、黙々と弁當を食べるの子がいた。それはまるで群れを拒む一匹狼のよう。

私はそんな彼に視線を向けていた。すると遙香ちゃんも同じ方向を見ていたようで、すたすたとの子の近くに駆け寄っていった。

「ねぇ、一緒にご飯食べない？　一人じゃ寂しいでしょ？」

「…………」

遙香ちゃんのいにの子は目を合わせたが、言葉は何一つ発しなかった。

きっとの子は迷がっているのだろう。一人が寂しい訳ではなく、一人で行したいと考える人も多くいるのだから。

「遙香ちゃん、今日は私達だけで食べようよ」

「うーん、この子も凄く可いからいたかったんだけど……」

ぶつぶつと不満をこぼす遙香ちゃんを橫目に私はの子にお詫びを口にする。

「ごめんね、急に話し掛けちゃって。確か……小豆餅あずきもちさんだっけ？　私は星月彩音、これからよろしくね！」

午前中に行った自己紹介で彼の名前はうっすらと覚えていた。黒髪のおかっぱ頭で長は私と同じくらい。話す聲は小さく、大人しい子だなという印象を持っていた。

「…………謝らないでいい。私は小豆餅舞緒まお。こちらこそ……よろしく」

の子は頬を赤くして恥ずかしそうに言った。

「小豆餅！？　味しそうな苗字！　しかもめっちゃ可いし全部食べちゃいたいくらいだよ！」

「星月さん…………この人、怖いんだけど……」

「あはは……。なんかごめんね」

私は苦笑いしか返すことができなかった。遙香ちゃん、早速嫌われちゃったかな？

「えぇなんで！？　全然怖くないよ！　ほら、ウチの所においで！」

「星月さん……この人何とかして」

「ごめんね、後で言っておくから……。あと私の事は彩音って呼んでいいよ！」

「分かった、彩音……。私も…………舞緒って呼んで……いい……」

「うん！　ありがとう、舞緒ちゃん！」

笑顔で答えると舞緒ちゃんの顔は更に赤く染め上がった。照れちゃったのだろうか。

「ちょっとちょっと小豆餅ちゃん！　何で彩ちゃんとだけ仲良くするのー？　ウチとも仲良くしよーよー」

「彩音……。一緒に……ご飯、食べよう……」

「うん、もちろん！」

「じゃあウチもー」

すると舞緒ちゃんの目のが急に冷たくなった。

「…………彩音は……足速い？」

「えぇ！？　ま、まぁ普通くらいかな？」

「なら私が手を引けばなんとかなる……はず。追っ手から逃れる……唯一の方法。こう見えて私……走るの、得意だから……」

「ちょっと待って！　そんなにウチとご飯食べたくないの！？」

舞緒ちゃんと遙香ちゃん、仲良くなるといいなぁ。