《人違いで異世界に召喚されたが、その後ハーレム狀態になった件》第26話 神を一人発見した件

「あたいの名前はリノ。今は迷子の神様なのだ!」

そう名乗ったのは、俺の目の前でふわふわと宙に浮く1人のだった。

「………」

俺は驚きのあまり聲が出なかった。両目を開き、ポカンと口を開けている。

と、俺の表を見ていたリノが、ケラケラと笑い始めた。

「どうしたのだ?そんなアホ面して」

挑発するような憎たらしい笑顔で言ってくるリノ。

普通に見たら、無邪気なとても可の子という認識だろう。

………そう、普通に見たら、だ。

俺は見てしまった。目の前で、スライムの大群を一瞬にして消し去るところを。

「………」

俺は、意識してなくても、が自然と震えていた。

俺の頬ほほを冷たい汗が伝う。

逃げたい。逃げ出したい。だが、恐怖で足がこうとしてくれない。

「……?お前、どうして震えてるのだ?」

リノがキョトンとした顔で首を傾げている。俺が怖がっている理由が分からないようだった。

「……リノ?」

「!?」

俺は、聲のした方向に顔だけ向ける。

……こいつの存在を知っている!?

「あ!リーナじゃないカ!久しぶりなのだ〜!」

リノが嬉しそうに笑顔で聲の主に手を振る。

そう、聲の主は、リーナだった。

「リーナ……お前、こいつのこと知ってるのか……?」

俺は、直させたままリーナに問う。

すると、リーナは人差し指を立て、その人差し指を左右に振りながら言った。

「知ってるも何も、同僚だから」

「同僚……?」

「そう!あたいとリーナは同じ仕事場で同僚だったのだ!」

リノが、えっへんと両腕を組みながら言ってくる。

……そうか、ようやく理解した。

こいつ、リーナが言ってた、探し出してほしい神々8人の中の1人だ。

それを知った瞬間、俺は安堵にを下ろした。

……よかった。敵じゃない。

ようやくき出した足で、リノの元へ歩いて行った。

「俺の名前は寺尾翔太だ。翔太って呼んでくれて良いから、よろしくな」

俺はリノに握手を求めるよう手を差し出した。

すると、リノは俺の手をガシッと握った。

「よろしくなのだ!翔太!」

ふう、ようやく一段落ひとだんらくついたってとこかな。

俺はこれまでの張が噓のように解け、大きな安心を得た。

ツンツン。

「……ん?」

突然、俺は誰かに背後から指で背中をつんつんされた。

「……私たち、完全に置き去りなんですけど……」

見ると、俺をつんつんしたのはルイだった。隣にはシリアもいる。

……そう言えば、こいつら置いてけぼりだったな。

「悪い悪い、ごめんな!」

清々しいほどの笑顔で謝罪した。

ルイとシリアが揃って頬を膨らます。可い。

よし、またしても死にかけた俺だったが、とりあえずクエストは達した訳だし。

俺は四人に向き直った。

「んじゃま、とりあえず街に帰りますか!」

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