駅を出てすぐに現れた目の前の景に、俺は驚き、目を見張った。

「…………すげえ」

小さく呟くように、ポツリと聲がれる。

チラと隣に視線を向ければ、ルイが俺と同じように、目の前の景に釘付けになっていた。

俺はもう一度目線を前にむける。

その景は、なんとも信じ難いものだった。

驚いて目を見張っていた、ではないな。どちらかと言うなら、見惚れていた・・・・・・、と言うのが正しいだろう。

さて、そろそろ読者の皆にも、この景がどんななのか説明しなきゃな。

一言で表すなら、｢幻想的｣だ。

辺り一面は赤や黃の花々が綺麗に咲き誇っており、キラキラと輝く日差しが、その花々を煌々と輝かせる。

暖かく、気な風が俺たちの間を抜けていき、花びらがふわりと宙に舞った。

見渡す限り建らしいものはなく、綺麗に舗裝された一筋の道が、奧の方へ続いている。

「…………綺麗だね！お兄ちゃん！」

「ああ、そうだな」

街ひとつ移するだけでこんなにも景って変わるもんなのか。すごいな。

「は、早く先に行ってみましょう！」

「そうね、それにはあたしも同意だわ」

「あたいも先が気になるのだ！」

みんな、人目で分かるほどにテンションが上がっている。

うん、まあ俺も含めてな。

「うし！そうと決まったら早く行こうぜ！」

綺麗に咲き並んでいる花を踏まないように、そうっと舗裝された道を歩く。

俺のあとを、ルイたちが著いてくる形で、俺たちは先へ向かった。

〜ハイカラ街〜

「…………おお、こりゃすごい」

今俺たちは、とある建の目の前にいる。

ここに辿り著くまでに、俺たちはあの一筋の道を歩いて10分もの時間がかかった。

歩いてる途中も、見渡す限り見えるのは花、花、花。

正直、もう建なんか無いんじゃないかと思い始めた時、奧の方に建らしきを見つけて、駆け寄ってきたところである。

「こんな建、見たことありません」

「あたいもなのだ！」

ルイとリノが、キラキラした目で目の前の建を見つめている。

俺も、この建に釘付けになっていた。

この建は、京都とかで見ることが出來る、昔ながらの和風建築の家だった。

とは言え、大きさは普通と比べて桁違い。

大きいというのは、建の高さではなく、その周りにある広大な庭だ。

実際、目の前の門を抜けた先に見える建まで、十メートル程の距離がある。

この家は柵で囲われているが、大人がまたげばれるくらいで、中が完全に見えるようになっていた。

……てか、これ柵で囲ってる意味ある？

まあそれはさておき、この家はとにかく豪邸であった。

「……うーん、この街のことを知りたいし、この家の人に聞いてみるしかないかなあ」

「そうですね、そうしましょう」

出口であろう目の前の門には、インターホンらしきは見當たらなかったため、十メートル先に建つ建目がけて、俺はこの家の住人を呼ぶべく、大きく聲を張り上げた。

「すみませーーん！！誰かいませんかーーー！！」

大きく張り上げた聲は、家の住民に屆いたらしい。ガチャりと音をたて、建の扉が開かれた。

中から出てきたのは、十二単じゅうにひとえにを包んだ、黒髪の小柄なの子だった。