《俺の周りのは全員なんだが必ず何か重大な欠點がある!》23話 勇者の格は最低のようです!
 さてさて俺は今武道場にいるのだが……
 「これ武道場というより闘技場だろ! しかもなんか観客らしきものもいるし!」
 「ははは。 シュン君は本當にいいリアクションをするな!」
 この王いつか絶対に殺してやる!
 「さて君が僕の対戦相手のええと……」
 「俊だよ! お前と同じこの世界に召喚された人間だよ!」
 「そうなのかい? そうか。 それじゃあ君が神様が言っていた人なんだね」
 「神の奴は俺の事をなんて言ってたんだ?」
 「この世界のはすべて自分のにするとか言っている魔人だと僕は聞いているよ」
 「俺は斷じてそんなこと言っていない!」
 まあ、 ハーレムを作りたいと言っているからあながち間違いでもない気がするんだがな。
 
 「話が変わるんだけど一つ君にお願いがあるんだけどいいかな?」
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 「なんだ?」
 「君が連れていたあの銀髪のと黒髪の。 もし僕が君との勝負に勝ったら僕にくれないか?」
 奴はさわやかな笑顔で俺にそう言ってきた。
 「よし! わかった! 今から俺はお前に対して全力で負けようとする! だからなんとしてもお前は俺に勝て!」
 「ええ! 普通ここは嫌がるところじゃないのかい!」
 「そんなわけあるか! 俺が一あいつらのせいで今までどんな目にあってきたことか……」
 
 全くこいつがまさかあいつらの事を好きになるとは予想外だったが嬉しい誤算だ。
 まあ負けるとクリスさんをあいつにとられるのだが、 それよりもあの2人と離れられることの方がメリットが大きい。
 奴はあまりに俺の反応が予想外だったのか呆けている。
 「まあ一応お前が千鶴とルビーのことを好きになった理由を聞いておこうか」
 「ハッ! 僕は一どうしていたんだ」
 「おい。 いいから質問に答えろ」
 「え? ああ、 君の質問に対する答えだけど一目惚れだよ」
 「は? そんな理由か?」
 「そうだよ」
 ふ~ん。 こいつも所詮俺のクラスにいた男連中と大同じなのな。
 だがまああいつらを引き取ってくれるなら文句はないな。
 
 「さて審判は僕がやるから二人とも武を構えてね~」
 どうやら王が審判のようだ。
 てかお前そんなことしていいのかよ。
 俺はそんなことを考えながら腕に手甲を裝著した。
 また犬の武は、 槍のようだった。
 ん? 槍を使って、 名前が犬?
 「二人とも準備はいいかい?」
 「「いいぜ(ですよ)」」
 「では試合はじめ!」
 「さて、 俊君。 まず初めに僕の戦闘スタイルについて言っておくよ」
 「おいおい。 そんなこと言っていいのか?」
 「まあ強者のハンデというものだよ」
 ああ、 こいつ完全に調子に乗ってるな。
 「僕は主にスピードを中心にして戦うタイプでね。 それでこの世界人間で僕のスピードに反応できる人間はいないと言われているくらいなんだ」
 「ふ~ん」
 なんか長そうでめんどくさいな。
 俺はいいからさっさと負けたいんだよ。
 
 「それで僕の使っている槍は、 ゲイボルグ。 この槍の効果は……」
 「必中なんだろ?」
 「その通り」
 はあ~やっぱりか。
 こいつ絶対碌な死に方死ないだろうな。 
 可哀そうに。
 「さてそれじゃあ行くよ!」
 
 犬の奴はそう言った瞬間何か口で唱えた後俺に一直線に突っ込んできた。
 さてこれで俺は奴の攻撃を腕にでもくらって降參すればいいのか。
 だが俺の予想は大いに外れた。
 なぜなら奴は俺の心臓めがけて槍を放ってきたのだから。
 俺は、 そう気づいた瞬間、 手甲を使い何とか槍の軌道をそらさせた。
 「おい。 てめぇ。 これはどういうつもりだ?」
 「どういうつもりってただ僕は君を殺そうとしただけだよ?」
 こいつ! 顔では善人ぶってるくせにはクズと言うことか!
 はあ~こんなのにわざと負けるのはかなり癪だな。
 だがここで勝ったらデメリットしかないしな。
 「ちょっと俊! あんた手を抜いてるでしょう!」
 「千鶴さんの言う通りですよ! もしわざと負けようとしてるのでしたら……」
 「結婚してもらいます!
 「結婚してもらうから!」
 おっとこれは俺も本気でやらねばならなくなってしまったか。
 いや~しょうがないな~俺も結婚はさせられたくないからな~いや困った困った。
 「そういうわけだから俺も本気でやらさせてもらうわ」
 「ははは。 嫉妬しちゃうな。 でもそんな彼たちのことをますますしくなったよ」
 「お前趣味悪いな」
 「そうかい? そういう君は平凡な顔をしているのによくあんな達と一緒にいれるね。 一どんな手品を使ったんだい?」
 「あいつらが勝手に俺についてきてるだけだよ。 そんなことよりさっさとかかってこい。 格の違いってやつを見せてやる」
 一度このセリフ行ってみたかったんだよね!
 「そこまで人にコケにされたのは君が初めてだよ。 それじゃあ行くよ!」
 そう言って犬の奴は俺にまた正面から突っ込んできた。
 正直奴の速さは人間のレベルからするとすさまじいものなのだろうが、 油斷していない狀態の俺からすると……
 「え? 勇者の速さ遅すぎ!」
 「バ、 バカにするなぁぁぁぁ!」
 おっとどうやら勇者の仮面がはがれてきたようだ。
 俺はとりあえずウォーミングアップのつもりで最初の五分はこちらからは手を出すつもりはない。
 俺に遊ばれているとは知らない勇者は俺に何度も攻撃を放ってきているのだがそのすべてを俺は躱した。
 「當たれ! 當たれよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
 
 ああ~完全にはがれちゃったよ。
 そして五分経つ頃には勇者の奴は完全に息が上がっていた。
 「はあはあ。 なんで俺の攻撃があたらないだ……」
 「お前もうダメズラ。 フラグが立ちすぎちまったズラ」
 「また人をコケにしてぇぇぇぇぇぇぇ! 絶対に殺すぅぅぅぅぅぅぅ!」
 勇者はそう言うと獨特の投げ方で槍を俺に向かって投げてきた。
 「これが本來のゲイボルグの使い方なんだ! さすがの貴様もこれは……」
 「そんな攻撃當たらなければどうということはない!」
 「忘れたのか! ゲイボルグの効果を!」
 「いや。 きちんと覚えているよ。 だから……」
 俺は、 大きく深呼吸をし、 ゲイボルグが俺に突きささる瞬間両手を使ってゲイボルグをけ止めた。
 「そ、 そんな馬鹿な! ゲイボルグを素手でけ止めるなんて……」
 「これでチェックだな」
 
 俺はゲイボルグをその辺に捨て、  勇者へと近づいた。
 「ひい! さっきは殺そうとしてすみませんでした! ただの出來心だったんです! だから命だけは!」
 こいつ。 小すぎるだろ……
 正直こんなのが兄貴と同じ武を使っていたとなると侮辱にもほどがあるな。
 「はあ。 ならさっさと降參しろ……」
 「あ、 ありがとう……」
はあ。 これで終わりか。 やれやれだぜ。
 「なんていうわけないだろ間抜けがぁぁぁぁ! 死ねぇぇぇぇ!」
 
 ブスッ
 「な、 何が……ゴホッ……」
 「ハハハハ! 調子に乗るからだぁ! これで僕の勝ちだ!」
 俺のにはゲイボルグが突き刺さっていた。
 あ~ぬかったな。
 多分ゲイボルグの効果はまだ終わっていなかったんだ。
 だから奴は俺に命乞いをし、 油斷させ、 その隙にゲイボルグを遠隔作したのか。
 全くこれじゃあ俺も人の事言えないな……
 「あちゃ~。 まさかこんなことになるなんてね。 さすがの僕も予想外だよ」
 「ち、 千鶴さん落ち著いてください!」
 「離しなさい変態神! あいつ! 私の俊に何してくれてるの! 絶対にぶっ殺してやる!」
 「チ、 チヅル様! 今は我慢してください!」
 「ならチヅルの代わりに私が奴を喰い殺してやるぅ!」
 「ハ、 ハクも落ち著くのだ! ここで騒ぐを起こすのはシュンから絶対にダメだと言われていたのだ!」
 あいつらは相変わらずにぎやかだな……
 
 「ふふふ。 まずはあの黒髪のから犯してやる! だってお前は俺が勝ったらあのをくれるといったもんな!」
 「おい。 お前いい加減にしろよ……」
 「へ?」
 「誰がそんな約束をした。 千鶴を泣かすのは僕が許さない」
 「お、 お前なんで心臓をつぶされたはずなのになんで生きてるんだ! それにお前目のが……」
 「君本當にシュン君かい?」
 「王様。 今はそんなことはどうでもいいでしょう。 それよりも早くこの茶番にケリをつけましょう」
 「な、 何を言って……」
 「僕にもあまり時間はないんだ。 だから早く終わらせるよ」
 そう言った瞬間俊の姿は消えた。
 そして次の瞬間には武道場の壁には勇者がめり込んでいた。
 「王様。 これで決著です。 それと後はのことは、 頼みます」
 「あ、 ああ。 わかったよ」
 「チ、 チヅル様! 顔から涙が……」
 「な、 なんで“俊君”が……」
 「俊君ってどういうことですか?」
 「おい! それよりもシュンの奴を早く迎えに行くぞ!」
 「お、 置いていかないでしいのだ!」
 こうして犬VS俊の異世界に召喚されたもの同士の戦いは俊の勝利という形で幕を閉じた。
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