《お姉ちゃんがしいと思っていたら、俺がお姉ちゃんになったので理想の姉を目指す。》ぷろろーぐ!

カチッ……ジジジ……。

「すぅ……ふぅ……」

いつも通りのメンソールの煙草に火をつけ肺に煙を取り込む。スーッとり込んでいくのが気持ちいい。つい1年くらい前までは煙草なんてくそくらえ。百害あって一利なしなんて思っていたんだが、気付けば習慣化してしまっていた。まさか自分が煙草を吸うようになるなんて思いもしなかったが、このストレス社會、やはり落ち著けるものを求めてしまうのかもしれない。紫煙をくゆらせながら俺はそんなことを考える。

ふと周りを見回す。

実家から送られてきた仕送りの段ボール。洗濯をして取り込んだはいいが畳むのが面倒くさくなって山になっている服。デスクの上にはモニターが二臺、ゲーミングマウスにキーボード。よくわからないレシートや趣味で描いたイラストの下描き。決して綺麗とは言い難い、寧ろ汚部屋。

一人暮らしを始めたばかりの時はまめに掃除なんかもしていたが、ある程度月日が経つとそういったことは必要最低限のことしかしなくなってしまった。汚部屋になっている時點で必要最低限もできていないのかもしれないが。

「俺って……なんなんだろうな」

もう一度煙草に口を付け煙を取り込みそう呟く。

なんてことはないくだらない疑問。考えたってどうしようもないこと。だが、日々の仕事の疲れや一人でいることに対しての孤獨、近付く転職の面接日。そんな様々なことが俺の弱い神をつつき、こんなどうでもいいことを考えさせてしまう。

俺がポジティブな人間だったならよかったのだが、殘念ながらネガティブな俺ではこの負の連鎖からは中々逃れることはできない。

「こんな時お姉ちゃんがいたらなぁ……優しくて包容力のあるそんな人がめてくれたら……なんてただの夢語だよなぁ、はぁ……」

はぁ、癒しが、癒しがしいのです。

もう変な後輩や教育、仕事の先々、自の將來。もう何もかも考えるのが面倒だ。こんだけ頑張ってんだから一人くらい褒めてくれる人がいてもいいと思うんだ。もしいてくれたなら俺はもっと頑張れたと思うし、こんなくだらない、何の生産のない悩みを持つこともなかっただろう。

「ギブミー……お姉ちゃんみ……」

フィルター近くまで燃えてしまった煙草の火を消し布団に潛り込む。どうせ寢て起きたら仕事だ。こんな風にいやーなこと考えるくらいならさっさと寢て仕事の忙しさで忘れるのが一番ってやつだ。そうして目をつぶって數秒、今日の俺はやけに寢つきが良かったらしい。すぐに意識が遠のいていくのがわかった。夢を見る暇もなく睡、というやつだろう。てことは次の瞬間には朝日を見てるんだろうな。あぁ嫌だ嫌だ。ずっと夢の世界にいたいわ。

この時の俺はそんな希を抱いていたのだが、まさかそれが現実になるとは思いもしていなかった。

まさかこれが俺としての最後の眠りになるなんていったい誰が予想しただろうか。

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