《お姉ちゃんがしいと思っていたら、俺がお姉ちゃんになったので理想の姉を目指す。》4話 お姉ちゃんになるにあたって必要なことって?
初めての登校日の帰り道。なんてことは無いただの帰宅なのに何故か凄く慨深い。原因はまぁ、十中八九TS時間遡行のせいなんだろうけどね。まさかもう1度中學生からでしかもの子になるなんて誰が予想するよ。ラノベやマンガじゃないんだから有り得ないでしょ。非科學的もいいとこだよ!事象報告だよ!
さて、慨深さにふけるのもいいけどこれからのことを考えないと。
まず、私が目指すのはしっかりもの癒し系甘々お姉ちゃんだ。対象者は問答無用でうちのブラザーズ二人です。拒否権はありません。
前世の私があれだけお姉ちゃんを渇していたのだもの。きっと今生の啓一君……あーもうけーちゃんでいいや。けーちゃんもきっとそんな姉がしいと思っているはず。
ではその理想のお姉ちゃんになるには何をしどうしていけばいいのか。
理想だけで言うならば簡単だけれど、実現させるとなると難易度はビックリするくらい上がる。端的に言うとイージーからルナティックぐらい。クリアできなくはないけど、相當頑張らなきゃだよってやつ。元々の私のスペックが低いから尚更だよね。20數年の貯金もきっと微々たるもの。
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そんな私がいきなりあんまり考えすぎてもやることを作りすぎてもグータラダメダメお姉ちゃんになってしまうこと必須なので、まずは達しやすいところからやっていくこととする。
一つ目、弟達に優しくする。
これは割と難易度が低いと思われる。何故か?それは今の私がブラザーズのことが可くてしょうもないから。前の私は、よく喧嘩もしたし男ってこともあったのでそこまでではなかったけれど、お姉ちゃんという立場に立ってみたら、なんかね。こう……言い様もないと言いますか……そんなのが湧き上がってきたんですよね。間欠泉がボーンみたいなじ。早く家に帰ってでてあげたい。この場合は激しい自己になるんでしょうか?そうではないと思いたい。ていうかでたい。
二つ目は、しっかりものということで勉強を頑張るってこと。しっかりものたるもの、勉強できてなきゃお姉ちゃんとしての威厳がないよね。なのでまずは一週間後のテストでいい點數を取るのが目標だ。初めのテストはまだ貯金でもなんとかなるし、後は補填するだけ。他の人よりは多アドバンテージはある……はず。というわけで、今日からは帰って勉強だなぁ。ブラザーズをでたい私は……んぎぎぎ。
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取り敢えずはこの二つを目標としてやっていこうと思う。これ以上立ててもスペック的に厳しいので直近の小さな目標だけ。
勉強とか超絶嫌いなんだけど……これも目標のため。それにどうせやり直せるなら今まで後悔してきたことをやらないと意味がない。本當後悔先に立たずだよね。私はそういう點では後悔をこうしてやり直せるから恵まれてるのだけれど。
「そう言えば琴ちゃんは來週のテストどんなじ?」
みーちゃんが私の方を向いて不安げに言った。何故に不安げ?と一瞬首を傾げそうになったけれど、みんなからすればこれが初のテストになるわけだし當然か。私はそんなみーちゃんの不安を消し去るように笑顔を浮かべる。
「うーん、ボチボチかな。と言っても小學校までの復習だからそんな難しいのは無いと思うし」
「琴ちゃん凄いね。私は不安かなぁ……中學初めてのテストだし……」
「あ……うん、そうだよね……」
私の笑顔じゃダメだったか……。てか寧ろプレッシャーを與えてしまったかもしれない。私の無神経さに嫌気がさす。こういうところは男だった時の部分が大きく作用しているのだろう。反省である。南無。
さて、反省したからには挽回しなければいけない。つまりみーちゃんの不安を払拭してあげなければいけない。ではどうやって払拭するか?それは簡単だ。
「じゃあさ、これからテストまで一緒に勉強しようよ!」
そう!これだ!!
學生、そしてテスト。ここまで來たらやることは一つ。友達との勉強會である!前世の私は勉強なんて碌にしなかったし、こういった學生イベントというのをことごとく回避してきた。おかげで高校生の時なんてやる気のない灰の青春……思い出したら凄くブルーになってきた……。
んんっ!
とにかく。前世の私はそういった學生イベントをこなせなかった後悔が……じゃなくて。大切な馴染であるみーちゃんの力になりたいのでこうした提案をした次第です。決して青春を取り戻したいという利己的な理由じゃないんだからね!
「え?いいの?やるやる!今日からでもやる?」
途端みーちゃんは嬉しそうにそう言った。ふふん、やっぱり私の思った通りね。これがの勘ってやつかね?あぁ私の子してるわー。
「勿論いいよ!じゃあ一旦家に帰ってから……どこで勉強しようか?」
「ん~、私のうちでもいい?」
「全然いいよ!近いし!」
「じゃあ私のうちで……と、私こっちだから、またあとでね!」
「うんっ!またあとで!」
ばいばーい、とお互い手を振り別れる。
ふふ、ふふふ。
自然。どこからどう見ても自然なJCよ!これは既に私はの子にりきれている証拠だわね!いやぁ自分の才能が怖いわぁ。
……ってなんかちょっと複雑だな。確かに、一人家にいる時それとなーくの子っぽい練習してみたりしたけど、それってイラスト描くためのイメージ補填でやってただけだし。カラオケでボーカルの時は、加工なしでボイス出して移したりしたけど……別にTS願があったわけじゃないし。似たようなことしてる人なんて沢山いると思うのだけれど。なんか何言いたいのかわかんなくなってきた。うん。
まぁ、それは置いといて。
今日の予定が決まったのは非常に喜ばしいことだ。正直一人で勉強するって言ったって、未だTSしてしまったことに対する揺が抜けていない。きっと一人になってしまったら思考の渦で何にも手がつかないだろう。それにブラザーズが帰ってきてその顔を見てしまった時、私の溢れんばかりのと申しますか、それが発してヤバそうな気配がぷんぷんしている。やばみ。
自分でも正直どうかしているような気がするのだけれど……これがお姉ちゃん化した影響というものなのでしょうか?世のお姉ちゃんたちに聞きたい。弟に言いようもないがあふれてくるのは普通なのだろうか、と。
あ、そう言えばみーちゃんにも弟一人いたな。これはみーちゃんに相談すべきか……勉強の対価として質問でもするかな。
「ただいま~」
さて、そうこうしているうちにもう家についてしまった。考え事してると時間が進むの早いよね。
「おかえり~。どんだった?」
「ん~、新鮮?」
「また~。もっとこうなんかないの?」
「なんかないのって言われても……」
帰宅してそうそうママ上の質問タイムだ。やっぱり親としては気になるんだろうね~。きっと中學生らしい回答を期待しているのだと思うけれど……ごめんねママ上。見た目はJCだけど、中はれ切った20代なんだよね。「凄い慨深かった!」が正直な想だけど、それをママ上に言うのも憚れる。するとなんていうかフワッとした想しかでないよね。
「あ、そうだ!來週テストあるから、これからみーちゃんと一緒に勉強してくる」
「あーそう言えばテストあるんだったわね。んだ、行ってこいへ。場所は鈴ん家?」
「そうだよ。18時くらいには帰ってくるから」
「気を付けへよ~。まだ日が落ちるの早いし……変な人いたらちゃんと大聲上げなきゃまねよ」
「大丈夫だよ!お母さんは心配癥なんだから」
「大切な娘だもの、當たり前でしょ。近いけど暗くなれば危ないっきゃ~」
「明るいとこ通るようにするし、人や車が多いところ通るようにするって」
「んだばいいけど……とにかく気を付けへ」
「うん!」
うちのママ上は心配癥だなぁ。そんな簡単に変な人に捕まったりとかしませんよぉ、マンガとかじゃあるまいし。小説とかならここでフラグを立てて、帰りに襲われるって展開でしょ?ないない。私はできるこなのでその辺きちんと警戒しますよ。の子になったはいいが、前世のもしくは前の男だった時の癖でやれる!⇒あ、非力すぎ!無リポ!の流れとかもうね、何回も見ましたわ。自分で言うのもなんだけど、本當になんだけど、私の容姿は恵まれている。今は可い系だが、將來は人さんですよ。つまり、変な男に目を付けられる可能は十分にあり得るのです。それは鏡を見たときに自覚しましたもの。なので危険ゾーンには近寄らないというのは早い段階で意識しているのです。ふふん、どうよ。私やっぱりできるこだわ~。優秀ですわ~。
と、悅に浸るのはこのくらいにして早く準備済ませてみーちゃんの家に行かなくては。
サラッと晝食を食べ終え、私は制服をぎ引き出しを開ける。すると私の洋服が閉まってあるわけだが……。
「……あまりの子っぽい服裝がない」
そうだ。そうだったよ。前世の妹である『琴音』はどちらかと言うとボーイッシュであった。男二人に挾まれてるのでそうなるもんなのかもしれないが、の子っぽい服裝や格好というのを嫌いしていた。今生においても、私が意識を取り戻した?のがついさっきである。てことはそれまでは『琴音』としての格が出ていたわけで、そうすると服もね。
「これは早いとこ新しい服を買わなければ……」
折角の子になったのだ。可い恰好したいじゃん!きゃぴきゃぴ(死語)したいじゃん!何が悲しくてになってまで男の格好をしなければならないのか。これは服の大改革も目標にしなければならないな……。オトンに強請って買わせるか……。スカートとか著たいし。ワンピースとかもありだな。ヤバい妄想が膨らむ……ぐへへへ。
「うーん……取りあえずこれが妥協できるとこかな」
20分ぐらい悩んだ結果、短パンにニットのセーターとなった。々漁ったが、今のとこそれなりにの子っぽい服裝はこの組み合わせが最良といったところか。鏡の前で々な角度から見てみるが……うん、まぁええやろ。どうせだしちょっくらポーズでも――。
「あらぁ~、似合ってるじゃん。ようやくあんたもオシャレさ目覚めたんだが」
「ひぇっ……!!」
デジャブだよっ!!ちょうどポージングでもしようとしたところでママ上がニヤーとしながら私の癡態を眺めていた。なんでこの人こういう時ちょうどよくいるんだよ!油斷も隙もないよ!ヒヤリハットだよ!
「ん~、そうねぇ……今度服でも買いに行く?」
「……はぃ」
ママ上は私の服裝を嬉しそうにジロジロジローと見ると、ポンと両手を合わせ買いを提案してきた。ちょうどの服がしいと思っていた私にとってそれは渡りに船だ。とは言え私の大事な何かが失われた気がする……。
「んじゃ土曜にでも買いに行きましょうか♪……あー、それよりあんた時間いいの?」
「時間……?ハッ!!もう1時間も経ってるぅ!!」
嬉しさと恥ずかしさに悶々としていて気にしていなかったが気付けば既にいい時間が経っていたようだ。みーちゃんが餌を待つ小鳥のように今か今かと私を待っているはず……!こうしてはいられない!早く行かなければ!
私はリュックに勉強道をれ、慌ただしく階段を降りる。靴は……ええい!スニーカーでいいでしょ!きやすさ萬歳。キュッとしきつめに紐を締め扉に手をかける。
「行ってきまーす!!」
「行ってらっしゃーい!気を付けへよー!」
行ってきますに行ってらっしゃい。なんと心に染みるか。私はそんな當たり前で大したことないやり取りに心がポカポカするのをじながら玄関をくぐり抜けた。やっぱ家族って最高だよね!
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