《お姉ちゃんがしいと思っていたら、俺がお姉ちゃんになったので理想の姉を目指す。》21話 泣き蟲蟲挾んで捨てろ!でも弟は抱きしめろ!
「たっだいまー!」
答え合わせ・勉強會は無事終わり家に帰宅した。結局ほとんど私が教えることになったけれどそれもまた乙なものよ……。
「おかえりー」
お母さんの聲が聞こえてくる。どうやらお母さんも既に帰ってきたいようだ。玄関に顔を出さない辺り夕飯の準備でもしているのだろうか。今日の當番はお母さんだし。
そうそう、遂に夕ご飯が當番制となりました。今はまだ私の方がないけれど、それも私の料理の腕がもっと認められれば変わってくるだろう。本當はもっとブラザーズに私の料理を食べてもらって靡いてもらわないといけないんだけどね。そしてそしてー!目指すは添い寢すること!あ、膝枕してあげながら耳かきとかもしたいなぁ。くふ、くふふふ、妄想が止まらねぇぜぇ……。
私は思わず涎が垂れそうになった口元を拭い部屋にる。するとそこにはブラザーズの姿はなかった。もう18時なんだけど……こりゃ帰ってくるのは19時頃かな。小學生の分際で19時帰りとかけしからん!お姉ちゃんが迎えに行かなきゃ!
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なんて考えていたら玄関が開く音がした。ちっ、お迎え計畫を実行しようとしてたのに先に帰ってきてしまったか。まぁでも玄関でお出迎えは出來るもんね!私は小走りで玄関まで向かう。
「おかえりー♪遅かったね。もうし早く帰ってこないと心配――ってどうしたの?」
いつもの琴音ちゃんスマイルでお出迎えをすると、そこには暗い表で俯いているよーちゃんの姿があった。目元をよく見てみると涙が浮かんでいる。これは穏やかじゃないなと思った私は心配になり質問をする。
「べ、別に……あっちいけよ」
よーちゃんは暴に目元を拭うと、キッとこっちを睨むようにして吐き捨てた。これが真なら「は?」となるが、相手はしい弟だ。そして私の目標は理想のお姉ちゃん。理想の姉はこーゆー時気遣うものだ。
私はそんな反抗的なよーちゃんの言葉とは反し近付く。そして手をよーちゃんの頭の上に乗せ再度質問する。
「そんなこと言わないで。なにかあったんでしょ?」
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するとどうだ。よーちゃんは私の腕を振り払うと大きく息を吸った。あ、これは來るな。
「お前にはかんけーないだろ!早くあっちいけよ!」
よーちゃんは大聲でそうんだ。流石にお母さんもなんだなんだ?と廊下からヒョコッと顔を出している。しかし聲はかけてこない。きっと今はその時ではないということなんだろう。そして私のお姉ちゃん力が試されているともいえる。
思いのほか強い力で振り払われたため腕がし痛む。前世の兄であった私であればここで大激怒だったろう。じゃあ勝手にしろ!と言って部屋に戻るのだ。ていうかそもそも落ち著くまで聲すらかけなかったと思う。
でも今はお姉ちゃんだ。
私が前世でしかった姉なのだ。本當に辛い時支えてくれる姉。そんな人がしいと思っていたのだ。そして今のよーちゃんは正にそうだろう。何があったのかはわからない。おそらく友達と喧嘩したのかそんなとこだろうとは思う。でも、それでもこの年頃の子供にとってはそれも大きな事件だ。辛い時だ。その証拠にこうして涙を流していたのだから。ならば私がすることは?苦しんでる弟を前にすることはなんだ?
今よーちゃんは葛藤しているんだ。本當は吐き出しちゃいたいはずなんだ。でも素直に言えないだけ。男の子としてのプライドとでも言うのかな、私も困った時や何かあった時というのは中々家族に相談出來なかった。恥ずかしいといのもあるし、何より自分がどこまでも弱いんだって思うから言えなかった。きっとよーちゃんも近い狀態だと思う。違ったら……まぁアレだけど。とにかくそうだと仮定すると、ここで必要なのは宥めてくれる存在と話を促してくれる存在だ。
なのでここで引くわけにいかない。未だにこちらを睨むよーちゃん。不思議と怒りは湧いてこない。あるのは何とかしてあげたいという気持ちだけだ。
私は意を決し行に移す。もしかしたらまた拒絶されるかもしれないし、振り払われるより手厚い攻撃を加えられるかもしれない。けれど、お姉ちゃんは、お姉ちゃんなんだから!
「っ!!うわっはなせよ!きもい!」
私はよーちゃんを抱きしめていた。思いっきりギューっと。例の事件の時のような私のためではない。今困っているこの子のためだ。……いや、見方を変えれば私のためなんだけど。でも今私はこの子の力になってあげたいんだ。涙を流してる姿なんて見たくない!笑顔でいてくれる方がいい!それが私を馬鹿にしてだろうがなんだっていい。あ、犯罪はだめだけど。
よーちゃんは暴れる。陸にあげられたばかりの魚のようにそりゃじたばたと活きのいいことなんの。し痛いけど、負けない。まだ、この子は素直になれないだけなんだ。だから――。
「大丈夫……大丈夫だよ。お姉ちゃんは味方なんだから。だから、ね?しでもいいから話してしいな」
優しい聲で尋ねる。ついでに左手で頭をでてあげながら。するとどうだろうあれほど激しい拒絶を見せていたよーちゃんは大人しくなった。そしてうっうっ、と嗚咽をらし始めた。そしてよーちゃんの方からも腕を背中に回してきて私を抱きしめてきた。
私はよーちゃんが落ち著くまで続けた。數分経った頃、ようやく落ち著いたのかよーちゃんからは嗚咽が聞こえなくなった。そこで私はよーちゃんのことを放してあげる。そしてしかがんで目線を合わせながらもう一度問う。
「何があったの?」
ついでとばかりに私はよーちゃんの顔をハンカチで拭いてあげる。鼻水も垂らしちゃって……あれ?もしかして私の服にも……うぅ、し、仕方ないか……今はよーちゃん優先だよ。
「……ゲーム持ってないからってバカにしてきたんだ……みんな。別にオレはそんなのほしくもなかったけど……でも持ってないのがださいって」
その程度か……なんて思う人もいると思う。けれどね、當人にとっては結構な問題なんだよ。特に學生の間っていうのは。
學生というのは面倒な生きで、なんでも周りが基準になる。例えば漫畫、テレビ、音楽。そしてゲーム。どれもみんな一緒であるというのが大事なのだ。もしそのレールから外れるとどうなるか。簡単なこと。そいつを仲間外れにするか、攻撃の対象にするかだ。
學年が上がって行けば多は変わるが、それはものが変わるだけで本的なところは何も変わらない。ていうかもっと立ち悪くなるような気がする。変に頭が働くからねぇ。小賢しいというか々しいというか。
し話がそれたけれど、とにかく今のよーちゃんにとってこれは問題なのだ。そりゃよってたかって攻撃されたら泣きたくもなるってもんよ。てか悔しくなる。それが相手一人だったら、男の子だしやんちゃしてお互いに青痣とか作って終わりともなるんだろうけれど、複數人相手だと分が悪すぎるからねぇ。
……話聞いてたらムカついてきたな。私の可い可い弟になにさらしとんじゃクソガキ共。今からでも家凸して萬力の計に処してやろうか。
でも、それをやっちゃうと今後よーちゃんのためにはならないので我慢だ。すてい、すてーい琴音。
「……そっか大変だったね。因みにみんなって誰?」
「明人と亮と環……」
「あー……あの3人か」
今弟の言った3人。やつらは所謂悪い子だ。実際將來的にはクラスのある人からお金を巻き上げるなんてことをしたりして問題になっている。なんでよーちゃんがそんな子達と一緒だったのか気になるけれど……まぁでもこれなら話が早いわね。
「よーちゃんはその子たちと友達?」
「え……?」
「えとね、普段から良く話したり遊んだりするの?」
よーちゃんはし考える素振りをするがすぐに頭を振った。
「ううん……ふだんは別に。きょーはたまたまいっしょにあそんだだけ」
「なら簡単だ。その子たちの言うことなんて気にしなければいいんだよ」
「え?でも……」
「でももへちまもないよ。だって友達じゃないんだもん。なんで合わせなきゃいけないのさ。よーちゃんには他に友達がいるでしょ?」
「うん、いるよ」
「でしょ?ならその子たちと楽しく遊ぶこと考えなよ。嫌~な子たちのことでぷんぷんしたって時間が勿ないじゃない。私だったらそんな子たちのために使う時間があったら次に仲いい友達とどこに遊びに行こうかな~とか、何して遊ぼうかな~て考えるよ。だってそっちの方が楽しいしいいと思わない?」
デリケートな問題ではあると思う。やつらごみ3人衆がカリスマがあってクラスの中心的存在なら話は別だが、生憎そうじゃなかったはず。仮にそうだとしても、よーちゃんにだってきちんとした友達がいるんだ。だったらその子たちと過ごす時間の方が何倍も名十倍も何百倍も大事よ!なんでごみのことでよーちゃんが葛藤しなきゃいけないのよ。そんな生産のないことをする必要なんてないんだから。
「……そうかな?」
「そうだよ!だから気にしちゃだめ!あーんな奴らに怒ったり時間を作っちゃうのが勿ないよ!無駄だよ!もしなんかまた言って來たらじゃがいもだと思って適當にあしらっちゃえ」
「じゃ、じゃがいも?」
「うん!野菜とかその辺の石でもいいよ!てかその辺の石でいいよ!石に怒るって無駄じゃない?」
「うん……むだだと思う」
「でしょ?だったらそんなどーでもいいことよりだったら楽しいこと考えよ?」
「うん……そうする!」
ようやくよーちゃんは笑顔になった。ふにゃっとした可い笑顔だ。これもうお姉ちゃんきゅんきゅんしちゃうっ!やばい!私のがっ!!抑えられないっ!!
「うんうん!じゃあもう大丈夫だよね!」
「うん!だいじょーぶ!ありがとう、ねーちゃん!!」
はうぁっ!!?
よ、よーちゃんから私にハグしてきた!噓!?これ夢?!!これ夢なのかしら!!!いやー可い!!!ちょっと私もハグしかえしちゃうんだから!!!
まさかのよーちゃんからのハグに私のテンションマジまっくす!これよーちゃん攻略しちゃったよね!!これでよーちゃんと結婚だよね!!
それから頬ずりとかしてたら流石にはなせ―!と言って逃げられちゃったけど、でもよーちゃんが笑顔になってくれて良かった。やっぱりあの子は元気な笑顔を見せてくれる時が一番だよ。
お母さんもにやにやとしたものではない、穏やかな笑みを浮かべていた。程なくして帰ってきたけーちゃんは何があったの?みたいなじだったけど、でもこうして家族が笑顔で穏やかなのが一番だよね。それに私は約束したんだ。もうあんなことは――。
あんなこと?あんなことってなんだっけ?なんか大事なことだった気がするけど……。まぁいいや。今はとにかく理想の姉としてブラザーズをきちんと支えてあげるんだ!そしてお母さんもお父さんも笑顔にさせれるように頑張らなきゃ!勿論友達もね!
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