《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》冒険者ギルドにて

ゲームの世界で培った知識によると――。

異世界で仕事を探すならば目指す場所は一つしかない!

冒険者ギルドである。

魔王を倒して地球に戻ることを目標にするにしても、まずは資金を蓄えて戦力を強化していくことが先決だろう。

街にいた親切なオバサンから聞いた話によると、幸いなことにアーテルハイドにも『冒険者ギルド』という施設は存在しているらしい。

冒険者ギルドは、周囲にある石造りの建造の中でも一際大きなものであった。

中にいる人間たちは一様にして剣や斧などの武裝をしており、いかにも冒険者然とした風貌をしていた。

アフロディーテは何故か俺の制服の袖を引っ張り、ピッタリと後ろに張り付いていた。

「おい。どうしたんだよ?」

「だ、だって……アタシたち凄く見られている! 見られているって!」

「……仕方ないだろ。こんな格好をしていれば誰だって注目するって」

突如として異世界に呼び出されることになった俺は、通っていた高校の制服をそのまま著ている狀態であった。

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同じようにしてアフロディーテは、天界にいた頃と同じヒラヒラの裝をに付けている。

「おいおい。なんだよ。あのエロい格好をしたねーちゃんは……」

「見ているだけで興しちまうような上玉だな」

男たちから會話からも分かるように冒険者たちは俺たちの格好というより、純粋にアフロディーテのしさに見惚れているような気がする。

けれども。

それを言ったところで、アフロディーテを調子に乗らせるだけなので黙っておくことにした。

「こんにちは。冒険者の方でしょうか?」

カウンターに著くと付嬢のお姉さんが対応してくれた。

クロエ・グライス

種族 :ケットシー

年齢 :18

鑑定スキルによると彼の名前はクロエというらしい。

小柄な軀とセミロングの黒髪を持ったお淑やかな雰囲気のであった。

そして……極め付けにクロエちゃんは頭の上からは貓耳を生やしていた。

むはー!

これが夢にまで見た異世界のというやつか!

クロエちゃん可ええ。

ゲット!

今直ぐにお持ち帰りしたいっ!

「……ソータ。何を考えているのよ」

背後から殺気の籠った聲が聞こえたかと思うと俺のに激烈な痛みが走った。

振り返ると、フグのように頬を膨らませたアフロディーテが俺のことを睨んでいた。

なんという迂闊!

どうやら俺の下心はバッチリとアフロディーテに見かされていたらしい。

「あ、あの。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「えーっと。仕事を探しているのですけど。俺にもできる仕事って何かありますか?」

「了解しました。當ギルドのご利用は初めてでしょうか?」

「はい。実はこの街に來たのはつい先日でして」

「お客様の相談にお乗り致します。當施設の利用には冒険者カードの発行が必須になっております。

登録の作業を行いますのでこちらの紙に名前を記載して頂けませんか? 文字の読み書きが出來ない場合は、代理を立てることも可能ですが」

「いえ。結構です」

付嬢のお姉さんが差し出した紙に自分の名前を記する。

異世界の文字だというのに不思議とスラスラ書くことができた。

「ええと。カゼハヤ・ソータ様ですね。ギルドカードの発行を行いました。こちら紛失した場合には再発行に手數料がかかりますので大切に保管をして下さい」

「ありがとうございます」

カゼハヤ・ソータ

冒険者ランク G

ギルドから貰ったカードにはそんな文字が書かれいた。

「ギルドのご利用は初めてということで簡単にこの施設の説明をさせて頂きます」

慣れた口調で付嬢のクロエちゃんは続ける。

「冒険者ギルドとは……簡単に説明致しますと、國や個人が依頼したクエストを冒険者の方々に斡旋する施設となっております。

クエストの容は魔の討伐から、行方不明の飼い貓の探索まで様々です。実績を積んで冒険者ランクを上げて頂きますと、けることの出來る依頼の幅を広げることが出來ます」

「なるほど。ちなみに冒険者ランクというのは、どうすれば上げることが出來るのでしょうか?」

「はい。當ギルドが『適アリ』と判斷した方のみ昇級することが可能となっています」

「……おお。隨分とザックリとした條件なんですね」

キュートな笑顔でスゲー黒いことを言ってくるのな。

要するに有能な人材が目覚ましい実績を上げても、上の人間に認められなければ永遠に出世できないというわけか。

ゲームっぽい世界に現実味のあるシステムを導するのは止めてくれよ……。

「ソータ様は本日からさっそく依頼をけることが可能になっています。あちらのギルドボードにられた紙からけられそうなクエストを探して付に持ってきてください」

俺はクロエちゃんに指定された掲示板の前に立つと、手頃なクエストを探すことにした。

☆討伐系クエスト

●ウルフの討伐

必要R :G

功條件:ウルフを5匹討伐すること。

功報酬:4000コル

繰り返し:可

●ゴブリンの討伐

必要R :G

功條件:ゴブリンを10匹討伐すること。

功報酬:4000コル

繰り返し:可

☆探索系クエスト

●醫薬草の採取

必要R :G

功條件: 醫薬草を10個持ち帰ること

功報酬:6000コル

繰り返し:可

現在の冒険者Rでけられそうなクエストはこの3種類だろうか?

他にも注可能なクエストはあったが、功報酬が低すぎたり、條件が不明瞭だったりするものは候補から除外している。

「あの……討伐系クエストなのですけど、魔を倒したことってどうやって証明すれば良いのですか?」

「詳細はクエスト注後にお渡しする小冊子にも載せているのですが、基本的には倒した魔の部位を剝ぎ取って持ち帰る必要がありますね。

例えばウルフの場合は、《ウルフの牙》と呼ばれるアイテムをこちらで納品する必要があります」

「……分かりました」

今のところ出會った魔は、倒したりせずにカプセルボールを使ってどんどん仲間にして行きたい。

となると。今回は探索系クエストを中心にしてこなして行くべきだろうか?

「これらのクエストは全て無期限になっています。ソータ様さえよろしければ同時に全てを注することが可能ですが如何なさいますか?」

「なら一括して全て注させて下さい」

「承知致しました。それとこちらは初めてギルドに登録した方に差し上げることになっている《初心者支援セット》になります。よろしければ自由にお使い下さい」

「ありがとうございます」

俺は冒険者にとっての必需品のアイテムが詰まっているらしい《初心者支援セット》をけ取った。

付嬢のクロエちゃん曰く。

このアイテムは、國からの補助金によって用意されたものであるらしい。

を討伐する冒険者を育てることは國の治安を守るために重要な責務なので、政策の一環として《初心者支援セット》を配布しているのだとか。

け取ることが出來るのは初回登録のとき限定なのだが、俺のような無し草にとっては嬉しい限りである。

予想外の収穫を得た俺は足取りを軽くして、冒険者ギルドを後にするのであった。

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