《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》異世界で裝備を整えよう

翌朝。

宿屋のチェックアウトを済ませた俺はさっそく街に繰り出すことにした。

「ねえ。ソータ。何処に行くの? 分かっていると思うけれど、カスールの森はそっちの方向じゃないわよ?」

「ああ。今日は他に優先して行っておきたい店があってな」

俺は目的の店を探すべく、セイントベルの街を彷徨い歩く。

【ギルド公認雑貨店 銀の盾】

探していた店は存外直ぐに見つけることができた。

エドガー・マートン

別 :男

年齢 :31

「いらっしゃい。ギルド公認雑貨店にようこそ」

店にるなり俺たちのことを出迎えてくれたのは、オシャレとは無縁そうな小太りの中年男であった。

昨日、付嬢のクロエちゃんから仕れた報によると――。

ギルド公認雑貨店とは冒険者たちにとって役立つアイテムを雑多に揃えた、いわゆる『何でも屋』のことらしい。

國が制定した『冒険者保護法』の恩恵をけたこの店は、様々な免稅措置が取られていて全的にリーズナブルな価格で商品が提供されているのだとか。

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「お客さん。本日はどんな品をお求めで?」

「えーっと。手頃な値段で買えそうな服を探していまして」

「……なるほど。たしかにソイツは早急に用意した方が良さそうだ」

俺たちの姿を眺めまわしたエドガーさんは、ものすごく納得した面持ちになっていた。

何を隠そう……俺がクエストをこなすよりも優先して行いたかったこととは、服裝を整えることであった。

「ソ、ソータ! もしかしてその服っていうのはアタシも買って良いのかしら?」

「ああ。當然だろう? 今の服裝は何かと目立ちすぎるからな」

なんせ俺は通っている高校の制服。

アフロディーテは天界で著ているのと同じヒラヒラの服という慘狀である。

二人で街を歩いていると、まるで通勤電車の中でコスプレをしているような恥心に苛まれてしまう。

「や、やったわ! 実はアタシ……自分で服を買うのって初めてなのよね!」

「そうなのか?」

「ええ。天界では服を売っている店なんてなかったし。いつも決められた服しか著れない規則だったもの」

「たしかに。神さまがカジュアルな服を著ていたら々と雰囲気がぶち壊しになりそうだな」

アフロディーテはキラキラと目を輝かせながらも店の中に置かれた服を眺めまわしていた。

神とは言っても、服を前にテンションを上げる辺りは普通のの子と変わらないんだな。

まさかここまで喜ばれるとは思いもしなかった。

「待たせたな。ウチに置いている裝備品の中で、お客さんにオススメなのはこの辺りの品になるぜ」

冒険者の服 等級F

(駆け出しの冒険者が好んで著る服。りが良くきやすい)

冒険者の靴 等級F

(駆け出しの冒険者が好んで著る靴。特別な能力はないが、耐久が高い)

暫く待ってからエドガーさんがオススメしてくれたのは、上記の2種類のアイテムであった。

値段は冒険者の服が1500コル。冒険者の靴が1000コル。

ギルド公認雑貨店というだけあって値段に関しては、文句の付けようのないほど安かった。

「両方とも気にりました。男でデザインが分れているみたいだし……。ディーもこれでいいよな?」

さりげなく勧めてみたが、アフロディーテはいかにも不満気な表であった。

「そんな地味な服は嫌よ! アタシはこっちがいい!」

踴り子の妖裝 等級E

(多用な裝飾をほどこした用の服)

アフロディーテが手に持っていたのは、ピンクを基調としたデザインのらしい服であった。

ラベルを見ると……値段は驚きの18000コル!

どうやら等級が1つ違うだけで、値段が跳ね上がってしまうらしい。

「いやいや。目立ちたくないから服を買うのにそんな派手な服を買ったら本末転倒だろう?」

「関係ないわ! これはプライドの問題よ! 神としては、自分の外見に妥協するわけにはいかないのよ!」

「…………」

相も変わらずに面倒臭いやつである。

ここはし持ち上げて説得を試みることにしよう。

「バカだな。お前は元が綺麗過ぎるから服は、地味なくらいでちょうどいいんだよ。こっちの安い方にしておけって」

「……!?」

俺の言葉を聞いた途端、アフロディーテの顔はれたトマトのように赤くなる。

「き、綺麗って……。唐突に何を言い出すのよ!? もしかしてソータは……アタシのことをそういう目で見ていたの?」

「……何をそんなに照れることがあるんだよ。お前くらいの人なら耳にタコが出來るくらい言われているはずだろ」

「て、照れてなんかいないわよ! これはソータが急に変なことを言うからビックリしちゃっただけでっ」

モジモジと指を絡ませながらもアフロディーテは打ち明ける。

「それにその……神族って他人との関わりが希薄だから異から褒められることも無かったし」

意外だった。

神を自稱するくらいだから、てっきり男たちから褒められまくっていると思っていたのだが――。

この反応を見ていると、どうやらそういうわけでもないらしい。

「し、仕方がないわね。ソータがそこまで言うのなら今回はそっちの服で妥協してあげるわ!」

心なしか機嫌を良くしながらもアフロディーテは、手にしていた《踴り子の妖裝》を棚に戻す。

とにかくまあ、アフロディーテが納得してくれたようで何よりである。

それから。

ギルド公認雑貨店で暖かい布や最低限の生活必需品などを購した俺たちは、カスールの森に向かうのであった。

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