《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》リンゴ売りの
「こちらがクエスト報酬である66000コルになります」
「どうも。ありがとうございます」
その日の冒険者ギルドはちょっとした騒ぎになっていた。
それもそのはず。
今日1日で俺が冒険者ギルドに持ち運んだ醫薬草は、優に100個を超えていた。
「あの興味本位で聞きたいのですが、どうしてこんなに集めることが出來るのですか? もしかしてソータさんは森の中のスポットを知っていたりするんですか?」
「ふふふ。これが冒険者としてのボクの才能というものですよ。ボクにかかればこんなものです」
しのクロエちゃんの前なのでとびきり格好を付けておく。
「おいおい。なんだよ。あのルーキー……?」
「思い出した。たしかアイツ……昨日とんでもない人を連れて冒険者登録をしにきていた男だぜ」
「マジかよ!? あの話題になっていた変な服を著た男だったのか!」
周囲にいた冒険者たちは、俺に関する話題を次々に口にしていた。
むう。
流石にし目立ち過ぎたか。
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醫薬草を使った小遣い稼ぎは暫く控えないといけないな。
まあ、どちらにせよ明日からは別の依頼をこなすつもりだったので問題にはならないが。
そんなことを考えながらも俺は冒険者ギルドを後にした。
~~~~~~~~~~~~
「お兄さん。リンゴ! リンゴはいかがでしょうか?」
宿屋に戻るためにセイントベルの街を歩いている最中。
1人のが俺に向かって聲をかける。
そのは、薄汚れたシートの上にリンゴを載せて簡易的な店を開いているようだった。
年齢にして7歳くらいだろうか?
現代日本なら間違いなく小學校に通っているような年齢である。
この世界ではも働かなくてはならないのか。
あまり栄養狀態は良くないみたいだし、見ていて心が痛くなるような景であった。
「ソータ。アタシ、お腹が空いたわ。せっかくだからリンゴを買って帰りましょう?」
アフロディーテとしてもの姿を見ていて何か思うことがあったのだろう。
「そうだな。えーっと。リンゴを10個ほどもらえるか?」
「あ、ありがとうございます! 10個ですと、1500コルになります」
俺は銀貨1枚と鉄貨5枚を手渡すと、代わりにリンゴをけ取ることにした。
余ったリンゴは後でゴブリンたちの餌にしてしまおう。
ちなみにこの世界の主要な貨幣は以下のようになっている。
銅貨 10コル
鉄貨 100コル
銀貨 1000コル
金貨 10000コル
この上には白金貨という更に上のものも存在しているようであるのだが、一般に流通することは全く無いと言って良いらしい。
アフロディーテと2人でリンゴを齧りながらもセイントベルの街を歩く。
ちなみに味の方は、極めて普通のリンゴであった。
けれども。
異世界に召喚されてから、暫く甘いものを口にしていなかったからだろう。
久しぶりに食べるリンゴはするほど味かった。
「おい。そこの貴様。足を止めろ」
バクラジャ・アッカーマン
種族:人族
年齢:37
上機嫌に歩いていると、脂汗をかいたメタボなオッサンが俺の前に立ちはだかる。
メタボなオッサンは、自の部下と思しきガラの悪い男たちを引き連れて、俺たちの方を睨んでいた。
「おい! この絵に描かれている娘に見覚えはないか!?」
そこでオッサンが懐から取り出したのは、妖艶な気を纏ったの絵であった。
絵の人がついさっき森の中で使役したばかりの吸鬼の、キャロライナであることは直ぐに分かった。
「いえ。すいません。心當たりはないんですが、その娘が何かしたんですか?」
キャロライナなら俺のボールで寢ているけど?
なんてことは口が裂けても言えなかった。
何やらただならない事がありそうだし、キャロライナに関する報は口外しない方が良いだろう。
「貴様! 頭が高いぞ! その方を誰と心得る!? セイントベルの中でも4番目に大きい言われている奴隷商會の総帥バクラジャ・アッカーマン様であられるぞ!」
「……そ、そうでしたか」
いや、誰だよ?
そもそもにして4番目に大きな商會の総帥って……凄く微妙なポジションに聞こえるんですが……。
「ふんっ。次に無禮なことを言ったことら命はないと思え! その絵の中のは商品として我々が購したにもかかわらず、あろうことか走を図ったのだ」
「…………」
なるほど。
つまりキャロライナは、奴隷になるのが嫌で逃走中のだったんだな。
んで、逃げている最中に崖から落ちて今に至るというわけか。
「了解しました。何か報がり次第、連絡を差し上げます」
俺が頭を下げると、男たちの集団は次の目撃者を探すべく店通りの奧に進んでいった。
「なにあれ。嫌なじね」
「ああ。面倒事になりそうだし関わらない方が良さそうだな」
後から思うと俺のこの臺詞がフラグだったのかもしれない。
「なんだ貴様! こんな場所にリンゴを並べて……我々の発行している商売許可証は持っているのか!?」
「ふぇ……?」
「貴様! こっちにこい! ワシの家でたっぷりと折檻をしてやる」
メタボなオッサンは下卑た笑みをりつけながらも、リンゴ売りのに絡んでいるようであった。
オッサンの右手はのを鷲摑みにしていた。
「あの。それくらいにしていいもいいんじゃないですか? 小さな子供を相手に大人気ないですよ」
ああ。俺のバカッ!
絶対に面倒なことになるから関わらないとに決めていたはずなのに――。
気付いた時には、既にがいていた。
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