《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》じられた配合
今回の地探索のメインになってくるのは《薬膳キノコ》というアイテムの採取である。
ギルドからけ取った小冊子によると《薬膳キノコ》はズマリアの地の中でも特に度の高い場所に生息することが多いらしい。
採取の方法は以前に森で《醫薬草》を収穫したときと同じで良いだろう。
そう判斷した俺は、次々にゴブリン軍団を召喚していくことにした。
「凄いです! こんなに沢山の魔を同時に召喚できるなんて……!」
ポコポコと切れ目なくゴブリン軍団を召喚していく俺に対して、キャロライナは尊敬の眼差しを送っていた。
「えーっと。やっぱりこれって凄いことなのか?」
いかんせん比較対象となる存在がないので全く実がない。
「もちろんです! 魔使いが契約できるモンスターの數はレベルに依存すると言われています! 同時に3匹の魔を使役することができれば一流と言われているくらいですから」
「……そうだったのか」
3匹を使役したら1人前だとするなら現在の俺は何人前なのだろうか……。
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「まあ、當然じゃない? なんたってソータは神であるアタシから経験値を取得したんですから! これくらいは仕事をしてもらわないと」
「…………」
だから……どうしてそこでお前がドヤ顔になるんだよ。
さてさて。
適當に駄弁っているうちに、ゴブリンナイトたちの召喚が終わったので作業にることにした。
今回の《薬膳キノコ》の採取は、アフロディーテとキャロライナにもフルで手伝ってもらうつもりである。
彼たちにはそれぞれ、ゴブリンナイト5匹とウルフ1匹を護衛に付けて仕事にってもらうことにした。
「お前たちは一旦、俺の指揮下から外れてアフロディーテとキャロライナの命令に従ってくれ。二人のに何かあったときは命に代えても守ってやるんだぞ」
「「ゴブッ!」」
「「ガウウウ!」」
二人に任せたい役割は、主として俺と魔を繋ぐパイプ役である。
魔を遠征させての探索は、単一の命令しか下すことが出來ずにどうしても非効率的な部分が発生してしまう。
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アフロディーテとキャロライナが適切なタイミングで命令を下すことが出來れば、探索の効率を上げることができるのではないだろうか?
俺が3組に分かれて、作業をすることを決めたのにはそのような理由が存在していた。
~~~~~~~~~~~~
それから。
作業を開始してから10分くらいが過ぎただろうか。
さっそく探索に向かわせたゴブリンナイトが、1本目の《薬膳キノコ》の採取に功したみたいである。
このまま俺も《薬膳キノコ》の採取に乗り出したいところなのだが、今回は別に優先して試してみたいことがあった。
バクラジャ・アッカーマン
職業 奴隷商人
レベル 21
生命力 28
筋力値 18
魔力値 42
神力 55
スキル
殺戮者の兇刃 火屬魔法(初級) 水屬魔法(初級)
カプセルボールの中から、以前に使役をしたメタボなオッサンを召喚してみる。
「……なっ。こ、此処は何処じゃ!?」
突如として外の世界に出ることになったバクラジャさんは揺しているようであった。
ボールの中でもアフロディーテ&キャロライナにセクハラしたら手に負えない。
そういうわけで俺はバクラジャさんに対して、『俺が許可するまでボールの中で寢ていること』を命令していたのであった。
バクラジャさんにとって自分がボールの中に閉じ込められたのは、ほんの數分前のことなのだろう。
さてさて。
こいつの処分をどうしようか?
今のところ契約を解除する手段はないのだが、かといってこのまま放置しておくのも何かと都合が悪い。
使役できる魔の數には制限があるからな。
殺戮者の兇刃 等級D パッシブ
(斬撃攻撃力が中上昇)
取得條件
快楽目的で10以上の人間を殺戮すること。
以前にステータスを調べていたときに気付いたのだが、このオッサンはやはり極悪非道な人間だったらしい。
それというのも《殺戮者の兇刃》というスキルの取得條件に『快楽目的で10以上の人間を殺戮すること』という記述がされているからである。
仮に契約を解除する手段を後から得たとして、彼をボールの外に逃がしてしまうと更なる被害者を出すことに繋がりかねない。
「こうなったからにはワシも覚悟は出來ている」
召喚したウルフたちに囲まれたオッサンは、切腹を覚悟した武士のような面持ちで、ゆっくりと両目を閉じる。
「くっ……殺せ! 殺すがいい! ワシも小僧の手に落ちてまで慘めに生き殘ろうとは思わん」
「…………」
お前はオークに囲まれた姫騎士かよ。
どちらかというとオークはオッサンの方なわけだが……。
當然と言えば當然の話なのだが、メタボなオッサンに「くっ……殺せ!」と言われても全く萌えないな。
「安心しろよ。俺はアンタみたいな外道とは違う」
異世界に召喚されたとは言っても所詮、俺は一介の高校生に過ぎない。
人間の命を殺めてしまったら、罪悪でが一杯になってしまうだろう。
「ふんっ。ならば……逃がしてくれるというのか? 生憎とワシは貴様のような小僧にけをかけられるほど落ちてはいないぞ!」
「いいや。違うな。逃がしはしないが、殺しもしない。互いにWIN-WINの関係になる方法が1つだけあるんだ!」
そう宣言したは俺はスキルを使用しておもむろに配合の畫面を開く。
 システムメッセージ
(ベースとなる魔を選んで下さい)
→ ウルフ
ゴブリンナイト
アフロディーテ
バクラジャ・アッカーマン
キャロライナ・バートン
ライトマッシュ
システムメッセージを読んだ俺は、迷わずそこでウルフの名前を選択。
システムメッセージ
(素材となる魔を選んで下さい)
お次は素材となる魔の選択である。
ここで俺は今回の配合の主役となるバクラジャ・アッカーマンの名前を選択した。
事前にスキルを使用して配合可能な組み合わせを調べている。
合素材としてオッサンを消費することの出來る組み合わせは1つ。
どうやらウルフをベースにしてオッサンを配合すると、ワーウルフに進化することが可能らしい。
システムメッセージ
(下記の魔に進化が可能です。合しますか?)
→はい
いいえ
ワーウルフ
図鑑NO 422
種族 魔獣族
等級 D
レベル 1
生命力 80
筋力値 115
魔力値 55
神力 40
スキル
毒爪
進化條件
魔獣族のモンスター × 人族のモンスター
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
獣族の中位種族となるモンスター。
人族のを取りれることにより、高い知能をに付けることに功している。
素早いきと爪による攻撃が持ち味。
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
ワーウルフっていうのは日本語で言う狼男のことだろう。
しかもこのワーウルフという魔のステータスは、やたらと高めに設定されているらしい
この數値が正しければ、間違いなく俺が契約しているモンスターの中でも最強だろう。
これは配合をしない理由がない!
「……ポチっとな」
「な、なんじゃ!? このは!?」
俺がシステムメッセージの『はい』ボタンを押した次の瞬間。
オッサンと近くにいたウルフのが青白いに包まれる。
「貴様、ワシに何をした!? 何をしたぁぁぁぁっ!?」
自らのに起きている危機に気付いたのだろう。
バクラジャさんは相を変えてシャウトするが、時既に遅し!
オッサンのは途端にウルフのに吸い込まれていくことになった。
その直後。
ウルフのはに包まれて膨張していく。
の中から現れたのは試しに新しく生まれた魔――ワーウルフであった。
「ガウ! ガウ!」
ワーウルフは全長2メートル近くある人間のと狼の頭を持った魔であった。
は巨大だが、モフモフとした銀ので覆われている狼男は妙に可らしい雰囲気を持っていた。
転生前の憎たらしいオッサン・フェイスから一転。
渋谷とか原宿を歩いている子高生に人気が出そうなルックスである。
「よし! ワーウルフ。お手!」
「ガウ!」
「お座り!」
「ガウ!」
やったぜ!
どうやら俺の命令にも何の問題なく応えてくれるようである。
こうして俺は、思いがけずも現時點における最高戦力のモンスターの手に功するのであった。
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