《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》奴隷商館にて

それからのことをし話そうと思う。

俺が討伐証明部位としてコカトリスの頭部を持ち帰ると、冒険者ギルドは凄まじい騒ぎになっていた。

これは後になって分かった話なのだが、どうやら俺が倒したコカトリスは産卵期を迎えたメスの個だったらしい。

その証拠にコカトリスが寢床にしていた巣の中には、大きなタマゴがっていた。

メスの個なのにアフロディーテに発したことにはし驚いたが、今にして思えば納得である。

エサとなる獲を木の枝に差して放置していたのは、子育てに備えてのことだったのだろう。

倒したコカトリスの鱗は、高値で売ることが出來るらしいので剝ぎ取った素材はシエルに渡すことにした。

も今回の依頼を手伝ってくれたわけだし、丁度良い見返りを用意できて好都合だろう。

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コカトリスを討伐してから數日後。

冒険者ギルドから約束通りの300萬コルをけ取った俺は、シエルの借金を返済するためにバクラジャ商會にまで足を運んでいた。

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「ダメだ。これっぽっちの額では全く足りねえなぁ」

借金取りの男は俺から金貨が300枚キッチリった袋をけ取った上で、下劣な笑みを浮かべていた。

「……どういうことですか?」

「お金持ちの冒険者さんよ~。利息っていう言葉を知っているか? 昔の借金がいつまでも同額のまま維持するわけがねえだろうよ」

「なるほど。利息という言葉は知っています。ちなみにその額は後どれくらい殘っているんですか?」

「うーん。ちょっと待っていろ。今計算するから」

モヒカンの男は欠を噛み殺したような表で手元の書類に目を通す。

「まぁ、ザッと300萬コルってところだな。そんだけの額が用意できるっていうなら今度こそ奴隷にする話はなしにしてもいいぜ」

「…………」

そこまで聞いたところで俺は確信した。

この男は最初から借金の返済に応じるつもりはない。

この短期間で300萬コルという大金を用意したことから、向こうは俺のことを良いところの坊ちゃんか何かと勘違いしているのだろう。

いずれにせよ俺から絞り取れるだけ絞り取るつもりであることは間違いない。

「どうする? そうだなぁ。今回の実績もあるし、次は2週間ほど時間をくれてやろう」

「ふざけるな。そんな要求が通るわけ……」

「払うッスよ」

意外なことに俺の言葉を遮ったのは、その場に同伴していたシエルであった。

シエルはドシリという景気の良い音を立てながらも、金貨のった袋をテーブルの上に置く。

「……なっ」

「これで自分は自由ッスね! 今日までご迷をおかけして申し訳ないッス」

「き、貴様っ!? これほどの大金をどうやって!?」

慌てるモヒカン男には目もくれずにシエルは音を立てずに席を立つ。

「ソータさん。行きましょう」

「あ、ああ」

憑きが落ちたかのような清々しい笑顔を浮かべながらもシエルは、俺の袖を引っ張って店の出口に足を運ぶ。

それにしても300萬コルなんていう大金……彼はどうやって用意したのだろうか?

手持ちのコカトリスの鱗を売っても30萬コルくらいにしかならないと聞いていたのだが。

「ちょっと待て。今のは間違い! 冗談だ! 計算しなおしたら利息は500萬コルあったぜ! だから、これっぽっちの額ではお前を奴隷として売る話は白紙に戻せねえな!」

借金取りの男は、足取りを早くして扉の前に立ち俺たちの退路を塞ぎ始める。

この野郎……何処まで鬼畜なんだ!

俺から300萬、シエルから300萬、合わせて600萬コルも手にれたのだから素直に引けば良いだろうに。

往生際が悪いにも程があるだろ……。

いや、違うな。

この焦り方を見ると、既にシエルの柄の引きけ先との商談がまとまった後だと見るのが正解か。

どんなに大金を積まれても契約を撤回できないという狀況にあるのだと仮定すれば、々と納得ができる部分がある。

「……ソータさん」

「大丈夫。こう見えて俺は超強いからな。安心しろって」

不安気な眼差しで袖を引っ張るシエルに対して、勵ましの言葉をかけてやる。

以前とは違って、今度はキチンと安心させてやることが出來たのかもしれない。

シエルは無言のまま首を縦に振った。

「そこを退けよ。外道が!」

「……ハンッ! 引けと言われて引くバカはいねえよ! お前は黙って俺のためにカネを用意すればいいんだよ!」

借金取りの男は、懐から取り出した短剣を手にして脅しにかかる。

これ以上は何か話したところで時間の無駄だろう。

そうだな。

この男を懲らしめるのには、ちょうど良い魔がいる。

「いけ。ワーウルフ」

ボールの中から召喚されたワーウルフは、扉の前に立つ男を思い切り毆り飛ばす。

「……グバァッ!」

悲痛なき聲をらした男は、そのまま5メートルほど吹っ飛ぶと顔面からを流してヒクヒクとを痙攣させていた

「警告しておく。二度と俺たちの前に姿を現すな。次に會ったら確実に頭を潰すからな?」

「……オボッ。オボボッ」

口からの泡を吹き出した男は涙目になりながらもコクリと首を縦に振る。

この様子だと……せっかく手にれた大金も治療費に消えてしまいそうだな。

こうして、紆余曲折を経たものの――。

シエルと彼を取り巻く問題を解決することができた。

部下の橫暴な行為を止めることが出來て、ワーウルフ(元バクラジャさん)も涙を流して喜んでいるに違いない。

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