《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》始まりの朝

とある日の朝。

目を開けるとそこにいたのは同じベッドの上で眠る3人のであった。

「…………」

俺は寢惚け眼をこすりながらも3人の様子をそれぞれ確認する。

「むにゃむにゃ……。ソータ……ご飯まだー?」

まず、俺の近くで抱き枕を抱えながらイビキをかいているの名前はアフロディーテ。

金髪碧眼でスタイル抜群のアフロディーテは、神を自稱するだけのことはあって非の打ちどころのない容姿をしている。

夜間著の隙間からチラチラと覗く2つのは零れ落ちんばかりに大きく、見ていると今にも理が吹き飛びそうになってしまう。

「スゥ……。ご主人さま……嬉しいです。ついにご自の正にお気づきになられたのですね……」

次にベッドの端で申し訳なさそうに橫になっているの名前は、キャロライナ・バートン。

銀髪赤眼でスラリとしたスタイルのキャロライナからは、アフロディーテとは種類の違う妖艶な気が漂っている。

鬼という特殊な種族に生まれたキャロライナは、この外見で年齢が既に300歳を超えているというのだから驚きである。

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「ソータさん……そこはダメっす! 恥ずかしいです……。やっぱり……ソータさんは鬼畜だったんスね……」

そして最後の紹介になる。

寢相が悪かったのか、ベッドからが半分落下しているの名前はシエル・オーテルロッド。

シエルは俺と出會う前は武屋を経営していたのだが、故あって俺の旅に同行することになっていた。

長150センチほどの小柄な軀のシエルは、他の2人とは違ったマスコット的な可さを有している。

よっしゃ。

々とツッコミ所はあるけど、これだけは言わせてくれ。

お前ら……揃いも揃ってどんな夢を見ているんだよ!?

たちと同衾、といえば聞こえが良いが、元々この部屋は1人用として借りたものなので々な意味で寢苦しい。

以前までは何の不満もなくボールの中で大人しくしていた3人であったが、最近は何かにつけて外に出たがることが多い。

むぅ……。

快適な睡眠を守るためにも何かしら対策を練らないといけないな。

こいつらが起きたらひとまず事を聞いてみることにしよう。

~~~~~~~~~~~~

「え~。今日は冒険に行く前にお前たちに相談したいことがある」

それから1時間後。

俺は何時でも経っても起きないアフロディーテをベッドから引き剝がすと、3人を集めて改まった口調で切り出すことにした。

「どうしたのよ急に。それって神であるこのアタシの睡眠を妨げてまで必要なことなわけ?」

「…………」

強引に起こされたからかアフロディーテは明らかに不機嫌な様子であった。

眠りを妨げられているのはむしろこっちの方なんですが……。

いつもいつも寢起きに兇悪なを見せつけやがって!

「ここ最近のお前たちは骨にボールの中にるのを嫌がっているように見えるのだが……何か理由があるのか?」

「「「…………」」」

尋ねると、骨に3人が目を反らしたような気がした。

以前にアフロディーテに聞いた話によれば――。

ボールの中にっている間は腹も減らないし、も乾かない、あらゆるストレスが蓄積されないという地球の常識では測り知れないような環境が揃っているらしい。

どうしてそんな快適な環境を捨ててまで狹苦しいベッドの選ぶのだろうか?

かねてから不思議に思っていたんだよな。

「そ、それはその……あれよ! たしかにボールの中は居心地が良いのだけど……流石にできることが限られているから飽きるのよ」

「……なるほど。ボールの中って飽きたりするんだな」

いかんせんったことがないので分からないが、當人が言うのだからそうなのだろう。

「キャロも同じ理由なのか?」

「いいえ。どちらかというと私は、アフロディーテさんがご主人さまに夜這いに行かないか監視する目的で外に出ています」

「はぁぁぁぁぁ!? ちょっと! キャロ! 誰が誰に夜這いするですって!?」

キャロライナの発言をけたアフロディーテは顔を真っ赤にして糾弾する。

「貴方には既に前科があるではないですか。マッドマッシュの『』をけた時のこと……忘れたとは言わせませんよ?」

「うっ。た、たしかにそんなこともあったような気がするけど……。あれは事故みたいなものでしょう……」

対象を『発狀態』にする効果のあるマッドマッシュの『』は、生の理を破壊する効果があるらしい。

キャロライナに諭されたアフロディーテは、先ほどまでの威勢が噓のように委していた。

「ちなみにシエルはどういう理由なんだ?」

「えーっと。自分は退屈しているわけではないのですが……他のお二方が外にいるのに自分だけボールの中にいるのも寂しいので」

「なるほど。理由は々とあるんだな……」

ともあれ今回の騒の原因については特定することができた。

元を正すと、アフロディーテがボールの中に退屈していることが全ての発端になっているのだろう。

ならば考えられる解決手段は1つ!

ボールの中に退屈を紛らわせることが出來るものをれてやれば良いだろう。

そういうわけで俺は、3人にボールの中にしい設備のリクエストを聞いてみることにした。

~~~~~~~~~~~~

「え? ボールの中で使いたいもの? う~ん。そうね。……天界にいた頃に使っていたふかふかの高級ベッドかしら」

「ご主人さまに頂けるのであればどんな品でも構いません。しかし、強いて的な例を出すのならば本でしょうか。ボールの中に書庫があれば他の皆さんも退屈を凌げると思います」

「自分は斷然、武を作るための素材っす! 良質な素材を加工する瞬間は自分にとって何よりも至福な時間ですから!」

そういう訳で3人にボールに持ち込むアイテムのリクエストを聞いたところ以下のような結果になった。

アフロディーテ → ふかふかの天蓋ベッド

キャロライナ → 古今東西の本が集められた書庫

シエル → 武を作るために必要な頑丈で粘り気のある鉱石

クッ……。

なかなかに難易度の高い要求をしてくれる。

特にシエルが酷い。

なんだよ『頑丈で粘り気のある鉱石』って……。

もはや設備という次元を軽く超越している!

けれども。

どの品もクエストでお金を得れば集められないものではないだろう。

急いで解決しなければならない問題を抱えているわけではないしな。

暫くは3人の要求する品の手を目標にすることにしよう。

決意を新たにした俺は冒険者ギルドに向かうのであった。

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