《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》神さまとデート(前編)

翌日。

朝早く起きた俺はセイントベルの街の中心街にまで足を運んでいた。

何故って?

本日はアフロディーテの要求にあった『ふかふかの天蓋ベッド』を手にれるため、ショッピングに行くことになっていたからである。

(おい。ディー。準備はできていないのか?)

(まだ! まだだからっ! 覗いたら殺すからね!)

(はいはい……)

どうやらアフロディーテは現在『冒険者の服』から『踴り子の妖裝』に著替えを行っている最中らしい。

踴り子の妖裝 等級E

(多用な裝飾をほどこした用の服)

このアイテムは、以前からアフロディーテがしがっていたので昨日のクエスト報酬でプレゼントしてやったものである。

ショッピング時には、余所行きの服に著替えておきたいというのはアフロディーテの要であった。

(……もういいわよ)

コンタクトのスキルで了承を得たのでアフロディーテを召喚する。

「ど、どうよ?」

心なしか張した聲音でアフロディーテは口を開く。

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踴り子の妖裝をに纏ったアフロディーテは、何時にも増してっぽかった。

ピンクを基調としたデザインの踴り子の妖裝は、出度も高く著こなすのが難しいと思っていたのだが……。

腐っても神と言ったところだろうか?

アフロディーテの前では杞憂だったようである。

「どうって……別にフツーだよ」

「はぁ? フ、フツーって何よ!?」

期待していた返事を得ることが出來なかったのか、アフロディーテは不満気に頬を膨らませる。

「……いきなり何怒っているんだよ? お前が綺麗で可いのは何時も通りのフツーのことだろうが!」

「~~~~っ!」

俺が客観的な事実を述べた次の瞬間。

アフロディーテは急に頬を赤らめてアタフタし始める。

「そこそこ。70點と言ったところかしら? ソータにしてはなかなか捻りの利いた口説き文句だったわ。褒めて遣わしてあげる。

今回はアタシが神だったから平靜でいられたわけだけど……これが普通のの子だったら危なかったんじゃないかしら」

「はいはい。分かった。分かった。託はいいから早くベッドを選びに行こうぜ」

話が長くなりそうだったので俺は、アフロディーテの手を引いて店に向かって歩みを進める。

こいつの茶番に付き合ってはいられない。

今回の遠征では、なんとしてもレアな鉱石をゲットして一攫千金を目指さなければならないのである。

「手が~~ッ! 手がッッ~~~!!?」

アフロディーテは謎の悲鳴を発していたが、こいつの奇行は何時ものことなので気にしないことにした。

~~~~~~~~~~~~

スネリカ・ヒューネック

別 :男

年齢 :28

「いらっしゃいませ。ギルド公認魔法道店にようこそ」

店の中に足を踏みれると、1人の男店員が俺たちのことを出迎える。

なんだろう。

TVの中でこういう蕓能人を何処かで見たことがあるような……。

口からはみだした大きな前歯が特徴的な人であった。

「本日はどのようなご用件で?」

「えーっと。ベッドを探しているのですが。なるべくフカフカのやつで」

「なるほど。寢ですね。當店の寢はどれも世界樹という希な木から取れる《エンジェル・コットン》という素材を使用した一級品を取りそろえています。どうぞこちらに」

「…………」

店員に案されるがままに俺は魔法道店の奧に歩みを進めていく。

「おい。見ろよ……あれ……」

「あらまぁ。お盛んですこと」

おかしいな。

なんだか先程から妙に周囲からの視線が痛いような……。

って……しまったぁぁぁっ!

白晝堂々……若い男が2人でベッド選び!

これって傍から見ると完全にラブラブのカップルがやることじゃん!

「どうしたのよ。ソータ。急に青白い顔して」

クソッ!

お前はこの恥ずかしい狀況の気付いていないのかよ!?

まったく……今日という日だけは鈍スキル持ちのお前が羨ましい。

「こちらが當店でも一押しの最上級ベッドで座います。貴重なエンジェル・コットンを惜しみなく使用したこのベッドで寢ると……まるで天上にいるかのような気持ちになれますよ」

スネリカさんがオススメした商品は、たしかに高級が溢れるデザインをしていた。

どれどれ。

ダメ元で値段を確かめてみることにするか。

「なっ。120萬!?」

無理無理むりむりカタツムリだよ!

どう足掻いても今の俺には手ない高級品である。

「全然ダメね。論外よ」

「なっ」

アフロディーテは件の高級ベッドにれると、無造作に首を橫に振った。

「ど、どこかお気に召されない點でもありましたか?」

「一から説明が必要なの? たしかこのベッドは使っている素材がエンジェル・コットンという話だけど……アタシの見立てではおそらく使われているのは30パーセントってところかしら。

殘る70パーセントは《アシールの綿》を使っているでしょ? 別に《アシールの綿》が悪い素材とは言わないけど、この商品は表記詐欺も良いところね」

「……ぐっ。ぐぐぬ」

もしかして今の言葉……完全に図星だったりするのかな?

アフロディーテSUGEEE!!

お前はどんだけ異世界のベッド事に詳しいんだよ!

その熱がもうし別のところにあれば、俺の冒険もしはラクになったような気がするのだが……。

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