《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》アンデッド退治

どうやらセイントベルの墓地に出現するレイスは、日が暮れた時間にしか出現しないらしい。

そういう訳で俺たちは、夜になるまで宿屋で適當に時間を潰してから現場に向かうことにした。

「ソ、ソータさん……。おっかないッスよ。やっぱり引き返しましょうよ」

俺の後ろを歩いてちょこんと服の袖を摑んだシエルのは、ガタガタと震えているようであった。

まだ墓地に著いた訳でもないのに酷い怯え方である。

「ふふふ。シエルちゃんってばお化けとか怖がるタイプなのね」

「アフロディーテさんは怖くないんスか?」

「當然よ。何と言ってもアタシは神だからね! もしアタシの前にお化けが現れたら弱點屬の神聖魔法で仏させてやるんだから!」

「おおー。流石はアフロディーテさん! オリュンポスの十二神の1人が味方にいてくれると心強いッス!」

シエルに持ち上げられて気分を良くしたのだろう。

フフンと息を鳴らしながらもアフロディーテは大きなを張る。

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「えへへ。シエルちゃん! 何があってもアタシが……貴方のことを守ってみせるわ!」

「頼りにしているッス! 正直に言うと自分……怖いものが苦手なんで助かります」

なんだろう。

こう言っちゃ悪いが先程からアフロディーテの臺詞は、フラグを立てているようにしか思えない。

「そんなこと言って……いざ墓地についたら『やっぱり怖い』とか言い出すんじゃないんだろうな?」

「はぁぁぁ!? ちょっとソータ! 今の臺詞は聞き捨てならないわよ!」

近い近い!

何時ものことながら顔が近いって!

お前はもうし自分のレベルを自覚するべきだと思うぞ?

「どうして神族であるアタシがアンデッド如きに怯えないといけないのよ! 撤回を要求するわ!」

「……そうか。悪かったよ」

過去の前科から直ぐに仲間を疑ってしまうのは俺の悪い癖なのかもしれない。

本人がこう言っていることだし、今回ばかりはアフロディーテの言うことを信じてやることにしよう。

~~~~~~~~~~~~

それから30分後。

いざ墓地につくと予想を裏切らない景がそこにあった。

「ちょっとシエルちゃん! あ、歩くのがし早くないかしら?」

「うぅぅ……。アフロディーテさん。自分も怖いんですから……キチンと前を歩いてしいッス……」

あまりに予想通り過ぎて逆にビックリだよ!?

後ろを歩くアフロディーテはシエルの背中にピッタリと張り付いて離れようとしない。

流石の俺もシエルを盾に使い始めた時はどうかと思ったぞ……。

「ちょっと。ソータ! 1人で先に行かないでよね! アタシのことを置いていく気なの!?

「あ~! 分かったからそんなにくっつくな!」

らかい。

怯えるアフロディーテが著するほどに別の意味で張してしまう。

「怖いならボールの中で待機していてくれよ。お前たちの力が必要になったら召喚するからさ」

「か、勘違いしないでよね!? 怖くなんかないわよ! アタシが1人でボールの中にったらアタシ1人がビビっているみたいじゃない!」

「うぅぅ……。自分の場合はむしろ……ボールの中に1人で取り殘される方が怖いです……」

そ、そうか。

どうやら2人にはそれぞれボールの中に戻れない理由があるらしい。

この期に及んで自らの非を認めようとしないアフロディーテの往生際の悪さだけは見習いたい。

「ご主人さま。お気をつけて。そこの茂みに何かいるようです」

「…………!?」

キャロライナが指を向ける方向に目をやると、たしかに草の茂みの中からガサガサという音が聞こえていた。

すると、その直後。

の中から得のしれない生が俺たちの前を素早く橫切った。

ヒトダマ 等級E LV15/15

生命力 10

筋力値 0

魔力値 153

神力 32

スキル

火屬魔法(初級)

「「ぎゃあああああああああああ! 出たぁぁぁぁぁぁ!」」

期待通りの反応ありがとう!

未知のモンスターの姿を目の當たりにしたアフロディーテ&シエルは、堪らずに絶して互いにをすり寄せていた。

このまま放置しておくのも危ないし、二人に関してはボールの中に戻しておくことにしよう。

「なんだ……こいつは……?」

その生の外見を一言で表現するなら『宙に浮く青い炎』と言ったところだろうか?

これまで俺が出會った他のどのモンスターとも似つかない奇妙な外見をしていた。

「ご主人さま! 攻撃が來ます!」

キャロライナが警告をしたその直後。

宙に浮いたヒトダマは直徑30センチほどの火炎玉を一斉に出する。

(召喚……アダマイトゴーレム!)

すかさず俺はアダマイトゴーレムを召喚してガードする。

んんっ?

これは一……どういうことだ?

敵の攻撃はアダマイトゴーレムの巨に防がれることになったのだが、ヒトダマはそれでも尚、愚直に火炎玉を飛ばし続けていた。

なんとなくアクションゲームに出てくるAIが単調な雑魚敵を思い出す。

火屬攻撃無効 等級A パッシブ

(火によるダメージを無効化するスキル)

火屬攻撃無効のスキルを持ったアダマイトゴーレムに火炎玉を飛ばしても効果はゼロなんだけどな。

「……どうやらこのモンスターたちは件のレイスに使役されているのでしょうね。私たちに攻撃をしてこない理由はおそらく……與えられた命令が『自分に近づく者を排除すること』みたいなものなのでしょう」

「なるほど。そういうことだったのか」

たしかに俺が使役しているゴブリン軍団も命令を出している間は、全く融通が利かなくなっちまうしな。

命令権を行使したことで行がバカになってしまったのだろう。

「ご主人さま」

「ああ。分かっている」

ふふふふ。

相手が攻めあぐねている今が最大の好機!

一網打盡にしてくれる!

「……いや。待てよ」

そもそも俺の持つ《絶対支配》の加護は、他人が使役しているモンスターを捕まえることも出來るのだろうか?

ゲームの世界では割とタブーとされる行為である。

人のものを取ったら泥棒になっちまうしな。

「くらえ! 一撃必殺!」

こういうのじゃ考えてみるより試してみる方が早いよな。

試しにヒトダマの1匹に対してカプセルボールを投げあてることにした。

検証結果。

どうやら問題なく使役できるらしい。

判定を得たカプセルボールは眩しいを発して、ヒトダマのを吸い込んでいく。

今更だけど《絶対支配》の能力は本當にチートだと思うわ……。

●使役魔データ

ヒトダマ

図鑑NO 907

種族 不死族

等級 E

レベル 1

生命力 5

筋力値 0

魔力値 100

神力 25

スキル

火屬魔法(初級)

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不死族の基本種族となるモンスター。

暗闇に浮かんで道行く人間を驚かせることが得意。

火魔法による遠距離攻撃は侮れない威力をめている。

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