《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》VS レイス2
「キャロッッ!?」
レイスの放った炎魔法がキャロライナのを包み込む。
が熱い。
先程までひんやりした空気だった墓地の溫度がたちどころに上昇していくのが分かった。
先程のキャロライナの姿は一何だったのだろうか?
炎に包まれる直前。
ステータスの數値も以前とは、比較にならないほど軒並み上昇していた。
「ふふ。ユウコ。し見ない間に多は腕を上げたようですね……!」
炎の中から出てきたキャロライナは無傷のまま余裕の笑みを浮かべる。
いや。
どうやら完全に無傷とは言うわけにはいかなかったらしい。
以前にキャロライナに買った『レンジャースーツ』は所々焼け焦げて……布面積をり減らしていた。
「あ、あああ、ああ……」
これは一どういことだ?
キャロライナの姿を見るなりユウコは、どういう訳か顔を蒼白にしてガチガチと歯を鳴らしていた。
さっきまで「など捨てた」とか言っていたけど……あの言葉は噓だったのだろうか?
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キャロライナに出會ってからのユウコは、恐怖というを全で表現しているじであった。
「メ、メイド長……! ど、どうしてこのようなところに」
んんっ? メイド長?
もしかしてユウコは、キャロライナと知り合いだったのだろうか。
「ユウコ。偉くなったものですね。まさか貴方に牙を剝かれる日が來るとは思いも寄りませんでした」
「め、滅相もごさいませぬっ! 私の中にキャロライナ様に対する敵意などは微塵も……っ」
「ユウコ」
「はいっ」
「頭が高いですよ」
「こ、これは失禮しました」
キャロライナの指摘をけたユウコは、宙に浮いた狀態から驚くべきスピードで土下座をする。
「ユウコ。謝罪は私ではなく、我が主のソータ様に向けて下さい」
キャロライナに注意されたユウコは眼に絶のを浮かべる。
「何故……? 何故、妾に対してそのような仕打ちを!? 人間に対して頭を下げるなど……魔族として最大級の屈辱ではありませんか……! 第一、妾たちが忠誠を捧げる相手はイブリーズ様のみで……」
「ユウコ」
「はいっ」
「余計なことを詮索しなくてもよいのです。殺されたいのですか?」
「め、滅相もございません!」
キャロライナに睨まれたユウコは涙目であった。
その表はまるで自分が本気で次の瞬間に殺されるかもしれないと考えているかのようである。
「ぼ、冒険者殿! この度はまさか……キャロライナ様のお知り合いの方とは思わず無禮な言いをして申し訳なかったのじゃ!」
恐怖で怯えるユウコは、プルプルとを震わせながらも俺に向かって地面に頭をこすり付けるように土下座をする。
「申し訳ありません。どうやら今回の騒の原因は私の古い職場の同僚だったみたいです」
「そうだったのか」
昔の同僚ってことは……昔の同僚ってことは……。
えーっと……どういうことだ?
魔族同士で會社でも起こしていたのだろうか。
「そこで提案があるのですが……彼の処分は私に預けては頂けないでしょうか? 私から彼に二度と人間に悪さをしないように言い聞かせれば問題は解決するかと」
「分かったけど……手荒な真似はダメだぞ?」
「承知致しました」
元々今回の依頼はレイスの討伐にあったのだが、キャロライナの仲間ということであれば倒してしまうわけにはいかない。
仲間の不始末はキャロライナに付けてもらうのが1番だろう。
「ユウコ」
「はいっ」
「今回の不始末は……もう二度と人間を襲わないという條件で赦されることになりました。これも全てソータさまの海より深いご慈悲のおかげです。謝なさい」
「ハハッー、のじゃ!」
地面にペタリと膝をつけながらもユウコはホッとをで下ろしているようであった。
「しかし、ご主人さまが貴方を許すことと私が貴方を許すことは話が違います」
「えーっと。それはどういう……?」
「ご主人から頂いた大切な服を燃やした罪は重いです。ユウコ。覚悟はできていますね?」
「~~~~っ!」
キャロライナからの殺気をけたユウコは背中を向けて空に向かって飛んでいく。
「逃がしません!」
だがしかし。
空を飛ぶスピードはユウコよりも羽を生やしたキャロライナの方が圧倒的に早かった。
キャロライナは空に逃げるユウコのを素早くキャッチすると地面に向かって引き摺り下ろす。
それにしても不思議である。
ユウコのは実がないためカプセルボールが通り抜ける仕様になっているのだが、キャロライナの攻撃はキチンと通じるようである。
互いに魔族同士だから理的に干渉できるのだろうか?
その辺りのことはよく分からない。
「ひぎぃぃぃぃ! キャロライナ様……どうかお慈悲を……!」
必死に懇願するユウコであったが、キャロライナはそれを全く意に介す様子もなく無表であった。
「さて。ユウコ。それではご主人さまから頂いた大切な服を燃やした罰をけてもらいます」
キャロライナはそう宣言すると、ユウコが履いていたズボンを勢い良くずり下ろす。
「ひゃっ!?」
ライトブルーの下著ごとズボンをがされることになったユウコは、そのプリッとしたおをわにしていた。
「さて。これから私は貴方のを100回を叩きます。逃げ出したり……抵抗したりしようものなら100回ずつ回數が加算されていくので肝に銘じていて下さいね」
「どうか……どうかご慈悲を……」
「いち!」
「ひゅィッ!」
「に!」
「ぎゃうっ!」
それから。
キャロライナの叩きは宣言通りに100回數えるまで続いた。
それにしてもキャロライナって何者なんだろうな。
神年齢はともかくユウコのステータスは他を寄せ付けない圧倒な數字だぞ?
それをまるで赤子の手をひねるかのように倒してしまったキャロライナの実力は底が知れない。
今回の一件を通じて俺の中にあったキャロライナに対する謎は、益々と深まっていくのであった。
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