《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》勇者ガルド

「おい。アイツが噂の……レイスを倒したっていう……」

「ウソだろ……? 年端の行かないガキじゃねーか」

翌日。

冒険者ギルドの前に足を運ぶと、冒険者たちが噂話をしているのを耳にする。

正確に言うとレイスを倒したのは、キャロライナの功績なのだが……。

どういうわけか俺が倒したものとして噂が広がってしまっているらしい。

ちょっと意外だったな。

俺がレイスの討伐クエストをけたのはつい昨日のことだぞ?

いくら何でも伝達スピードが早すぎはしないだろうか?

もしかしたら俺がクロエちゃんに『もうレイスが悪さをすることはないと思いますよ』という報告をしたのが大袈裟に伝わったのかもしれない。

「やぁ。キミがカゼハヤ・ソータくんだね。ちょっと相談したいことがあるんだけど良いかな?」

ガルド・ウェストバーグ

別 :男

年齢 :22

その男は何処からともなく唐突に俺の前に現れた。

「失禮ですけど……どちら様で?」

「これは失禮。ボクの名前はガルド・ウェストバーグ。由緒正しき勇者の家系に育ったものさ」

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「えっ。勇者?」

「ふむ。まずはそこから説明しなければなるまいか。ボクの祖先は300年前の魔王イブリーズの討伐戦で輝かしい武勲を収めていてね。それ以來ウェストバーグは國から勇者の家系として認められているんだよ。

しかし、悲しいかな。世の中っていうのは権利と義務がセットになっているんだよ。ウェストバークの家に生まれた人間はやがて復活すると言われている魔王に対抗するために日頃から力を……」

「…………」

うわ……。

この人……なんか唐突に語り始めたぞ。

せっかく長細見のイケメンなのに殘念なじである。

「それでその……勇者の方が俺に何の用ですか?」

「ふむ。ソータくんのことをレイスを討伐した実力者と見込んで話がある。キミにはボクの長年の悲願である『魔王討伐』を手伝ってしいんだ」

「魔王……ですか……!?」

「ああ。どうだろう? 興味があるなら詳しいことはここでは話せないから夜にこの酒場で落ち合おう」

「…………」

勇者を自稱するガルドはそれだけ言うと俺の元から離れていく。

さてさて。

どうしたものか。

魔王討伐というのは、俺にとってアーテルハイドに召喚された當初からの目標であった。

魔王を倒すことでアフロディーテは無事に天界に帰ることが出來るし、俺も現代日本に帰る権利を獲得することが出來る。

思いがけないチャンスを手にれた俺は、ひとまずボールの中にいる陣に相談することを決めるのであった。

~~~~~~~~~~~~~~~

突如として勇者ガルドから『魔王討伐』の依頼をけることになった俺は、宿に戻って3人のメンバーに相談を持ち掛けることにした。

「反対! 反対反対! 絶対に反対よー!!」

を説明すると、真っ先に反対したのは意外なことにアフロディーテであった。

「ん? どうして反対なんだ? お前はずっと魔王を倒して天界に帰りたいって言っていたじゃないか」

「うっ。それはその……」

俺の追及をけたアフロディーテはしどろもどろになる。

「聞いてもいいかしら? もし魔王を倒すようなことがあったら、ソータは1人で元の世界に帰っちゃうんでしょ?」

「ああ。まぁ……そういうことになるのかな?」

その辺りのことについては特に深く考えていなかった。

アフロディーテの話によれば、魔王を倒して日本に戻ることがあっても俺の保有するスキルが消えることはないらしい。

元々、この世界での俺の目標はカプセルボールでゲットしたを地球にお持ち帰りすることであったのだった。

俺が元の世界に戻ることを決めたとして……キャロライナやシエルは付いてきてくれるのだろうか?

そう考えると……なんだか不安になってきたな。

「ならやっぱり絶対に反対ー! どうしたのよソータ!? ここは何時ものチキンプレイに徹するべきところでしょう? 魔王を倒すのは力を蓄えてからでも遅くはないわ!」

「うっ。まぁ、たしかにそれはそうかもしれないが」

もしかしてアフロディーテは天界に帰りたくないのだろうか?

それほどまでにケダマロのベッドが気にったっていうことか?

3度のメシより寢ることが好きなアフロディーテのことだから十分に考えられる。

「シエルの意見を聞いていいか」

「俄かには信じられないッスけど……。自分としては本當に魔王が復活したとしたら倒さないとまずいと思います。早く倒せば倒すだけ救われる人もいると思いますから」

「……なるほど。まぁ、そういう考え方もできるよなぁ」

魔王がどんなに強力な力を持っていようとも、おそらくカプセルボールを投げれば問答無用で捕獲することができるだろう。

単純な勝率を考えると人類を代表して俺が魔王を倒しにいくべきなのかもしれない。

「キャロライナはどう思っているんだ?」

「考えるのも無駄な問題かと思われます。その者が語っている魔王という存在は絶対に偽ですから」

「えっ。そうなのか」

1番頼りにしているキャロライナから飛び出したのは意外な言葉であった。

その口振りはまるで本の魔王の所在を知っているかのようにも聞こえた。

「どうしてそんなことが斷定できるんだ?」

「うっ。そ、それはその……」

俺の追及をけたキャロライナは視線を泳がせる。

「……申し訳ございません。絶対というのは言い過ぎました。おそらく偽と思われますが、報を聞きに行くくらいのことはしても良いかと思われます」

「分かった。キャロライナは賛ということでいいんだな」

これで賛意見が2、反対意見が1になった。

決まりだな。

キャロライナの言う通りリスクが大きそうなら斷れば良いというだけだし、話を聞きにいくだけなら特に問題はないだろう。

ラスボスの報が気にならないゲームプレイヤーは存在しない。

メンバーの賛同も得られたことだし、明日はガルドのところに行って魔王に関する報を集めることにしよう。

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