《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》真犯人
その夜。
俺は下著泥棒を撃退するべくトラップの用意に勤しんでいた。
「って、なんでアタシはがされているのよぉぉぉ!?」
今現在。
アフロディーテは俺が召喚したキツネビというモンスターにパンツを剝ぎ取られようとしていた。
本當はゴブリンナイトを使うと早かったんだけど、流石に傍から見ていて犯罪の臭いがしてしまうからな。
キツネビを使うと、の子のパンツを剝ぎ取る行為も途端に許されるような気がするから不思議である。
「悪いな。これも全て下著泥棒を捕まえるためだ。我慢してくれ」
「うぅぅ……。それは分かったけど……。どうしてアタシのパンツなの!? 他に適任の子はいなかったの!?」
「ディーのように可い子は他にいないからな。犯人だって可い子の下著を優先的に盜みたいと考えるのが妥當だろ?」
「えっ? え?」
おっ。
効いている効いている。
最近になって気付いたんだけど、の神を自稱する癖にアフロディーテは自分の容姿を褒められることに慣れていないらしい。
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何か頼み事をする時は、とりあえずアフロディーテの容姿を褒めておけば功確率がアップするというわけである。
「頼む! ディー! こんなこと大役を任せられるのはお前しかいなんだ! なんとかして俺の濡れを晴らしてくれ!」
俺が頭を下げると、アフロディーテの表がみるみると上機嫌になっていくのが分かった。
「ふふ~ん。仕方がないわねぇ。そこまで言うのなら協力してあげないこともないわよ」
期待を裏切らない回答をありがとう!
テキトーに持ち上げておけば大抵のことは許容してくれる。
この神さまは本當にチョロいぜ。
アフロディーテは「恥ずかしいから後ろを向いていなさいよ」と俺に命令すると、ぎたての下著を指定の場所に置いてくれた。
これにて準備は完了である。
「……こんなバレバレのワナで本當に下著泥棒が見つかるんスかね?」
単純思考の神さまとは対照的に用心深いのはシエルである。
「問題ないと思うぞ。おそらく犯人は屋敷で働いているグールたちの誰かだろうからな」
「どういうことッスか?」
そこで俺はシエルに対して推理の一部を聞かせることにした。
俺が犯人をグールと決めた理由は只一つ。
あまりに犯行の手口が鮮やかすぎるからである。
もともとこの屋敷は、ユウコの眷屬たちが警備していて不審な人が近づけないようになっている。
1度か2度なら功するかもしれないが、常習的にウチの屋敷に侵するのは不可能と言って良い。
ならば容疑者は屋敷をうろついても怪しまれない部の犯行と考えるのが妥當だろう。
「なるほど。犯人はグールッスか。言われてみるとたしかに……その可能は高い気がしますね」
俺の推理を聞いたシエルはコクリと首を振って賛同してくれた。
ユウコの話によると、グールという魔はを持たないが、その質は生前の記憶に強く引っ張られるものらしい。
今回の下著泥棒の犯人は、おそらく前世では下著に対して並々ならない熱を燃やしていたグールなのだろう。
「けれど、それなら最初から別にぎたての下著を使う必要はなかったんじゃないんスか? 何なら新品のものを店で買ったほうが……」
「はぁ……。お前ってやつは男心を何を分かっていないんだな……」
新品の下著など男にとっては単なる布に過ぎない。
可いの子がに著けた後の下著にこそ価値が宿るのである。
~~~~~~~~~~~~
それから。
2時間くらいは窓の外から部屋の様子を窺っていただろうか。
突如として部屋の中にってくる小さな人影があった。
キャップラット 等級G LV1/5
生命力 15
筋力値 5
魔力値 5
神力 1
スキル
なし
「ん? ナベのフタか……なのか……?」
長はおよそ15センチくらい。
頭が大きく等の低いその生は、アニメに出てくるキャラクターのような外見をしていた。
どういうわけか目の前の生は頭の上にナベのフタをかぶっていた。
「あれは……? キャップラットでしょうか」
「知っているのか?」
「ええ。キャップラットは人気のない廃屋などに住み著くとされるモンスターです。基本的に無害ですが、頭の上に常に何かを被りたがるという変わった習を持っています」
「へぇ。そんなやつがいたんだな」
何気に街の中で野生のモンスターを見かけるのは初めてかもしれない。
キャップラットは部屋の中にるなり、周囲をキョロキョロと徘徊して――。
やがてはポツリとアフロディーテのパンツの前に立ち止まる。
「おい。まさか……!?」
そうか。分かったぞ!
ここで俺は今回の事件の真犯人を特定することに功する。
キャップラットは頭の上に被っていたフタをぎ去り、替わりに落ちていたパンツを頭に被り始める。
「変態だ――!?」
思わずばずにはいられない。
パンツを頭の上に被った巨大ネズミの姿はもの凄くシュールであった。
「ソータさん! 早く捕まえに行きましょう!」
「おう!」
犯行現場を目撃した俺たちは窓を開けて1階の部屋にる。
「くらえ! カプセルボール!」
一撃必殺のカプセルボールをキャップラットに向かって投げつける。
しかし、ここで問題が発生した。
キャップラットは他モンスターと比べてが小さい上にやたらと素早いのである。
先程から何度もボールを投げているのだが、一向に命中する気配がじられない。
「クソッ! この変態デブネズミめっ!?」
「ソータさん!? キャップラットが外に逃げてしまいます!」
「逃がすかよっ!」
おそらくこれが最後のチャンスになるだろう。
俺は窓の外から逃げるキャップラットに向かってボールを投げつける。
我ながら完璧なコントロール!
俺の投げたボールは直線に逃げていくキャップラットの頭上に命中することになった。
「よっしゃ!」
だがしかし。
ここで予想外のことが起こった。
どういうわけかキャップラットは、俺の投げたボールをともせずに庭の奧にと駆け出していったのである。
「……あれ? 今のって攻撃が命中しましたね?」
「ああ。たしかにそのはずなんだがな……」
これは一どういうことだ?
神族だろうと、魔族だろうと関係ない。
俺のカプセルボールは投げ當てたを100パーセント使役する効果を持っている。
ボールが命中したのにモンスターが捕まえられないということは初めてであった。
「……そうか! そういうことか!」
何気なくボールを覗き込んだ時、俺は全てを理解することになる。
つまり俺の投げたボールは、キャップラット本でなく頭の上に被っているに命中してしまったのだろう。
先程までアフロディーテがに著けていた水のパンツがボールの中にっているのを確認することが出來た。
「ソータさん。その下著は當然アフロディーテさんに返すんスよね!?」
「シエル。今見たことは忘れろ。いいな?」
「ちょっ!? それはまずいッスよ! やっていることがキャップラットと変わらないじゃないッスか!」
「本當の下著泥棒は……実のところ俺の心の中にいたのかもしれないな……」
「えっ。えええぇぇぇ……」
もともと俺はアフロディーテに濡れを著せられて不當な扱いをけていたのである。
これくらいの役得があっても良いだろう。
何はともあれこの臺詞だけは言うことができる。
神さまのパンツ……ゲットだぜ!
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