それから。

本日の遠征先を決めた俺は目的地とは反対の方角に向かって歩くことにした。

「どうしたんスか。ソータさん。そっちは飛竜の山脈の方向じゃないッスよ？」

「ああ。分かっているよ。俺たちはドラゴンを捕まえに行くんだろ？　ならば相応の準備をしておこうと思ってな」

ギルドから貰ったガイドブックによれば飛竜の山脈にはドラゴンを始めとした『火屬魔法』を得意とするモンスターが沢山いるらしい。

ここで訓練されたゲーマーである俺は考える。

相手の特が分かっている以上、対策を怠る理由はない。

に著けている服を火屬魔法に強い屬裝備に替えておくべきだろう。

【ギルド公認雑貨店　銀の盾】

そう考えた俺は以前に一度訪れた雑貨屋にまで足を運ぶことにした。

エドガー・マートン

別　：男

年齢　：３１

「いらっしゃい。ギルド公認雑貨店にようこそ」

店にるなり俺たちのことを出迎えてくれたのは、オシャレとは無縁そうな小太りの中年男であった。

付嬢のクロエちゃんから仕れた報によると――。

ギルド公認雑貨店とは、冒険者たちにとって役立つアイテムを雑多に揃えた、いわゆる『何でも屋』のことらしい。

國が制定した『冒険者保護法』の恩恵をけたこの店は、様々な免稅措置が取られていて全的にリーズナブルな価格で商品が提供されているのだとか。

「お客さん。本日はどんな品をお求めで？」

「えーっと。火屬の攻撃に耐のある防って置いていますか？」

「なるほど。もちろん取り揃えているぞ！　ちょっと待っていてくれ」

暫く待っていると、エドガーさんは店の奧から大きな箱を取り出してきてくれた。

火妖の　等級Ｄ

（火屬の妖の祝福をけた服。火耐に優れている）

中にっていたのは、俺がイメージした通りの屬防――とは微妙に違っていた。

「あの、この『火妖の』って本當に効果があるのでしょうか？」

「もちろん。ここはギルド公認雑貨店だしな。客のことを騙そうなんてアコギな商売はできないぜ」

「…………」

エドカーさんの言うことは尤もである。

鑑定眼による説明文からも裏付けが取れているし、俺を騙しているわけではないのだろう。

けどな。

１つだけ言わせてくれ……。

どうしてこんな布面積が小さいんだよ！？

デザイン的には前の世界にあった『ビキニ水著』とそう変わらない。

こんなにを出させていれば逆に火傷の危険が増加しそうである。

「なぁ。キャロ。この裝備って本當に効果があると思うか？」

「ええ。たしかに見た目で判斷するとし心もとないじがしますが、重要なのは火妖の加護をけているかどうかです。ギルド公認店で購するのでしたら悪品を摑まされるリスクは軽微と思われます」

なるほど。

理屈としてはビキニアーマーとかと同じようなじなのだろうか。

ゲーム世界での『防力』は布面積によって決定されるわけではない。

場合によってはビキニアーマーみたいなネタ裝備が頑丈な鎧に勝ってしまうこともあるのだろう。

「わぁ！　可い服がたくさんあるわ！　ねぇねぇソータ！　この中から好きな服を買ってもらってよいのかしら？」

「自分も是非是非１つ買って頂きたいッス！　鍛冶の仕事は火傷の危険が付きものですから。この服があれば仕事が捗るッス！」

箱の中にあった様々なデザインの『火妖の』を目の當たりにしたアフロディーテ＆シエルはキラキラと眼を輝かせていた。

う～ん。

の子たちが気にしないなら別にこれでもいいのかな……？

ちなみに出度が高いのは用の『火妖の』だけで男用のは至って普通のデザインをしていた。

なんだか微妙に釈然としない気分だが、効果はたしかということなので気にしないでおくことにしよう。