《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》初めてのカジノ

「な、なんじゃこりゃ――!?」

それから、30分後。

ようやく見つけたバクラジャ商會の建ると、そこにあったのは信じられない景であった。

カジノ。

カジノである。

奴隷商館の中にったはずの俺たちの視界にったのは、カジノとしか形容できないアミューズメント施設であった。

カード。ビンゴ。スロット。ルーレット……などなど。

カジノの定番とも呼べるゲームも揃っているようであった。

「凄い! 凄いわ! アタシ……1度で良いからカジノで遊んでみたかったのよね!」

そう言って語るアフロディーテの眼差しはキラキラと輝いたものになっていた。

以前に言っていたっけな。

アフロディーテが住んでいた天界っていうのは、地上に比べて娯楽がなくて退屈な場所だったみたいである。

だからまぁ、カジノに憧れるアフロディーテの気持ちは分からなくもない。

「妙だな。ここは奴隷商館なのに……どうしてカジノがあるんだろう」

「なんだって良いわよ。ねぇ。ソータ! 早くお金を出しなさい。今日はカジノで遊んでいくわよ!」

「…………」

俺が……俺がしっかりしなければ……。

アフロディーテのやつは當初の目的を完全に失念しているみたいである。

お前たしか……さっきは個人的な事で散財は許さないとか言っていなかったか?

「おやおや。お客さま。當店は初めてでございますか」

ロスト・トリザルティ

別:男

年齢:84

  聲のした方に目を向けると、やたらと形の男がそこにいた。

ん? 年齢84歳!?

どういうことだろう。

外見的には10代後半から20代前半なのだが……。

見た目は人間にしか見えないけど長壽の種族なのだろうか。

「えーっと。貴方は……?」

「申し遅れました。私の名前はロスト。バクラジャ商會の総帥代理にして、當カジノのオーナーにございます」

「…………」

なるほど。

この男が噂の新オーナーというわけか。

オーナーが替わってからバクラジャ商會の業績が上向いたという話なのだが、何か理由があるのだろうか。

「あの、この店では奴隷を買えると聞いたのですが……」

「もちろん購頂けますよ。ウチの店で働いているスタッフは全て商品でございます。お客さまがゲームに勝利すれば好きなスタッフを奴隷として購しても構いません」

「えっ。はぁ……!?」

よくよく見るとバニーガールたちの首からは『100萬コイン』・『300萬コイン』などの値札が吊り下げられていた。

ということは此処にいるバニースーツを著ている綺麗なお姉ちゃんたちって……全員お持ち帰り可能なのか!?

ムハー!

これは夢が膨らんできたわ。

「コインっていうのはゲームに勝てば稼げるのか?」

「おお! よくぞご存じで。當店のカジノシステムは富裕層のお客さまたちから大変ご好評を頂いております。今ではセイントベルの奴隷商會の中でも売上ナンバーワンの実績を上げているのですよ」

ようやく話が繋がってきた。

バクラジャ商會の業績が上向いた理由は此処にあったんだな。

たしかに普通に奴隷を売るよりもカジノの景品として売り出す方が、幸心が煽られて実りが良さそうである。

つまりは……ソシャゲのガチャと同じようなカラクリなのだろう。

「コインはあちらの料金所で購することが出來ます。それではお客さま。當店を存分に楽しんで下さいませ」

ロストと名乗る男はそう告げると俺たちの元から離れていく。

「……ソータ。さっきの男……キャロと同じ魔族よ」

「魔族!? どうして魔族がここにいるんだ」

「そんなこと知らないわよ! アタシに聞かないでよね!」

これで年齢と外見が一致しない理由にも納得した。

どうして魔族がカジノのオーナーを務めているのだろうか。

々と疑問は湧き上がってきたが……俺は深く考えないことにした。

だってそうだろう?

この世界にはキャロライナのように善良な魔族もいる。

相手が魔族だからと言って変に差別意識を持つのは良くないからな。

汗水垂らして必死に働いている魔族の正をバラして、不幸に追いやるような人間だけにはなりたくない。

そう考えた俺は目的の奴隷をゲットするためにカジノで遊んでみることにした。

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