《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》スパイ活

ここまでのハイライト――。

俺とアフロディーテは1日にして合計で1000萬コル以上の大金を失うことになった。

もっともその訳はアフロディーテが95パーセント以上を占めているのだが……そのことは掘り返しても仕方がない。

額が違うというだけで俺も同罪だろうからな。

「ね、ねぇ。ソータ。貴方……こんなところに連れ込んでアタシに何をするつもりなの!?」

今現在。

俺はアフロディーテと2人でトイレの個室の中にいた。

「も、もしかしてカジノでお金を溶かしちゃった罰として……エ、エッチなことをするつもりじゃないでしょうね!?」

「……はぁ?」

「ソータの鬼畜! 悪魔! エロポンタン! の子の弱みに付け込んでトイレでを発散しようだなんて……ソータは最低の男ね!」

「ちげーよ。ちげーからし黙っていてくれ」

まったく……お前は俺のことを発期の猿か何かと思っているのかよ。

こんな狀況で下心なんて抱くはずがないだろ。

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「ディーは不思議に思わなかったか? このカジノのゲームは何処か変だ。妙に確率が偏っている気がするんだよな」

ゲームに負けた後に他プレイヤーの向を観察していたのだが――。

やはり同様の結果を得ることが出來た。

額のコインを賭けた時に比べて大勝負を仕掛けた時の勝率が極端に低いのである。

「たしかに……。言われてみるとそんな気がしないこともなかったけど……」

「俺の予想が正しければやつらは不正をしている。俺たちがカジノでカネを失ったのはやつらの不正が原因なんだ」

「……!? そう。そういうことだったの!」

同意を求めるとアフロディーテは語気を強くして首を振っていた。

「ああ。だからちょっとばかり……奴らの不正を暴いてやろうと思ってな。ディーは俺のを見張っていてくれ。何かあったらコンタクトのスキルで異変を知らせてくれよ」

そこで俺が召喚したのは長50センチくらいのキツネビというモンスターである。

の小さいこいつなら排気口を伝って従業員の部屋にまで移できるに違いない。

「ちょっ。ソータ。何をする気なの!?」

「言っていなかったっけ? 俺の持っている《作》のスキルを使うと魔神にることが出來るんだよ」

「初耳よ!?」

作 等級B アクティブ

(使役中の魔神を乗っ取るスキル)

非常に汎用の高い《作》のスキルであるが使用中は、が無防備になってしまうという欠點があった。

そこで今回はアフロディーテにを見張ってもらおうと考えていた。

「よし。そんじゃあスキルを使うから後のことは頼んだぞ」

キツネビの神にった次の瞬間。

俺のは力を失いパタンとアフロディーテの方に倒れこむことになる。

「あっ。ちょっと! ソータ……ええええぇぇぇぇぇ!?」

アフロディーテは抜け殻となった俺のを抱きかかえながらも、戸いの聲をらしていた。

(それじゃあ行ってくるわ。俺が見ていないからと言って俺のにエロいことをするんじゃねーぞ)

(ししし、しないわよバカ!)

冗談を本気でけ取り過ぎじゃないだろうか。

俺の言葉を聞いたアフロディーテは何故か顔をタコみたいに赤くしていた。

~~~~~~~~~~~~

それから。

キツネビのった俺は排気口を渡り歩いていた。

不思議だよな。

自分のだったら絶対にこんな汚い場所にりたくないと思うが、他人のを借りている時は余裕で潛っていけるぜ。

「ハハハッ。まったく……笑いが止まらねーぜ」

「ああ。あの金髪巨人だろ? あの容姿……貴族の人か何かでもやっていたんだろうか」

暫く歩くと下の階から男の聲から聞こえてきた。

金髪巨人?

もしかしてアフロディーテのことを言っているのだろうか。

「しかし、どうしてこう……カジノに來る客っていうのは頭の足りない連中ばかりなのかねぇ」

「まったくだ。やつら……オレたちが闇屬の幻魔法を使ってカードの絵柄を自由に変えているとは夢にも思っていないだろうな」

「…………!?」

こんなにも早くイカサマの証拠が挙がってくるとは予想外である。

魔法……。

闇屬の魔法の中にはそんな種類のものがあったのか。

ディーラーがカードの絵柄を自由に変えられるのであれば絶対にカジノ側が負けないギャンブルの完である。

絶対に許さねぇ!

倍返しにしてくれる……!

「お前たち……。何をサボっている」

「「ロ、ロスト様!?」」

暫く天井から中の様子を窺っていると、カジノのオーナーであるロストという男が出現する。

「さっきの金髪の小娘はどうした? 搾り取れるだけ搾り取れという命令を出していたはずだよな?」

「へいっ。こいつを見てくだせぇ! 軽く1000萬コル以上は毟り取りましたぜ。これも全てロスト様が教えてくださった幻魔法のおかげです」

「……ボクが聞いているのはそういうことではない。肝心の小娘は今どこにいるのかと聞いているのだ」

「へ? 小娘ならギャンブルに負けて涙目で卓から出て行きましたが……。もしかして何か用が……ぼげぇっ!?」

おいおい。

これは一どういうことだ?

何を思ったのかロストは従業員の男に向かって拳を振るい始めていた。

「ボクは何時も言っているだろう? 頭の悪いは借金漬けにしてウチの商品に仕立て上げろと。

あのの容姿ならし蕓を仕込んで変態貴族の元に売り込みにいけば、なく見積もっても3000萬コルの値打ちはついただろう」

「グボッ……。ロスト様……どうかお許しを……」

「だから貴様たちはクズなのだ! 貴様たちが無能なせいで稼げるはずだったカネを取り損ねた! どうしてくれる!?」

「…………」

これは酷い。

従業員の男たちは泣きながら許しを求めていたが、それから顔が腫れあがるまでに毆られ続けていた。

どうやら俺は1つ勘違いしていた。

不正に加擔した従業員にも罪はあるが、諸悪の源はロストという魔族にあるらしい。

「このクズ! これだから劣等種の人間と付き合うのは嫌なのだっ!」

「ゴハァッ……」

ロストに容赦のない足蹴りを浴びせられた従業員は、意識を失ったまま床の上に転がることになった。

俺は怒っている。

イカサマでカネを毟り取られたこともそうだが、人間をゴミとしか見ないロストの言には憤りを抑えることができない。

キャロライナ・ユウコのような善良な魔族とは違う。

ロストはリックさんが言っていたような邪悪な魔族なのだろう。

事態の真相を知った俺は新生バクラジャ商會に対して復讐を誓うのであった。

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