《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》VS 竜王

それから。

勝負の行方はワンサイドゲームと呼ぶに相応しい展開になった。

「ンフゥ。そうよ。その顔よ! アテクシはずっと……アータのその絶顔が見たかったのよ!」

「……カハッ」

クルルが拳を打ち込む度にキャロライナは苦悶の表を浮かべる。

「ご主人……さま……」

クルルの力は絶対的でキャロライナに付ける隙を與えない。

かと言って頼みの綱のカプセルボールは風の鎧によって完全に無力化されてしまっている。

その後、何度かボールを投げたが気を反らすことすら出來はしなかった。

「貴様! カゼハヤ! 何をやっている!?」

棒立ちしている俺に不満を募らせたのだろう。

俺の倉を摑んだロストは怒りをわにしていた。

「キャロライナ様がピンチだぞ! 早く得意の奇策を考えないか!」

「……もうやっている。けど、今回ばかりはお手上げだ。クルルを打ち破る作が全く思い浮かばねえ」

そもそもにして基本のスペックからして違いすぎる。

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圧倒的な格上の相手に手のまで読まれてしまっては打つ手なしだろう。

「……チッ。カゼハヤ……見損なったぞ。こうなったらボクが行く!」

おいおい。

自分のステータスを考えろよ!?

あの2人の人外バトルに凡人のロストがっていったところでプラスになることは1つもない。

「バカッ! 止めとけって!」

「知ったことか。男には……命を賭けてでもし遂げなければならないことがあるのだ!」

ロストの暴走を止めるために肩を摑んでいたタイミングであった。

ピコーン! と。

俺の脳裏にアイデアが閃くことになる。

なるほどな。

命を賭けて……か。

この絶的な狀況を切り抜ける手段が見つかったかもしれない。

「ありがとな。ロスト。お前のおかげでクルルを倒す方法が分かったよ」

考えてみれば簡単なことだった。

もともと敵は圧倒的に格上の相手なんだ。

そもそも正攻法でどうにかしようと考えていた間違いであった。

「ロストは俺のを見ていてくれ」

一発逆転を狙った俺が召喚したのはアダマイトゴーレムである。

うおっ!

作でアダマイトゴーレムのに乗り移ったのは初めてだが、思っていた以上に視線が高くてビックリするな。

「き、貴様――! カゼハヤ! 何を寢ているんだ!? 貴様が寢たら誰がキャロライナ様を助けるのだ――!?」

突如として意識を失った俺を目の當たりにして、ロストはパニックに陥っているようであった。

コンタクトのスキルで事を説明することも出來るのだが、今は1秒でも時間が惜しい。

(うぉぉぉおおおおおおおおお!)

アダマイトゴーレムに乗り移った俺はクルルに対して渾のタックルを食らわせる。

「ンフゥ。ゴーレム? そんな雑魚モンスターに何ができるというのかしら」

たしかに通常であればアダマイトゴーレムでは絶対にクルルを敵わないだろう。

だがしかし。

ステータスでは勝てなくてものサイズならばクルルを上回っている。

ダメージを與えることは出來なくても全重を乗せてタックルすれば、クルルのかすことくらいなら出來るはずである。

「なっ……」

ふふふ。

ようやく俺の狙いに気付いたようだな。

俺の狙いはタックルでダメージを與えることではない。

捨ての攻撃で自分のごとクルルをマグマの中に突き落とすことであったのだ。

「チッ。この……離せぇぇぇえええええええ!」

クルルのに絡みつきながらもマグマの中にダイブすると、ジュウとの焦げる音が聞こえてきた。

ぬおっ。

マグマの中って……こんな風になっていたんだな。

炎の赤に染まった視界では何一つとして周囲を見通すことは出來はしねえ。

だが、それでも構わない。

とにかく今は目の前の相手を離さないことに集中すればいいのだから。

「ギャャャァァァアアアアアアア!」

暫くするとクルルの悲鳴が聞こえてきた。

どうやら俺の狙いは正しかったみたいだな。

火屬攻撃無効 等級A パッシブ

(火によるダメージを無効化するスキル)

火屬攻撃無効のスキルを持ったアダマイトゴーレムならばマグマの中にっても自由にくことができる。

だがしかし。

一緒にったクルルは別である。

俺たちのステータス差はフィールドを変えることで逆転した!

「バ、バカなっ。アテクシが……いずれ魔王となるはずだったアテクシが……こんなところで……」

炎の中にいるせいでクルルの表を確認することは出來ない。

しかし、彼の言葉から驚愕と絶を読み取ることは容易であった。

作スキル……解除!

本音を言うとサキュバスのを味わっていたいところだったが、當然今はそんな余裕はない。

地面に足を付けた俺は急いでマグマの傍に駆け寄りアダマイトゴーレムをボールの中に戻す。

危なかった。

あとしでもクルルに粘られていたら、距離が遠すぎてアダマイトゴーレムをボールの中に戻すことが出來なかっただろう。

「カゼハヤ! 良くやったぞ!」

「ご主人さま!」

命を賭けた戦いから解放されて安堵したのだろう。

キャロライナ&ロストは俺のをギュッと抱きしめた。

ハハハハッ。

このを味わえるだけでも頑張ったかいがあったというものだろう。

鬼とサキュバス。

長きに渡る激闘は2人のメイドのおっぱいに挾まれながらも幕を下ろすのであった。

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