《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》監獄生活(前編)

監獄生活2日目。

相変わらずに狀態異常『衰弱』のステータスは維持されたままである。

絶対におかしい。

1日経っても狀態異常が回復しないということは今までの経験からは考えられない。

思い當たる可能は1つ。

1日2回出される食事の中に、狀態異常『衰弱』を引き起こす薬が混されているのではないだろうか?

そうとしか考えられない。

明日からは出される食事をトイレに流して、狀態異常を回復できないか試してみることにしよう。

監獄生活3日目。

寒い。腹が減った。

知らなかった。人間っていうのは1日メシを食わないだけで、これほど衰弱しちまうもんなんだ。

腹の減りに関してはギリギリ我慢できないこともないのだが、それ以上に深刻なのはの渇きである。

食事を抜いていることは看守たちに悟られるわけにはいかない。

これからはなるべく看守たちと目を合わさないようにしていこう。

監獄生活4日目。

おかしい。

食事を抜いているはずなのに狀態異常から回復しない。

そろそろ水を飲まないとの方が限界だ。

明日までに狀態異常から回復しない場合は何か別の作戦を考えるしかない。

監獄生活5日目。

クソったれ!

看守たちの會話を盜み聞いて判明したのだが、どうやらこの監獄塔は換気口から全に微弱な『衰弱の薬』が散布されているらしい。

つまりは食事を抜いた程度では『衰弱』の狀態異常から回復することが出來ないのである。

俺の考えが甘かった。

ここは兇悪犯罪者専用の世界最大の犯罪者収容施設。

そう簡単に獄は出來そうにない。

監獄生活6日目。

食事を取るようになってからはしだけ元気になってきた。

腹は満ちたし、も潤った。

けれども、俺の心はどんよりとした雲に覆われたままだった。

次に俺を襲った異変は『孤獨』だった。

監獄塔で生活するようになってから1週間が経ちそうだが、今日に至るまで俺は全くと言って良いほど他人と會話していない。

まるで世界の中に俺1人だけが取り殘されたかのような気分であった。

監獄生活7日目。

誰かに會いたい。

ほんのしでも良いから誰かと他のない會話がしたい。

アフロディーテたちは元気にしているだろうか?

まさか俺が捕まった後に看守たちに捕まってはいないよな?

いかん。自分が不甲斐なさ過ぎて涙が出そうだ。

今の俺には仲間たちの安否を確認することすら出來はしない。

これまで『當たり前』にあったはずの日常が、どれだけ恵まれたものだったのかが今なら分かる。

監獄生活8日目

もしかしたら『誰かに會いたい』という俺の願いが神さまに通じたのかもしれない。

その男との再會は――思いがけないタイミングで訪れた。

「まったく……。こんなところで貴様に出會うことになるとはな……」

えっ。この男はもしかして……?

鑑定眼のスキルを発出來ないため、名前を確認することが出來ないが、男の顔立ちにはたしかに見覚えがあった。

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