《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》

看守たちの目を掻い潛ることに功したシエルたちは、目的地である監獄棟8階にまで到著していた。

道中に出會った看守の數は枚挙に暇がないが、ロスト&レミスのコンボ攻撃によって迅速に無力化することに功していた。

「ウォーターストーム!」

超高圧で噴出される水は、時にダイヤモンドすら切り裂く威力を誇っている。

レミスの放った水屬魔法は鉄格子の檻を切斷した。

「ソータさん!」

信じてたぜ! みんな!

檻の中にれられた俺を助けてくれたのは、シエル・ロスト・レミスさんの3人だった。

仲間たちの顔を見た途端、俺のの奧から底知れない力が湧き上がってくる。

「早く外へ! 出の経路は考えてあるッス!」

そうだよな。

殘念ながら俺たちには再會のに浸っていられる余裕はない。

とにかく今は一刻も早く監獄塔からの出を目指していくことにしよう。

「ちょっと待って。1人、一緒に連れていきたいやつがいるんだ」

斷りをれた俺は視線を落としながらも蹲る男に向かって手を差しべる。

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「……不可解だ。何を企んでいる」

こちらを見上げるクロウは骨に警戒心をにしていた。

無理もない。

魔族狩りに所屬するクロウと、魔族と一緒に暮らしている俺は、基本的に相容れない存在だからな。

今まで敵対関係にあった人間からける親切ほど怪しいものはないだろう。

「……別に助けたくて助けてわけじゃねーよ。ただ、あの城の中にいる魔王を倒すにはお前の協力が必要だと思っただけさ」

今でこそ『衰弱狀態』によって力を失っているが、調子を取り戻したクロウの実力は未だに底が知れない。

城の中で囚われているキャロライナを助けるために利用できるものは何でも利用しておきたい。

「カゼハヤ。お前の考えは分かった。しかし、貴様のその考えはそこにいる彼も同意してのことだったのか?」

そうだった! キャロライナを助けることばかり考えていて、レミスさんの気持ちをすっかりと忘れていた。

この男にはレミスさんの眷屬であったタツノコファイターを慘殺した過去があるんだった。

もしかしたらクロウと協力することは、レミスさんにとって本意ではないことなのかもしれない。

「大丈夫ですよ。過去のことは全て水に流します。クロウさん。ソータさまが認めるのであれば、今日から貴方はわたくしたちの仲間です」

流石はレミスさん! なんての広いなんだ!

眩しい。全ての罪をれてくれるレミスさんの笑顔は、聖母とタイマン張れるレベルだと思う。

「……おい。もしかしてお前」

そこで俺は重大な問題に気付く。

異世界に召喚されてからに対する耐値をメキメキと上げてきた俺ですらレミスさんの笑顔はクラッと來てしまうものである。

貞エリートのクロウにとって、さっきの一撃はいささか荷が重いものだったのではないだろうか?

「……レミスさんのこと好きになっちまったとか?」

「は? はぁぁぁぁっ!? んなわけねぇだろ!!」

クロウは顔を赤くして分かりやすく揺していた。

「誰が魔族ののことなんか好きになるかよ! バーカッ! バーカッ! カゼハヤのバーカッ!」

お前は好きなの子に意地悪しちゃう小學生男子か!

ムキになって否定するクロウは両手で顔を覆ってモジモジとを揺らし始める。

「ヤバイ! 追手がもう7階にまで迫っているぞ!」

階段下の様子を伺っていたロストは青ざめた表で報告をする。

んなぁぁぁあああああああああ!?

クロウのことを貞ネタでイジっている場合ではなかった!

7階ってことは俺たちのいる階の直ぐ傍だよな?

もしかしてこれって……いきなり詰んでるんじゃないか!?

「大丈夫。手はあるッス! ソータさん! このままひとまず屋上を目指しましょう!」

頼もしい言葉を投げかけた『著いてこい』と言わんばかりの勢いで階段を上っていく。

ええい。

こうなったら乗りかけた船だ。

屋上からどうやって出するのかは疑問であるが、ひとまず今はシエルの言葉を信じるしかないだろう。

~~~~~~~~~~~~

監獄塔の屋上に到著した俺たちを待っていたのは、アフロディーテ&ユウコのコンビであった。

「のっ。のじゃ~! ど、どうして妾がこんな目に~!」

力技にもほどがある!

シエルの考えた屋上からの出方法は、ユウコの『浮遊能力』に頼るだけであった。

「お、重い~! 重過ぎるのじゃ~!」

ユウコがトマトのように顔を赤くするのも無理はない。

何を隠そうユウコは、俺、クロウ、アフロディーテ、シエル、ロスト、レミスという6人のを一手にして支えているわけだからな。

「へへ~ん! 謝しなさいよ~! ソータってばアタシたちに一生かけても返せない恩を借りたわね!」

俺のを支えている神さまは、逆さまの姿勢になりながらも得意気な表を浮かべていた。

お前は何か役に立ったのか?

ユウコにを支えながらも部屋の中を覗いていただけじゃないのか?

などと々とツッコミをれたいところであったが、今回ばかりは我慢しておこう。

「ああ。そうだな」

あの時の俺の心がお前のマヌケ面に救われたのも確かである。

もしかしてアフロディーテって本當に神さまなのか?

みたいなことを正直、今更ながらに思ったりもした。

「ユウコさん! 頑張って下さいッス! もうししたところで逃走用の亀車をレンタルしてますから!」

個人的には今回の作戦の指揮を取ってくれたシエルに一番の功労賞を與えたい。

キャロライナが不在となってしまうと、俺たちパーティーは圧倒的なINT(知力)不足に陥りかねないからな。

ちなみにプカプカと空を漂う俺たち勢は以下のようなじである。

ユウコ → アフロディーテ → 俺

→ ロスト

→ レミスさん → クロウ

→ シエル

衰弱狀態の俺とクロウは除外するとして、他メンバーに関してはステータスの『筋力値』を參考にしたフォーメーションなのだろう。

互いに足を抱えなければならないのでユウコ以外の全員が『逆さ』になりながら會話している現在の狀態は、非常にシュールなものであった。

なんだか運會の組の時に作った『人間ピラミット』を思い出すぜ。

「それにしてもまさか……ロストまで助けに來てくれるのは意外だったよ」

正直に言うとこれまで俺は、ロストに対して恨みを買われるような行為ばかりをしてきたような気がする。

違法カジノで詐欺行為を働いていたことの『懲罰』と稱して、エッチな下著を穿かせたり、エッチなマッサージをさせたりもした。

「――勘違いするな。カゼハヤよ。ボクがお前を助けた理由はただ一つ、魔王城で捕らえられているキャロライナ様を助けるにはお前の悪知恵が必要だと思ったからな。それ以上の理由は存在しないからな」

心なしか得意気な表でロストは言った。

理由が何であれ助けにきてくれたことは純粋に嬉しい。

だからまぁ、今日のところはロストのスカートが重力に負けて、パンツが見えていることはにしておいてやろう。

他のの子たちは男の視線を気にしての間にスカートを挾むなどの工夫をしている中、ロストだけは出度の高い黒レースの下著を丸出しにしていた。

この辺り、元々の別が男だからガードが甘くなるのは仕方のない部分なのかもしれない。

「ぐわああああああ! クロウ! お前、!? 何鼻を出しているんだよ!?」

しまった!

俺1人ならばパンツのを墓場に持って行けたかもしれないが、隣にいるピュアピュア貞野郎の存在を忘れていた。

「……す、すまない」

謝罪している間もクロウの鼻は止まらない。

泉のように湧き出したクロウの鼻は、地面に向けての雨を降らせていた。

「お、お前たち! いい加減にせぬか! これ以上、暴れるのであれば、そのまま地上に叩き落とすのじゃ!」

俺たちが騒げば騒ぐほど支えている人間の負擔が増していくのだろう。

顔を赤く腫らしながらもユウコは聲を大にしてぶのだった。

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