《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》エピローグ1 出會いと別れ

それからのことを話そうと思う。

世界に混沌をもたらす邪悪――ヒュンケルが打倒されてひとまず世界に平和が訪れることになった。

スパイフィッシュとして第二の人生をスタートした俺は、充実した魚介類ライフを満喫している。

……。

…………。

ごめん。噓である。

天界に戻り本來の力を取り戻したアフロディーテは、聖屬の魔法においても常識外れの力を誇っていた。

ヒュンケルの掌に潰された俺のは修復されて、無事に元のに戻れるようになっていた。

「――懐かしいな。この草原」

草木の匂いを乗せた、爽やかな風が吹き抜ける。

初めて異世界にやってきた日、ここでゴブリンたちを獲していたっけ。

神の羽を引っ張られてゴブリンたちの翻弄されるアフロディーテの様子は、今でも昨日のことのように思い出せる。

今となっては良い思い出だが、あの時は今後の先行きについて本気で不安に思っていたっけな。

「……本當に行っちまうんだな?」

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隣にいるアフロディーテの橫顔は何処か憂げで、普段よりもちょっとだけ大人びて見えていた。

「そうさせてもらうわ。ソータも帰る気があるなら今のよ。《始まりの草原》のゲートが有効なのは今日の夕暮れまでだから」

元をただせば俺たち地球人が異世界に送り込まれた目的は、『やがて復活する予定の魔王を倒すこと』であった。

後になってから分かったことだが、俺たちの目的は正確に言うと、『魔王のを乗っ取ったヒュンケルを倒すこと』だったんだな。

兎にも角にも目的を果たしからには俺たちは自由である。

草原に出現したゲートを利用して元の世界に戻っても良いし、継続して異世界で暮らしても良い。

「俺は殘ることにするよ。アーテルハイド(ここ)にはやり殘したことがあるからな」

元の世界に戻ってボールの中にれてお持ち帰りしたの子たちと生活するのも魅力的だが、殘念ながら今はそんな呑気なことを言っていられない狀況になっている。

異世界に留まることを決めた俺。

天界に戻ることを決めたアフロディーテ。

これからはきっと、それぞれの道を歩み続けることになるのだろう。

「それじゃあアタシはこの辺で。キャロたちのこと、泣かせたら承知しないからねっ!」

俺の肩を叩いたアフロディーテは草原に出現したの方に向かっていく。

「ああ。任せろ」

他人から指摘されるまでもなく覚悟は決めているつもりだった。

たちは俺がこの世界で手にれた掛け替えのない寶である。

これから俺は、キャロライナのことを、シエルのことを、ユウコのことを、ロストのこと、レミスさんのことを、ルーミルのことを、ずっとずっと守って、ずっとずっとしていくつもりである。

「ねぇ。ソータ。最後に言い忘れていたことがあるんだけど――」

アフロディーテ振り向きざまに満面の笑みを浮かべて――。

「好き」

これ以上ないくらいのストレートな言葉を口にする。

はっ! はあああああぁぁぁ!?

なんだよそれ!? どうして今このタイミングで!?

マジかよ……。

こういうイベントってもっと丁寧に伏線を張った上で起きるものだと思っていたぜ……。

、俺はどこでフラグを立てたというのだろうか?

「……そうか。もう行っちまったんだな」

訪ねたいことは山ほどあったが、肝心のアフロディーテの姿は何処にもいない。

頬に殘った微かな溫もりだけが、先程まで傍にいたはずの彼の存在を証明していた。

(あとがき)

久しぶりの更新になります。本編完結まで、殘り1話となっております・・・。

【お知らせ1】

なんと!!!!!!!!!!!!?

異世界モンスターブリーダーのコミカライズ企畫が進行中となりました。

これも今日まで支えてくれた読者の方々のおかげです。本當にありがとうございます。

詳細は追って報告します。

【お知らせ2】

小説家になろうというサイトで新連載を始めました。

その最強、Fランク冒険者に転生する ~ 剣聖と魔帝、2つの前世を持った男の英雄譚 ~

https://ncode.syosetu.com/n3922fh/

最強の魔法剣士がFランク冒険者に転生して無雙する話です!

モンスターブリーダーの読者なら、こちらも絶対に楽しめると思いますので、ぜひとも応援よろしくお願いします!

上記のURLから作品ページに飛ぶことができますよ~。

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