《《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーでり上がる。いまさら戻って來いと言われても、もう遅い……と言いたい。》4-2.ロリババァだったら、良かったのに!
場所は、トラシュの森にあるダンジョンの前線町である。ダンジョンというのはキノコみたいに、ニョキニョキ生えてくる。
その周囲に冒険者たちは、前線拠點を置くことが多い。
ダンジョンと拠點の位置は近いほうがいい……って発想で、発展すると、ときおりダンジョンの周りに、町そのものが出來ちゃうことがある。
それが、前線町である。
「しばらく安靜にしていれば、たぶん大丈夫なのですよ」
トラシュの森というのは、背の高い木々に覆われている。草木生い茂った樹海には、など屆くわけもない。かわりに発するキノコが各地に生えている。幻想的っちゃ幻想的である。
そんな町中にある宿の1室を借りていた。つい先日、スケルトン・デスロードを倒したことによって、懐が潤っているかと思いきや、マッタクそんなことはない。
この《炊き立て新米》パーティの3人は、やたらと食う。食費がかさむので、魔結晶が貯まらないのである。……堪んねぇ。
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ベッドに、ネニとマグロの2人を寢かせた。
宿のなかも薄暗いのだけれど、部屋の隅々に発するキノコが生えているため、完全な暗闇ではない。
「さて、困ったことになった」
「何がじゃ?」
「ゆいいつ我がパーティで戦力として使うことが出來たマグロがこの通り、キノコを食ってノックダウンである」
「うむ」
「ネニは眠っておられる」
「うむ」
「しかしながら、我がパーティは日々の食費のために、休んでいる暇はないのだ」
「どうするのじゃ?」
「そこで今日は、デコポンにダンジョンに行ってもらうことにする」
「のじゃー」
と、デコポンは必至にかぶりを振っていた。真ん中分けにしている青い髪のが、左右にぶんぶん揺れている。
「おう、ヤル気は充分みたいだな」
「違うのじゃ。私には戦うことなんて出來ないのじゃ。だって盾役だし」
「盾役でも、戦うことぐらいは出來るだろ。案ずることはない。オレの強化で強化してやるから」
「うぅぅぅっ」
「魔結晶がなければ、飯も食えんぞ?」
「し、仕方ない。やってみるのじゃ」
「おう。その意気だ」
ネニとマグロを宿にあずけて、オレとデコポンの2人はダンジョンへと向かうことになった。
この発するキノコの生い茂る町の、その中央にダンジョンは生えていた。
その道中では、前線町らしく多くの冒険者が行きっていた。を流している冒険者を見るたびに、「ひぃ」とか「ふぇ」とかデコポンはけない聲をあげていた。
「ひとつ不思議なことがあるんだけれども」
と、オレは切り出した。
「なんじゃ?」
「デコポンは、ビビりなんだろ?」
「いいや。私はビビりなんかではないのじゃ。なにをトンチンカンなことを言っておるんじゃ?」
「あ、そうなんだ。後ろにクマがいるよ?」
「びぇぇぇーっ」
と、デコポンは盾に閉じこもってしまった。盾が大きくて、カラダが小さいから、完全にカラダが隠れてしまっている。
「ウソだよ。ビビりじゃないって言うから、チョット驚かしてみただけだ」
「ナナシィは格が悪いのじゃ」
「足元に蛇いるよ?」
「びゃぁぁっ」
なにを言っても、すぐに驚く。なんだか面白くなってしまった。
當の本人は真剣にビビっているのであって、息を荒げて、目に涙を浮かべている。その表を見ると、嗜的な興をおぼえてしまう。
もっとイジメてやろうかしら……なんてイタズラ心が顔を覗かせたのだが、さすがにカワイソウだと慈悲の心が勝ってしまった。
「そんなにビビりなのに、よく冒険者になろうと思ったな」
「冒険者は、稼ぎが良いのじゃ」
「たしかに、手っ取り早く魔結晶を手にれるには、冒険者が良いかもしれないけどさ。死ぬかもしれないぜ」
水売りだとか、パン屋だとか、お花屋さんだとか、飲食店だとか、いろいろと選択肢はあったと思う。
「実は、私はデコポンという名前ではないのじゃ」
「え? 偽名?」
「マグロにつけてもらった仇名なのじゃ」
「本名は?」
「ディ××ク××ポゥ××ン」
「えっと、なんて言ったのか、聞き取れなかったんだけど」
デコポン。
そう聞こえなくもない。
「人間ではないのじゃ。私はハーフエルフなんじゃ。だから使う言語も人間とはチョット違っているのじゃよ」
デコポンはそう言うと、青い髪を持ち上げて見せた。髪ので隠されていてわからなかったが、たしかに耳が人よりも尖っている。エルフの的特徴だ。
「なるほど! じゃあ14歳というのもウソだな。エルフってことは、140歳ぐらいなんだろ」
「なっ。違う! ワシは決して140歳なんかではない! ピッチピチの14じゃ」
「あ、今、ワシって言った?」
「いってない!」
「そうなんだ。ロリババァじゃないんだねー」
「なんでそんなに悲しそうなんじゃ?」
と、首をかしげている。
「ほら、ロリババァって、見た目はロリだけど、年齢はババアだから。いろいろとエッチなことしても許されるだろ。合法的にヤれるわけで。なんならオレのことをリードしてくれるかもしれないし」
「ナナシィは、そ、そんなオゾマシイことを考えていたのか!」
「冗談だよ、冗談」
なかば本気だったけど。
オレはこんなにもイケメンなのに、なぜかいまだに貞なのである。経験がないのだ。ロリババァなら、優しくリードしてくれるかと思ったんだけど、マジで未年なら、まぁ、そういう目で見るのは良くないな。
ロリババァでも、そういう目で見るのは良くないな。
「なんかチョット本気っぽくて怖かったのじゃ」
「そっか。ハーフエルフなんだ。それはいろいろと苦労してそうだな」
この世界は、人間至上主義が蔓延している。人間がイチバン偉い。その次にエルフやら獣人族がいる。そしてハーフエルフというのは、さらにその下だ。働かせてくれと言っても、雇ってくれないところも多いだろう。
「マグロが私のことをパーティに加えてくれたのじゃ。じゃから私は、冒険者として続けていこうと思っている。それに、故郷のこともある」
「故郷?」
「私たちハーフエルフの故郷は、いまは王國領になっているのじゃ。いつか魔結晶をかせいで、買い戻してやろうと決意しておる」
「そっか」
それがビビりながらも冒険者をつづける、デコポンの背景というわけだ。
《書籍化&コミカライズ》神を【神様ガチャ】で生み出し放題 ~実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします~
KADOKAWAの『電撃の新文蕓』より書籍化されました。2巻が2022年5月17日に刊行予定です!コミカライズも決定しました。 この世界では、18歳になると誰もが創造神から【スキル】を與えられる。 僕は王宮テイマー、オースティン伯爵家の次期當主として期待されていた。だが、與えられたのは【神様ガチャ】という100萬ゴールドを課金しないとモンスターを召喚できない外れスキルだった。 「アルト、お前のような外れスキル持ちのクズは、我が家には必要ない。追放だ!」 「ヒャッハー! オレっちのスキル【ドラゴン・テイマー】の方が、よっぽど跡取りにふさわしいぜ」 僕は父さんと弟に口汚く罵られて、辺境の土地に追放された。 僕は全財産をかけてガチャを回したが、召喚されたのは、女神だと名乗る殘念な美少女ルディアだった。 最初はがっかりした僕だったが、ルディアは農作物を豊かに実らせる豊穣の力を持っていた。 さらに、ルディアから毎日與えられるログインボーナスで、僕は神々や神獣を召喚することができた。彼らの力を継承して、僕は次々に神がかったスキルを獲得する。 そして、辺境を王都よりも豊かな世界一の領地へと発展させていく。 ◇ 一方でアルトを追放したオースティン伯爵家には破滅が待ち受けていた。 アルトを追放したことで、王宮のモンスターたちが管理できなくなって、王家からの信頼はガタ落ち。 アルトの弟はドラゴンのテイムに失敗。冒険者ギルドとも揉め事を起こして社會的信用を失っていく…… やがては王宮のモンスターが暴れ出して、大慘事を起こすのだった。 舊タイトル「神を【神様ガチャ】で生み出し放題~「魔物の召喚もできない無能は辺境でも開拓してろ!」と実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします。え、僕にひれ伏しているキミらは神様だったのか?」 第3章完結! 最高順位:日間ハイファンタジー2位 週間ハイファンタジー3位 月間ハイファンタジー5位
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