《《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーでり上がる。いまさら戻って來いと言われても、もう遅い……と言いたい。》7-3.デコポンは、冒険を続けるようです!

「あー、マグロは、疲れました。そろそろ晝飯にするのであります」

3歩進むたびにそんなことを言うヤツがいるので、デコポンの故郷には機関車で向かうことになった。

魔結晶を消費して走る機関車である。

オレも一度は、乗ってみたいと思っていたのでチョウド良かった。しかし機関車では、べつに珍事は起こらなかった。マグロが車弁當を5つもたいらげたことを除けばだ。

デコポンの故郷であるカヌーシャ村へと到著することが出來た。そこは丘陵のなかにある、木造建築を主とした集落であった。村の外れに貴族の屋敷と思われるものがあった。そこが領主館ということだ。

領主から村を買い取るというヤリトリは、円スムーズに進んだようだ。

こういう場合、領主がクズで、「へへん。そんな約束なんて守るものかー」と言いはじめるものだと予測していたのだが、幸いにも領主は分別のある人であった。

それよりも1000萬ポロムほどの価値のある魔結晶に興していたようだ。

「これで村を買い取ることが出來たのじゃ」

「詐欺られたりしてないだろうな?」

「心配ないのじゃ。チャント証文ももらったのじゃ」

羊皮紙に押されている印は、たしかに王國で使われている印だった。

「まぁ、これもすべては、オレのおかげというわけだな。お禮をしてくれても構わんぞ」

ほれほれ、と催促するとデコポンは厭な顔をした。

「ナナシィは、その格をどうにかしたほうが良いのじゃ。黙っていればモテるやもしれんのになぁ」

「まるで今はモテないみたいな言い方はやめろ。オレはきっとそのうちにハーレム帝國を築くことになるんだからな」

「ナナシィには、そんな破廉恥な目的あったのか?」

「冗談だ」

目下の目的は、とにもかくにも勇者にギャフンと言わせることである。

しかしまぁ、すでに《炊き立て新米》の他3人はなので、ハーレムと言っても過言ではない。

「デコポンは、これからどうするのでありますか」

と、マグロが口をはさんだ。

「どうするとは?」

「目的が果たせたのならば、これ以上は冒険者をつづける意味がなくなるのではありませんか?」

たしかに、その通りである。

怖がりなデコポンのことだ。

冒険者なんかやめて、故郷で暮らしたほうが良さそうだ。

「うむ。私もチョット考えたのじゃが、でももうしだけ冒険者をつづけても良いと思うておる」

「どうしてでありますか?」

「たしかに怖いことも多いが、楽しそうじゃしな。それに、冒険者をつづけていれば、この怖がりも克服できるやもしれぬ」

「マグロも、デコポンがいっしょにいてくれるなら嬉しいのでありますよ。この《炊き立て新米》パーティには、なかなか新規の冒険者が來てくれないから、デコポンがいなくなったら、これとネニだけになってしまうのであります」

「いま、オレのこと、これ、って言ったのかな? マグロちゃん」

「気のせいでしょう。ナナシィ」

「そうかなぁ。気のせいか。まぁ、オレのことを、これ、なんて失禮なこと言うはずないもんな」

「冗談はさておき、ナナシィには世話になったのじゃ。これからも、よろしく頼むのじゃ」

デコポンはあらたまった様子で、そう頭を下げてきた。風が吹いて、青々としたデコポンの髪を揺らしていた。デコポンは髪がれないように手でおさえていた。

そう真っ向から言われると、照れ臭いものがある。

「足元に蛇がいるよ?」

と、照れ隠しに冗談で指摘してやると、

「ひぇぇ――ッ」

と、デコポンは跳びあがっていた。

怖がりを克服するのは、すこし先のことになりそうである。

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