《《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーでり上がる。いまさら戻って來いと言われても、もう遅い……と言いたい。》11-3.庭いじってるだけで、いいんですか?

イザ『魔塔祭典』と燃えていたのだが、いかんせん《炊き立て新米》の3人は闘志がない。

「ヤじゃー。怖いのじゃー。ワシは留守番するのじゃー」

と、デコポンは盾をかぶる。

「お腹が減ってチカラが出ないのでありますよ」 と、マグロは腹をさする。

「ぐぅ」

と、ネニに至っては、冒険者ギルドの口で眠りこけてしまった。

ネニに関しては、もはや睡魔で片付けられない気がする。なにかの病気かもしれないし、一度、醫者にカラダを見てもらったほうが良いんじゃないかな。それとも人狼というのは、そういう生きなんだろうか?

回復師と言うのがいるけれど、回復の魔法は、外傷や骨折といった理的なダメージを治癒する効果しかない。病気とかは醫者に診てもらって、薬を飲んで治す必要がある。

「まぁ、まだ『魔塔祭典』までには時間があるし、なんか見りの大きいクエストでも探すとするか」

金欠はたしかに、目下の懸案事項だ。

イチバンの解決方法は、マグロたちがその食を我慢してくれることなんだが、それはみ薄である。よって大量に稼ぐ必要がある。

やれやれ、パーティの大黒柱は辛いぜ。

冒険者ギルドの壁面に張られているクエストを、目を眼にして漁っていくことにした。

これはもう早い者勝ちである。簡単な仕事で、大きな収。そういったクエストを見つける達人でもいるのか、楽そうなクエストはすぐに消えて行く。

「おっ、これなんかどうでしょうか?」

マグロが見つけ出した。

「どれどれ?」

仕事容は、庭の手れ。報酬は魔結晶3萬ポロムと書かれていた。

「庭? 庭ってなんだ?」

「さあ、なんだかわかりませんが、楽そうなのでありますよ。それにすごい報酬なのです」

「たしかにな」

もしかして、「ダンジョンはオレの庭みたいなもんだぜ」とか、そういう意味の、庭、だろうか。

冒険者に庭の手れを頼むというのは、どうもお門違いな気がする。むしろ庭を荒らしてしまいそうな連中が大半である。

しかしまぁ、3萬ポロムというのは破格だし、庭をイジるだけで、魔結晶がもらえるなら楽な仕事だ。

「どうします? もしかしてチョット怪しいじのヤツですかね?」

盜賊が冒険者を呼び寄せるために、偽のクエストを張り付けたりすることがある。ノコノコやってきた冒険者を罠にかけて、武を奪ってしまうのだ。

いつの時代にも、悪いヤツはいるものだ。

「でも、都市の中だし、人目もあるだろうか、たぶん大丈夫だと思うけど」

ご丁寧に手書きの案図まで添えられている。

「マグロは可いから、拐されるかもしれないのでありますよ」

「は?」

自分で、自分のことを可いとか言っちゃう系の人だったっけ? 人だった気がする。

「あまり怪しい仕事は、やりたくないのであります」

「いや。たとえ拐されても、お前の食を見せれば、どんな連中も足で逃げ出すことだろうから、心配することはない。なによりオレがついてるし問題ないだろ」

「そうでありますね。ナナシィみたいな人と一緒に、やっていけてるということは、怪しいヤツが來ても、対応できるかもしれないのであります」

「ん? どういう意味かな?」

「さあ」

と、マグロは首をかしげた。

あれれ?

なんかオレへの見る目が変じゃないかな?

當初の予定では、オレは最強の強化師として崇められるはずだった。

(ナナシさまがいなけりゃ、うちのパーティはやっていけないの! どんなご命令でも聞きますから、私たちを導いてくださいませ)

と、たちが抱きついてくるはずだった。

そして清純で従順で潤なたちとイチャイチャする予定だった。実際、それ相応の活躍はしたはずだし、チカラを見せつけてきたはずである。どうも現実と予定とのあいだに、若干の誤差ズレがあるようである。

そもそも。

マグロたち3人は、清純でもなければ従順でもないし、あまつさえ潤でもない。まぁ、悔しいことに顔立ちは整っているけれども。

もしやるパーティを間違えていまったのでは? しかし今さら、別のパーティを探すというのもメンドウだ。

「どうかされましたか? バカみたいな顔をしておりますが」

「いや。なんでもねェ。まぁとにかく、今日明日の食事にすら困っているだ。庭をイジるぐらいならデコポンやネニにだって出來るだろうしな」

そのクエストを引きけることにした。

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