《《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーでり上がる。いまさら戻って來いと言われても、もう遅い……と言いたい。》14-3.みんな寢ちゃってるのは、変だよね?

「ふんぬぅぅぅッ」

オレとマグロのふたりで、箱を除けようとた。が、ビクともしない。

「これがかないってことは、オレたちここから出られないんじゃね?」

「そうでありますね。一生ここで暮らすのは、マグロは厭です」

「そりゃ、オレだってそうだ」

「べつの出口はないのでしょうか?」

「オレが知るかぎり、ここしか道はないな」

「そしたらガンバって除けるしかありませんね」

「除けるよりも破壊しちまうか。オレが強化をかけるから、マグロのその大剣で叩き潰してくれよ」

「わかりました」

マグロは背負っていた大剣を構えた。強化をかける。マグロは大上段から、その大剣を叩きおろした。が、ゴーンと鈍い音が響きわたるだけで、箱には亀裂ひとつらなかった。

いな」

「詰みました。ジ・エンドです」

「そんなアッサリ言うなよな。諦めたらここから出られないんだから。デコポンとネニが心配だし、一度向こうに戻るか。4人でチカラを合わせれば、どうにかなるかもしれん」

「そうですね。他のパーティの方も手伝ってくれるかもしれませんし」

で。

ネニとデコポンたちのもとに戻ったのだが――。

「寢てるしーッ」

《青薔薇騎士団》の3人に折り重なるようにして、ネニとデコポンのふたりも睡している。

ネニはともかく、デコポンまで眠っているのは普通ではない。

おーい、起きろーッ、と頬を引っ張ったり、マブタをつまんだりしてみたのだが、目を覚ます気配はなかった。

はて、どうしたのもか。

起きないし、戻れない。

「あら、あんたたちも、祭典に參加してたの?」

前方から聲がした。

「で、出やがったな!」

またしても勇者である。

ブロンドに碧眼に巨。しかもゾッとするほどの貌である。そんなのがイキナリ出てきたらドキッとさせられるってもんだ。

いや。ホめているわけではない。斷じて違う。

「あんた、私と會うたびに反応リアクションが大袈裟オーバーなのよ。私のことをいったい何だと思ってンのよ」

「そりゃ因縁の相手だ。追放した者と、追放された者は、決して理解しあえぬ仲であり、お互いを憎みあう……」

「あら、そこの連中も眠ってるのね。デコポンとネニだっけ?」

「いや、聞けーッ」

「べつにたいしたこと言うつもりじゃなかったんでしょ」

「はぁ? オレの言葉は、哲學者より深く、遊詩人よりも優雅で、文學者よりも難解で……」

「それに《青薔薇騎士団》の連中も眠らされてるみたいね」

「うん。そうだね」

どうやらオレの話を聞くつもりはないらしい。 泣きたくなってくる。

まぁ、勇者の前で涙を見せたら、一生、茶化されることになるから、泣いたりはしないけれども。

「実はうちの連中も眠らされてるのよ」

「勇者パーティも?」

「カイトとウィザリアがね。離れて行していた隙に、眠らされちゃったみたいね」

「へぇ」

カイトもウィザリアも、優秀な冒険者だ。それはオレがよく知っている。

あの2人がモンスター相手に遅れを取るとは思えない。不思議なこともあるものだ。まぁ、オレがいないと、2人も半人前だった、ということだろうか。

「ふたりが寢ちゃってるから、一度、外に戻ろうと思うのだけれど」

「そりゃ殘念だったな。出口はふさがれちまってるぜ」

「ふさがれてる?」

「ああ」

階段をふさいでいる箱のことを説明した。

勇者は話を聞きながら、前髪をねじるようにして弄んでいた。

「私たち、もしかして誰かにハメられてるんじゃないかしら」

「ハメられてる?」

「ええ。出口をふさがれて、冒険者たちは眠らされてるわけでしょ。何か変だと思わない? この階層に睡魔スリープの魔法を使ってくるようなモンスターは出ないはずだし」

「たしかに奇妙ではあるな」

「眠ってる冒険者たちを放置しておくのは危険だわ。階段のある部屋に運んでまとめておきましょう。私が運ぶから、あんたは強化で手伝いなさいよ」

「ああ、そうだな」

話の勢いと、この不可解な狀況のせいで、スンナリとうなずいてしまった。

『手伝ってしけりゃ、頭を下げることだな』ぐらい言ってやれば良かった。

この勇者にたいしてマウントを取れる好機を逃してしまうとは、オレ一生の不覚である。

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