《《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーでり上がる。いまさら戻って來いと言われても、もう遅い……と言いたい。》15-2.ダンジョンから出れない冒険者たち!

「おい、誰かいるのかよ」

そう警戒気味な聲で問いかけてきた男が、ぬらっと薄暗闇のなかから姿を現した。モンスターではないか、とすこしだけギョッとさせられた。

意味もなくビックリさせられたわけではない。オレほど豪膽な男がビックリした理由は、出てきた男の格のせいである。

薄暗闇のなかから姿を現した男の図は、ふつうの人間の倍ぐらいあった。背も高いし、橫幅も大きい。スキンヘッドの頭に、いかつい巖みたいな顔をしていた。

「なんだぁ、私たちの他にも起きてるヤツいるんじゃないのぉ」

もうひとつ聲がした。

の聲だ。

クマみたいな大男の後ろから、姿を現した。

で赤パーマのだった。

しかも超薄著だ。肩當てや當てはしてるけれど、極力大事な部分しか守らないという意思をじさせる。房もほとんど見えてるし、フトモモにさらけ出している。

そしてさらにもう1人。

「すみませーん。迷子になってました」

という背の小さな年だ。

黒い法みたいなものを、頭からスッポリかぶっていて、素顔は見えなかった。聲のじからして、たぶん男の子だ。大きなバッグを背負っている。

クマ男。出姉さん。黒服年の3人である。

「あ、どうも」

と、オレのほうも立ち上がって會釈しておいた。

「なんだ。ボウズ。そっちの仲間も眠らされちまったのか」

大男は5人の人間をかついでいた。

右肩に2人、左肩に2人、背中に1人背負っている。

背負っている者たちは、みんな眠らされてしまっているようだ。人間をさらっているようにしか見えないのだが、たぶん、眠っている人たちを運んできてくれたのだろう。

さすがに重たかったのか、暴にその場におろしていた。

「あなたがたは?」

「ああ。オレは《イノシシ鍋》パーティのリーダーをやってる。ガデムンってんだ。よろしく」 と、巨大な手を差し出してきた。

握手したら潰されるんじゃないかしら。杞憂だった。意外とモチモチした手をしていた。

「私はぁ、《容姿端麗組》のタンポポン。よろしくねぇ」

と、出激しめのお姉さんが手を差し出してきたので、その手をやわらかく握りしめた。

「ボクは《勇者パーティ》の新りの、クロコと申します。よろしくお願いします」

と、年が手を差し出してきた。

「あ、君が、勇者の言ってた年か」

「はい」

どうもオレより年下のようで、無下に扱いにくい。

これで小憎たらしいヤツだったら、その手をはたき落としてやっていたのに。まぁ、仕方ない。握手しておいてやろうではないか。

「そっちはどこのパーティのもんだい?」

と、ガデムンが尋ねてきた。

「オレたちは《炊き立て新米》パーティの者です。オレがナナシで、こっちがマグロです」

「ああ。聞いたことあるな。《炊き立て新米》と言えば、食い逃げや恐喝を日常的に行ってた悪質なパーティだろ。たしか《勇者パーティ》から追放されたお荷くんが、そこに左遷させられたとか?」

「あ、いや……」

いろいろと誤解があるようである。違げェよ、このハゲ――と言いたいところなのだが、なにせ大男だ。

怒らせたら、叩き潰されてしまうかもしれない。

どうも話を聞くに、ガデムンもタンポポンも、仲間たちが眠らされてしまったらしい。

眠らされた仲間たちは、ガデムンが背負って連れてきたようだ。たしかに、ものの見事にみんな眠らされてしまっている。

そこで迷子になっていたクロコと合流して、こちらに戻ってきた、とのことだった。

《イノシシ鍋》はBランク冒険者たちのパーティだ。そして《容姿端麗組》は、AランクとBランクが混在しているパーティである。

3階層に來ているということは、それなりに腕の立つ冒険者たちなのだ。

「奇妙なことになっちまったな。みんな眠らされるなんてよ。さっさと地上に戻ろうと思うんだが」

「それが殘念ながら」

階段は箱がふさいでしまっているのだ――と、説明した。

「こんな箱、除けちまえば良いだろ」

と、大男がタックルしていたのだが、やはり微たりともしなかった。オレの強化をかけても、不である。

「ボウズの強化、たいしたことねェなァ」

と、まで言われた。

誤解である。

世界最強の強化師になんてことを言うのか。すべてはこの箱のせいだ。ってか、そもそもこの箱はなんなんだ。

しばらくすると勇者が戻ってきた。

途方に暮れた冒険者が6人、その場に集うこととなったのである。

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