《ルームメイトが幽霊で、座敷。》人間が幽霊へ正義鉄拳
……というわけでも、依頼は依頼。ちゃんと仕事はしなくてはならない。
「ねー結婚してくださいよー」
「……荒っぽいことはしたくなかったんだが」
そう言って俺は雪を倒した。雪は「ま、まだそれは早いんじゃ……」とかうろたえてた。ばかやろう。それじゃねえ。
「……仕方ないか」
「わーやっちゃえー」
碧さんすごい他人任せだけどまあ俺の仕事だから邪魔しないだけましかな! この前なんて邪魔されたせいで無駄玉うっちゃったもんね!!
てなわけで若干ネタバレもあるが取り出したのはこれだ。俗にいえばワルサーP38とでもいうのかな? ドイツのカールワルサー社が開発した軍用の自式拳銃……に似せたものだ。
何をするかってと、簡単なこと。この銃弾は特殊な薬剤が封されており、“撃ち込まれた妖怪やら幽霊はこれに閉じ込められる”っていう仕組みだ。簡単なように見えて、最先端の科學がってからめんどくさいし、お高いんだぜ? この銃一丁でちょっち高い家がかえるくらいだ。
さて、妖怪さんの方もそれに気づいたようで小刻みに震え始めた。なんだ寒いのか? おまえ雪だろ?
「……な、何をするの……?」
「これが俺の役目だ。幽霊や妖怪を元ある場所へ戻す。『正義の鉄拳ピースフル・フィスト』っていうんだな。これが」
俺はその言うことに自己陶酔しつつ、もう一度雪さんの方を見る。怖がって震えるのもやめた。さすがは妖怪。覚悟を決めたらしい。
「……覚悟はいいな?」
その言葉に雪は――ゆっくりと頷いた。
そして――乾いた銃聲もなることはない銃弾を撃つため、俺は引鉄をひいた。
✝
「……ありがとうございます。犬も無事に見つかりました」
「それはよかったですね」
俺は“當初の目的であった”犬を無事確保して、飼い主に引き渡した。これで俺の任務も終わり。お金も貰ったし、あとは帰るだけってわけだ。
「それじゃ……失禮しますね」
「ええ、では……」
「じゃーねー」
碧さんは最後までラフな言葉で締めくくった。それに彼も笑って最後まで俺たちがいなくなるまで手を振っていたらしい。碧さんも手を振っていた。仲良くなる要素ってそんなにあったっけ?
……まあ、ひとまず仕事は終わった。
「いやーお疲れさん。終わったね」
「あんたなんもしてないじゃん……」
「失敬な。あんたが働きやすいように霊力場を組み替えていたというのに!」
「へーへーわかってますよー」
「ちょ、あんた聴いてる?!」
「聞いてますよー」
とりあえず今は寢たい。なんでか知らんがこれを撃つと無に眠くなるんだ。メカニズムは知らん。そこまで頭もよくないしな。まあ、こんな日常も俺には退屈にならないし、金もるし、いいってもんだ。前みたいに畫共有サイトにいって畫を見てコメント職人にを出す暇はなくなったけどな。
「ま……いっか」
「あんたなんか言った?」
「なんもー」
あっそう。と碧さんはそう言って俺と同じ方をむいた。そこにあったのは俺の向かう方向にちょうど夕日が沈もうとしていた。
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