《ルームメイトが幽霊で、座敷。》【第二話】 姉と弟の極小戦爭(前編)

そんなこんなで俺の仕事も一段落して、またコメント職人にを出す日々がやってきた。あぁ……なんて平和なのだろうか。これで安定した収さえあれば最高な人生だろうな。

「そりゃそうだよ。そんなもん出來たら確実に人間は墮落していくけどね。あんたがいい例だし」

「さらっと人を勝手に墮落させるんじゃありません!! でも俺だってちゃんと自分で金稼いでるもんね!!」

「“封霊銃”を撃つだけの簡単なお仕事じゃない」

「間違ってないけど、そう言われると悲しくなる!!」

そんな會話をぎゃーこらぎゃーこらと続けているとその近所迷で町會あたりから訴えられそうだ。なにしろこのへんは都會の癖に車と人通りもなけりゃコンビニもない住宅街。そこに構えるアパートに俺は一人暮らし(幽霊は人権があるとはいえ數えない。だって“生きてる人間”で換算するからな)ってわけだ。住宅街ってことはやっぱ夜は靜かなわけだよ。意外と聞こえてしまうのか、たまに隣の壁を叩かれる。端から見りゃ男が獨り言で怒鳴ってるんだからな。相當頭のおかしい人間に……思われることはない。

何でかといえば、それはやっぱり幽霊に人権が認められたことがあるんだろう。詳しいこたぁ解らないが、不産屋にその旨を伝えたら「皆さん慣れておりますから……」とのことで逆に不信を抱いてしまう。慣れてるってなんだよ。逆にそっちが怖いわ。

「おーい、リトいるかー」

やばい、ヤツがきた。最近來ないと思ったら、何で急に來たんだ?! とも思えない、やっぱりなんだかヤツにはおめでたい思考があるらしく、そんなわけにも行かない。悲しくなる。

「居ないのかー」

そう言ってガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!! と恐ろしいくらいドアノブを捻る音が響いた。幽霊よりも妖怪よりも下手すりゃカミサマよりも怖い人間かもしれん。

「めんどくせーな、おい、やっちゃって」

「承知した」

しまった! 居留守を決め込むつもりがこれじゃどう頑張ってもバッドエンドにしか転がらねぇ!! 詰んだ……これは詰んだ……。

そして。

ズガシャン!! と落雷にも似た轟音が響いた。音源は、もう解ると思うがドアからだ。ヤツの取り巻きが雷撃をドアに撃ったのだ! 修理代出す俺の方にもなってくれ!

そして、土煙で覆われた出口からヤツが現れた。

リクルートスーツにを包んだそいつが、だ。

「よっ、リト。久しぶり」

「姉ちゃんも久しぶりだな」

ヤツこそが俺の姉――瀬谷マリナだ。

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