《ルームメイトが幽霊で、座敷。》火狐と青年の學事件

「……ヒギツネノミコト?」

その名前を聴いて、初めに反応を示したのはあの中二病患者だった。なんか因縁でもあるのか?

『二年前――貴様とあの巫に封印され、私はカミサマとしての地位をも奪われてしまった! 私は最早ただの妖狐にり下がってしまったのだ……。そう、貴様らのせいでな!!』

「……あれはどう考えてもてめぇのせいだろうが。お前が俺の學校に現れさえしなけりゃ、封印もされなかっただろうよ」

……どうやらほんとに因縁があるのか? 意外……とは思わないが、俺が気になったのはある単語だ。

。そういえば俺は巫さんの姿を見てない。……何があったんだ?

「……めぐみの話をするな……!!」

『……むむぅ? 何があったのか話してやろうか?』

あいつは気付けば、怒り心頭で封霊銃を構えていた。さすがにオートマタイプだから、自分で照準を合わせる心配はないが、大丈夫なのか?

それに対して、ヒギツネノミコトとやらは厭らしい笑いを見せた。元とはいえカミサマなんだから、プライドはないのか。それじゃ極悪人だぞ?

『たしか、二ヶ月前のことだったか? 神憑きが失敗し、サルベージも出來ず……死んだのは? 稽、稽! 神憑きが出來ないくせに巫などとは、笑わせる!』

……俺はとんでもないことを聞いてしまったような気がした。死んだ? 仮にも巫だったんじゃないのか? 巫ってのは、俺ら四分家よりもカミサマのとしての質があったはずで、昔には忌み神を巫に封印とかしていたはずだ。その巫が神憑きを失敗させ、死んだ? 俺はそのめぐみってのが誰だか知らねぇが……そんなことってあるのか?

「違う! めぐみは生きてるはずだ!」

『ハハハ、何処にそんな理由が……!!』

「……タイガノミコトから聞いたんだがな、巫は大抵死んだら仏などはせず、死してもカミサマの周りにいるんだとよ。つまりは巫の死=仕えていたカミサマの死にあたる。……俺が何が言いたいのか解るか?」

『まさか……タイガノミコトの周りには……』

「そう、居ないんだよめぐみの姿が! ……つまり、何処かに生きている、そうに違いない!」

なんてこった、そんな理論が存在するのか、初めて知った。

「……神治、やるならやれ!」

副班長ねえちゃんオーラやべぇ。最強じゃねぇか。こりゃ班長とやらが託す理由も解る気がする。しかしプライベートがなぁ……。

「リト! 回り込んで、神治のサポートだ! みずきも後を追え!」

「了解!」

「わかりました!」

形式的な上司と部下の會話を果たし、俺はヒギツネノミコトを封印するため、舊型封霊銃を構え走った。それより數歩遅れてみずきさんも新型封霊銃を構え走ってくる。

「……ひとまず、どうすりゃいいんですか!」

「神治が銃を撃ったら、あなたも撃って。……恐らく神治は撃ち外す」

「新型なのに?」

「……だからこそよ。新型は確かに自で照準を合わせてくれるから便利かもね。だけど、それはやはり技量に問題が出てくるの。舊型の方が技量が沢山必要だけど、新型もある程度は技量が必要なの。……神治は技量こそはあるけど、あの狀況じゃまともに當てられるかも怪しいところね」

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