《ルームメイトが幽霊で、座敷。》憤怒と私怨と能力主義

「……つまり、あの人が撃てない可能が充分にありえるから、その時は俺にやれ、ってことなんですね?」

「間違ってないけど、そういうこと」

みずきさんはとても怯えたようなそんな表を見せて、呟いた。彼はあいつに心でも抱いているのだろうか。……有り得そうだけど、釣り合わない気がするがなあ。さっきの話からしてめぐみっていう巫さんが好きっぽいし。

とりあえず、俺は集中して銃を構えた。そんな簡単に舊型の封霊銃はれない。むしろられてたまるか。

これの元であったワルサーP38は連続で出を行うと、スライド上部カバーがそれの反に耐え切れず破壊し、撃つ人間にダメージを與えることもあった。しかし、この封霊銃『ピースフル・フィスト』は違う。炭化タングステンを用いその強度を増強し、それに増える重量はリチウム金屬を合金することで補ったものだ。

さらに、封霊弾は三発連続に出可能(自式はその裝置組み込みにより二発が限界)であるため、多數の霊の封印にもバリエーションがきく。今や90パーセントのシェアを誇る自式封霊銃だが、再び手式への回帰を唱える學者も居るほどである。

「……さて、」

俺はいつもこの時は集中出來る。なんでかは知らん。けれど、この時が一番――自分の好きな時間と言っても過言ではないと思う。封霊銃を構え、放つ。その一瞬。その一瞬だけが“俺”が“俺”でいられる時間――と言うじだろう。

みずきさんの方をちらっと見ると、みずきさんはまだ撃つなと言わんばかりの目力がこもった眼差しをかけてくる。解ってますよ、さすがに命令違反は最初からしませんから。そんなやんちゃじゃないし。

「……ヒギツネノミコト、俺はお前を許さない」

『なら、どうする? 貴様の持つその封霊銃で封印するか? 見たじ震えているがね。それが自式とは私も充分知っている。だが、それで撃てるというのか? 機械ばかりに頼っちゃ、人間そのものがダメならダメだと思うがね?』

「…………っ!!」

さっさと撃っちまえばいいのに、あいつは撃つこともなく――だからとは言え、封印対象の前で銃を下ろすわけにもいかず――ただ、銃を構えたまま、立ち盡くしていた。

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