《ルームメイトが幽霊で、座敷。》神憑きと勢力の比例関係(前編)

神憑きは前にも言ったかもしれないが、四分家しか出來ないとされている。まぁ、探そうと思えば四分家以外で神憑きが可能な人間が居るのだろうが、そんなわけにも行かないだろう。恐らく(あくまでも俺の推測に過ぎないが)、そういうことはなんとなくみ消しているんだろう。神憑きという地位がによってけ継がれるなら、四分家のさらに分家……だって有り得るのだから。

四分家の中にも勢力ってもんは存在しているからややこしい。それぞれ中國の方位に関わる何かを持っていたような気がしたが……あんまり覚えてない。なかなかに小難しいもんだからな。

祐希はそんな四分家でも最大勢力、“白虎の河上”……あぁ、そうだ。中國の四神だ。確かあいつは白虎、俺は朱雀だったと思う。まぁ、それはいいとして、祐希はその曹司として生まれた。……神的なストレスもあったんだろうけど、気付いたらあいつはあぁなっていた。時間ってのは、一番簡単で殘酷なものなんだな。

それはさておいて、何故俺がこうのんびりと話しているか、それは俺にも解らない。強いて言うなら誰かが能力を使ったんだろうが……

俺は今“全ての時間が停止した”空間にいた。何が言いたいのか解らないかもしれないが、これは事実だ。噓なんかじゃない。

「時間を停止した。あなたはそう思ってるんでしょうけど」

気付くとかなくなったヒギツネノミコトの隣には、あるが立っていた。い顔付きで……歳は俺より二つ三つ下くらいか? ともかく、小さかった。俺はたぶん一メートル六十もないと思うんだが、それよりも小さい、隨分と小柄なだった。

「……時間停止ではない、と? なら、これはなんと言えばいいんだ」

「……平行世界パラレルワールドってごぞんじ?」

「聞いたことがある。これと似たような世界だが、一部選択を間違えたことによりまったくの別世界となった」

「そう、その通り。私の能力も……ちょうどそんなじ」

「“能力”? 神憑きによって手にれたものではない、と?」

「……それを語るにはまだ時間が足りないし、場所も悪い。……だから、いらっしゃい」

「……どこへ?」

「出雲大社」

それだけを言ったあと――世界は唐突に破壊を開始した。

俺のまわりで、バリバリ、ビリビリと何かを破る音、噛み砕く音が響き渡った。

「意外と早いな……!」

それに誰よりも驚いたのはそのだった。あんたがその能力を発揮した結果がこれじゃないのか?

「この一発で……仕留める!」

取り出したのは――俺が持ってるのと同じ、舊型の封霊銃だった。舊型を使える人間なんて、全然ないはずなのに、なぜいるんだ。まさか――!

「自己紹介をしてなかったね。私の名前は古屋恵梨香。宮庁神霊班班長、よ」

そして、世界が完全に破裂した――!!

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