《ルームメイトが幽霊で、座敷。》質の有効活用(前編)

「班長さん!!」

気付けば俺は班長さん目掛けて走っていた。危険? そんなもの考えてなかった。ただ、ただ、無事なのか……それだけが気掛かりだった。

しかし、それは虛しくも阻止された。

「祐希、何故止める!!」

「……巫質、それはリトも知ってると思うけど、霊質にあるの。それも、幽霊にとっては凄く憑きやすい環境にある。そして離れにくい環境も兼ね備えている」

「……それがどうした……?!」

「つまりは、班長は、あのカミサマを封印するつもりなんだよ。……めぐみさんみたいに、ね」

◇◇◇

もうどれくらいの時間を浮遊しただろう。

もうどれくらいの時間を過ごしただろう。

あの二人は……大丈夫なのだろうか。考えるだけで……ふつふつと湧き出てくる、何か。

「これはいったい……なに?」

はその正を理解していなかった。

にはその正が何なのか解らなかった。

けれど、そのは誰でも解るものだった。

これは……、

◇◇◇

「いいか、リト。班長が今あのカミサマを押さえ付けている。その間にそれが何者なのか突き止め、弱點を突いて再封印する必要があるんだ」

祐希の言葉は簡略かつ的確なものだと、俺は直ぐに思った。そして、それが“作戦參謀”の誕生ということは、その時俺は解らなかった。

「……リトは碧さんを従えて何とかあいつを取り押さえて。今使えるのはきみの封霊銃だけだけど……僕の神憑きじゃ押さえきれないだろうね」

「……解った、やろう」

「えーめんどい!」

「めんどい! とか言うんじゃねぇよ! ちょっとは幽霊らしくがんばってもいいんじゃないか?!」

えーめんどくさい私無理ー。とかこういうときに限って碧さんはぶりっ子質(というには限らない。何しろ特定のタイミングにしか出現しないからな。)を発させるんだ?! いい加減ちゃんと働いてくれねぇか?! 憑き稅(稅は収の七パーセントで、これで意外に國の収を賄えてるらしい。ちなみに憑いた幽に課すのではなく、憑かれた者に課すのだ。つくづく誤っていると思う。)を支払ってるのは俺なんだぜ!!

「だって憑き稅は『憑いた幽に権利を與える見返り』でしょ? このおで大分國も潤ってるみたいだし、寧ろ謝してほしいくらいだわ」

「俺は謝しねーんだよ! 二年前、あんたに憑かれた時流行った『憑き稅確認サービス』! 覚えているか?! きっと覚えていないだろうな!!」

憑き稅確認サービスとは二年前に流行った詐欺だ。憑き稅確認、即ち憑きがいるかどうか確認するのがそれで、しかし憑きを確認するにはその憑きと心合わせをせねばならない。心合わせ……簡単にいえば、幽作にがそれを理由として反応したら心合わせが“功”したことになる。簡単なようで、これが意外と難しいんだぜ?

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