《ルームメイトが幽霊で、座敷。》職場と苦労と新人研修(前編)

「……ってそこまで徹底するのかよ?!」

流石に正裝は男だと勝手に思ってたが違うらしい! 何処までらしく見せるつもりなんだお前は?!

「失敬な。私は潛捜査の為に常日頃から裝をしても心もらしく見せているんだ。決して私はそっちじゃない」

「いや、そう言われても信用出來ないよ?! 寧ろそれで信用した方が凄いわ!」

「……ところで今日は新人研修です。ご存知かな?」

「すごい不自然に話を逸らしたな。……で、新人研修……え?」

「初耳みたいな顔をしてるけど世間一般の會社は皆そうなんだけど? それをして初めて一人前として仕事をさせるわけで……」

「と言われても除霊とかなら俺は前から個人でやってるから意味ないよね?」

「リトのような個人と法人の違いは自分で探すか探さないか。つまりは法人はネットワークを駆使して怪しげな場所を探すのだー」

「……新人研修とはいえ、新人って俺だけ?」

それはそれで辛いんだが。

「いや、違うよ。たしかもうひとり。名前が変わってたんだよなぁ……。確か……」

「鈴倉すずくらヴォギーニャ」

「あぁそうそう、そんな名前……って、マリナさん!!」

「なんでドアの前で延々と話をしているのかと思ったら……」

姉ちゃんもすっかりこのフォーマルの格好の方がらしくなったんじゃないか?

「リト、この中では副局長と呼べ」

あぁ、そうだった。……って、え? 副局長?

「神事警察に戻ったから名前だけ変わったんだよ。まぁ、そんな職業的には変わりはないさ。ついでに局長は一人しかいないが、副局長はもうひとりいる」

「……誰?」

「大沢仁っていうベテランの人だ。舊神事警察が解された時に他の場所に異になったんだが……また戻ってもらうことになった」

「なるほど。……それで新人の人はいつ頃?」

「もう來るはず……。あぁ、お前の後ろに居るじゃないか?」

俺はその言葉を聞き振り返った(余談だが既に俺は地面を垂直に立っている)。

そこには――まるで人形のような整った顔立ちのがいた。眉はきりりとき通る程の白いに畫一された一本の線として存在し、目は水で吸い込まれそうな錯覚を覚える程綺麗で、かつ鼻もその顔に存在を示すかのごとく高く聳えていた。

金髪で、長も俺より二十センチ程高く(俺は確か百六十あるかないかくらいなので百八十はあるのだろうか?)、リクルートスーツにを包んだ彼はずっと眺めていても人間か人形か解らないだろう。それくらいの貌だった。

「あのー……そう見詰められてると恥ずかしいですが……」

おっと、済まなかった。やはり名前からして外國人なんだろうか? し日本語のイントネーションも違うような気がするし。

「すいません。……ところであなたが?」

俺は一応知ってはいるが、恐る恐る訊ねた。

「はい、私は鈴倉ヴォギーニャです。あの、えっと、今日からこの神事警察にることに、なりました。はい、だから、よろしくお願いしましゅ!」

恐らくあまりの張で最後は噛んでしまったのだろうが(だとしても可いというかしいことには変わりない)、神事警察の面々はそれを拍手で返した。

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