《ルームメイトが幽霊で、座敷。》一日の再帰の終了條件(前編)

「とりあえず、リト。今日から新りが來るから。あ、機はお前のとなりな」

そう言って姉ちゃんは左隣にある唯一荷も埃も一つない綺麗な機を指差した。どうせなら俺の機も綺麗にしてほしかったなぁ。ちなみに俺の機は『吸鬼についての調査レポート』とか『卒塔婆と神道の因果についての研究レポート』やらが散していた。キャビネットに戻せよ、せめて。

「……あ、あの……すいません」

そうこうしているうちに彼がやってきた。説明二回目だし省いていいよな!

「鈴倉、ヴォギーニャといいます。あの、どうかよろしく、お願い、します」

やはりたどたどしい日本語で挨拶した。まぁ來たばかりだから仕方ないのだろうが……。

挨拶が終わり、拍手で出迎える。ヴォギーニャは俺の隣の機に座り、俺に笑って見せた。

「さてと……バリバリ働いてもらうわよ! みずき、新人研修よろしくね!」

「えー、私ですか……」

「私は々忙しいんだよ。神事警察に変わってから報告書の整理とかしなきゃいけないし」

なるほど、上司は大変だな。……ならそこに持っている競馬新聞はなんだ?

俺の質問にはきっと答えないだろうから質問しない。姉ちゃんはとりあえず仕事してくれ。パソコンに向かって……徐にマインスイーパーを起して……待て待て! そこから何が生み出されるんだ!

「わたしは弾からみんなを守るんだ……」

「それそういうゲームじゃねぇから!」

マインスイーパーがそういうゲームとか初耳だよ! 寧ろ開発者だってそんなこと考えてねーだろ?!

「開発者も考えていないような遊び方ってのが面白いし流行るんだよ。回り將棋とか、囲碁クエストとか」

「囲碁クエストは流行ってもいないと思うんだが……」

姉ちゃんと張り合っても意味もないし仕方ない。

一先ずこの狀態をどうするか……考える必要があるだろう。

まず、狀況整理。俺は今二回目の十月一日を過ごしている。この事態についてだ。

普通ならば、かわりなくヴォギーニャがいてみずきさんがいて祐希がいて……そんなてんやわんやな日常がやってくるはずだった。

しかし蓋を開けてみるとそこは“十月一日”。昨日過ごしたはずのその日だ。

何でだろうな……とか思ったら姉ちゃんはなんか本を取り出した。真面目だな。許す。

……と、待てよ? 今姉ちゃんが読んでる本は明のブックカバーがかけられているんだが、明らかにその裝丁が……なんと言うか……通常の本より……違う?

「なんだ、副局長。またラノベですか」

「うむー。今月出たばかりの本なんだが分厚くて、五百ページ越えているんだと。外伝なのにだ……。おかげで私は二千円近くかかってしまったよ」

……真面目な本を読んでると思った、俺の間違いだった。

    人が読んでいる<ルームメイトが幽霊で、座敷童。>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください