《ルームメイトが幽霊で、座敷。》喫茶店と伏線と敵対組織(後編)
喫茶店に著くと顔なじみのマスターが俺を呼び出した。
「どうしたんだ?」
「……いいお姉さん待たせてるじゃねえか。を待たせちゃいけねえぜ」
「余計なお世話だ」
俺より二十歳くらいは上なんだが、「敬語は嫌いだからタメでしゃべってくれぃ」というスタンスらしく、そのため敬語で話していない。俺も敬語は好きじゃないからよく通う喫茶店だ。
「なんであんたがここを知ってるんだ?」
「いいじゃん、それくらい。まあ座りなよ」
なんだこの態度、とか思ったがまあ話すに越したことはないので座って、マスターにカフェオレを注文した。
「そーいや、あの幽霊さんは?」
「今日はお留守番」
「そっか。まあ、彼がいると話がめんどくさくなるからなあ」
そう言ってヴォギーニャは笑ってある書類を俺に差し出した。
「……これは?」
「まー、読んでみりゃわかる」
「……『北歐伝承新書』?」
「もともと『ソドム・ゴモラ』はヨーロッパを主に暗躍していてね。日本には八百萬の神の力をいただきに來たわけだけど……、まあそのへんはいいか。ともかく、それを読んで、どう思う?」
「北歐神話にゃ詳しくないんだが……ユグドラシルとかネブカドネザルの鍵とか……意味深なはたくさんあるな」
「そして私の組織はそれを狙っている」
それ言っていいのか。
「……結論から言おう。この世界は日本だけではない。つまり、世界にも様々な爭いがあるわけだ。そんな甘い考えじゃいつか君の首が理的に飛ぶ」
「そんなこと解ってるさ……。碧さんが憑いてから、な」
「そうか、ならいいや」
ならいいのかよ。
「んじゃ、ここは私が払っとくから。ああ、あと、次あったら……もう容赦はしない」
「覚えておくよ」
「なら、それじゃ」
そう言ってヴォギーニャはお金を払って店を出ていった。
「聞こえなかったが、お前さん振られたのか?」
「どっから発展したんだよ、マスター……」
「まあ、いいか。ところで碧さんはどうしたんだ」
「今日は休み。そうだマスター。お持ち帰りにカフェオレひとつ」
「りょーかい、ちょっと待ってな」
俺はカフェオレを頼んでいる間、ヴォギーニャから貰った資料を見ていた。
世界には、オカルトなことがまだある。
それに俺は、立ち向かえるのだろうか――。
そんなことを考えながら、俺はすっかり冷め切ったカフェオレを一口啜った。
第四話
終わり
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