《ルームメイトが幽霊で、座敷。》晴天と飛行機と渡航目的(前編)

田空港。

千葉県田市にあるハブ空港の一つだ。そこに俺達はやって來た。

「旅行バッグすら持ってないんだぞ……」

「大分ご不満だなリト。海外だぞ? もうちょい嬉しいと思えよ」

「わーいうれしー」

「それって確実に嬉しいと思ってないリアクションだよな?!」

だって急に連行されたらどうテンションとっていいかわかんねぇじゃん!

「まぁまぁ、とりあえず荷は心配すんな。現地のスタッフに類やら何やら任せてある」

「嫌な予しかしない……」

祐希が珍しく愚癡を溢している。そういえばさっきから髪型がロングからショートになってるのは何でだ?

「パスポートの寫真はショートで撮ってるし、おそらく別も男でやってあるんだろ」

「なるほどね……」

もう碧さんに心の聲読まれてもつっこまない。というかツッコミがめんどくさくなってくる。

パスポートチェックを済ませ、ようやく俺達の旅がこれから始まるところだった。

「そういや私の席って取ってあるの?」

「幽霊にパスポートなんてなかろう?」

「……あんた意外と悪だね」

「パスポートない者にどうやって航空券を渡すか聞いてみたいもんだけど?」

なんだか碧さんと姉ちゃんが怪しげな會話をしているけど、全的にトーンが抑えられていたからか、あまりよく聞こえない。

祐希は祐希でいつの間にか買ったアイスクリームを頬張っていたし、姉ちゃんと碧さんはし俺達の前を歩いているし(ちなみに幽霊との會話とバレないよう攜帯で通話しているように見せかけている。用意周到ではある)、なんかさっきから(主にの)視線と(主に男の視線からの)プレッシャーをもじる。殘念ながらそういう関係じゃないんですけど。

「リトも食べる?」

ずっと祐希を見ていたせいか、祐希が食べ掛けのアイスクリームを差し出してきた。遠慮なく一口頂く。

「おっ、こりゃうまい」

「でしょ、このアイスクリームほんと味しいよね〜」

「……で、だ。お前出発前からそんなに冷たいの食べていいのか?」

「お腹冷やしちゃうって? ところが僕は今この下にカーディガンを著込んでいるのだよ!!」

いや、そういう意味じゃねぇって!! お前カーディガンとかそーいうの関係ないから!!

「……まぁ、ドイツはこの時期寒いからなぁ」

「北海海洋気候は夏は涼しく冬はクソ寒いことで有名だからな。そりゃあやる気を無くすくらいに。防寒裝備はきちんとしとけよ? ほっかいろでもいいかもしれんけどな」

姉ちゃん、俺はほっかいろを常備してないんだが?

「それくらい考えとけ。いつ海外に出張になるか、解らないんだからな?」

「……あぁ、そうかい」

もう話す気にもならねぇ。

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