《ルームメイトが幽霊で、座敷。》異國と管轄と目的散

ハンブルク。

ドイツにある街だ。エルベ川の支流であるアルスター川の河口にあり古くは貿易都市として栄えた。正式には自由ハンザ都市ハンブルクと呼ばれ、今はヨーロッパの航空機の生産の中心を擔っている。

「……だってさ」

姉ちゃんは一応に渡されたガイドブックを観てそんなことを言った。

「ハンザ都市ってなんでしたっけね?」

「……えーと確か、中世後期に新たに貿易ルートが開拓されたとき、その貿易都市同士で軍事同盟を結んだものだったかな」

「なるほど、しかしよく解りますね」

「そりゃ一応舊帝大は出ているから」

そうだったな、確かに。でもそれは高校で習うものだぜ?

「……うるさい」

「ごめんなさい」

なぜか反的に謝ってしまった。

「まぁ……それはそれとして、だ。多分そろそろ現地のスタッフが來ると思ったんだがな」

「お待たせしました」

うおっ!! 後ろに気づいたら人が居るし! 幽霊かと思ったわ!

「幽霊とは失敬な。私は現地スタッフです」

「はぁ」

それは済まなかった。だが気配を消して現れるのは正直どうかと……。

「得意なものでして」

いや、笑っても無駄だから!!

ところで……この現地スタッフを名乗る、何処からどう見ても日系人っぽいんだが……。

「あ、もしかして私のことが気になりますかね?」

気になります気になります。

「一応私の名前、言っておきますと土岐津リストアです。父が日本人、母がドイツ人のハーフでして。それでこんなじなわけなんです。いやぁ、黒髪の人が周りには居ないから至極新鮮ですよ!」

「お、おう……。それは良かったな……」

流石の姉ちゃんも若干引き気味である。

「それで、お腹が空いたでしょう。今から彼処に行きましょう。そちらのお偉方からも言われてますし」

「え、何処にだい?」

「そりゃ勿論オクトーバーフェストですよ。その為に來たと聞きましたが?」

マジで行くのか!

「そこのお二人は未年とお聞きしてます。ですが、大丈夫でしょう。あそこには未年でも飲めるものもありますし、ドイツ各地で作られたソーセージにチョリソーも食べられますからね」

「本當か! なら行こう! 今すぐに!!」

姉ちゃんはよっぽど行きたかったらしいな。凄い興している。

オクトーバーフェスト。それがどんなものなのか俺には詳しく解らん。々局長に言われた知識くらいしかに付いてないのだ。

「車を用意してありますんで、こっちに來てください」

「はいはーい!」

テンションの落差が半端ない姉ちゃんはもう無視することにして……俺は土岐津さんの用意した車に乗るため、パーキングに向かった。

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