《ルームメイトが幽霊で、座敷。》麥酒と人間の國際流(後編)

車を若干徐行させながら右の脇道を進むと小さなパーキングエリアに到著した。ここが通整理の人たちがいる詰所なのだろうか?

「さあ降りてくれ。ここはまだ民営の場所だから一般もうじゃうじゃ來れるからな」

アドルフさんの言葉に従い俺らは外に出た。若干寒かった。

「ボーイ寒そうだな。マフラーでも貸してやろう」

「いや別に俺は……」

「いいって。それに風邪ひいたらこの後の任務に響くぜ?」

……それはその通りだ。

俺はその忠告を素直にけ止めることとして、アドルフさんの持っていたマフラーをけ取り首に巻いた。マフラーだけでも意外と防寒としては高い。便利なものだ。

「溫かいだろ?」

それを見越して(なのかは知らないが)グーサインを出してきたので俺はそれにグーで答えた。

外を出てパーキングエリアにある質素な建る。中にはこじんまりではあるが食堂と売店があり、メニューもなかなかに充実しているようだった。

アドルフさんはそれに目もくれず、まっすぐに業務用出口に向かい、そこにっていった。俺たちもそれに続いた。

中は細長い通路になっていた。高さは充分高い(俺の背が低いという意味じゃない。念のため言っておく)のだが幅が狹い。大の男二人が橫並びにれるか怪しい程の幅だ。だが、もともとそういう風に建築されていないこともあるし、それが実だろう。

幅の狹い通路を抜け、ようやく一つの大きな部屋に辿り著いた。先程の質素なテイストをけ継いではいるものの、何処か豪華な雰囲気がある。壁には何らかのロゴマーク、大きなカウンターから予測するにここは會社のフロントに相當する部分なのだろう。

『おかえりアドルフ』

『やあ、最高につまんねぇ仕事を途中で引き上げてきたぜ。あれをやってるなら犬の糞を掃除してるほうがマシだ』

『そう。良かったわ。で、そちらは……』

『ジャパニーズの素敵なボーイ&ガールだぜ。なんとジャパニーズカルチャー! ゴスロリファッションだ。日本ってのはなんて自由な國なんだろうな!』

(恐らく)ドイツ語で會話をしているんだろうな。如何せん容が解らん。

「……あぁ。おいてけぼりだったな。済まねぇ。こっちはMrs.ゴールディ。アメリア・ゴールディだ」

『よろしくね、ジャパニーズボーイ』

だからドイツ語で挨拶されましても。

「アメリアはここのフロント係兼蔵書管理人だからなんか昔の伝承とかあったら聞いてくれ。彼は英語なら解る」

「So, カッタクナラナイデネ!」

日本語喋れるじゃねぇか。

まぁ……そんなことはどうでもいい。

先ずはこのミュンヘンに何が起きたのか……狀況を聞いておく必要があるだろう。

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