「まずボーイたちは『ハーメルンの笛吹き男』は知ってるかい？」

その言葉を聞いて俺はぎこちなく頷いた。他の人間もまぁ似たようなじに頷いていたかな。要するに急に話が始まりすぎてどういう意味だかさっぱり解らんということだ。

話を戻すが、『ハーメルンの笛吹き男』とかグリム話にも出てくる話のことだ。

ある日ドイツのハーメルンという街はネズミの被害にあっていた。

対策として々講じてみるも功せず、途方に暮れているところに、一人の旅人がやってくる。彼は一本の笛を持っていた。街はすぐにその笛吹き男に手紙を出し、明日にでも町長の家に來てほしいと綴った。

次の日、了承した笛吹き男は直ぐに彼が泊まっていた宿へ戻っていった。その日の夜、綺麗な笛の音が響いた。ネズミがそれにつられ彼を先頭に行列を作る。彼は何処かにネズミたちを捨て置き、そして戻ってきた。

しかし男が帰ると一転町人たちは報酬を払わないと言い出した。その夜笛の音が町中に広がった。子供たちはられているかのようにどこかへと向かった。笛吹き男を先頭として……。

「……そう、そんな話だ。そして、それは現実に起きた話だ」

「なんだって？」

「まぁ、確かに解らないかもしれねぇな。けれどよ、これは事実なんだ」アドルフさんは咳払いをひとつした。「……済まねぇ。それで……、笛吹き男は現代に復活したんだよ。今度はこの酒祭りの行われてる街、ミュンヘンでな」

つまり、どういうことなのだろうか。

「ほんっと、あんたの閃きの遅さには心底イライラするわ」

「ジャパニーズゴースト！」

「碧って名前があるんだけどね……」

久しぶりに碧さん登場だな。どれくらいぶりだろうか？

「……ともかく、祐希にマリナは解ってると思うんだけど。解ってないあんただけに言うと『笛吹き男はただの人間じゃない』ってことね」

「つまり……妖怪の類い？」

「そういうことになる」

さすが碧さん、同類のことは解るんだな。同じの狢むじなってやつか。

「なんか言った？」

「いや、なーんも」

「ならいいんだけど」

……さて、だから俺たちの出番だと……待てよ？　それじゃ俺たちもやるのか？　猿の手は？

「大丈夫だボーイ。これが片付いたら俺も猿の手を見つけるのを手伝うからよ」

「なるほど」

つまりまずは笛吹き男を倒せばいいんだな。

「まぁ、そういうことになるな。めんどっちいが頼むぜ」

「そっちこそ猿の手捜索の協力、約束忘れんじゃねーぞ」