《ルームメイトが幽霊で、座敷。》北歐の伝承は神話基礎

そのころ、ドイツのミュンヘンでは……ってこれは誰に向けたメッセージなんだ? まぁいい。ひとまず俺たちはアドルフさんとリストアを合わせて五人で笛吹き男の捜索を開始した。捜索ならもっと人がいてもいいもんだが、何せ相手は妖怪。何か対策をしてなければ死ぬか、うまくいっても神が狂うかのどちらかだからそう簡単に警察も手出し出來ねぇ。地球上すべてを見通せる(それこそプライバシーもくそもない)防犯カメラを完備するだけの予算があるならオカルト専門の人材を育てた方がいいと思う。

「というかさっき碧さんは笛吹き男が妖怪だって……」

「あぁ、確かに言ったね。それが?」

「妖怪って日本にしか居ないように思えるが……違うのか?」

「まさかお前は今まで妖怪は日本にしか居ないと考えてたのか?」

そもそも深く考えたことねぇよ!

「妖怪は中國にも居るしヨーロッパにも勿論居るさ。ただヨーロッパの伝承ってのは妖怪って名稱は使わない」

「神話だ」

アドルフさんが會話を奪ってしまった。

「流石にそれは解っちゃう?」

「ジャックと豆の木だってのも北歐神話だろ。あれは巨人が死んじまって盜みを働いたはずの人間が生き殘ってる。実に殘酷な話だ。あれは人間が他の世界と干渉した、っていう重要な証拠ってなわけでヨーロッパのオカルト界では有名なやつだな。恐らく笛吹き男もその類い……だろうな」

「証拠は?」

「証拠なんてねぇよ。勘だ、勘。世の中勘が全てだからな」

それは違うと思うのだが。

まぁ、それはいい。これ以上ぐだっては話も進まない。

そういえば日本でも妖怪紛いの奴と戦った気がするなぁ……。あれは確か……、鬼だったかな。道の力で封印されてたっていう鬼の復活を阻止したんだったかな?

……俺がこんな話をするほどに無駄な時間があるのだ。日本は相當暇に違いない。今頃カレーでも食いながらガールズトークにサフランの花でも添えているのだろうな。あぁ、そんなこと言ってたら腹が減ってきちまったな。

「そりゃそうだ。……とりあえず見當はついてる。行くぞ」

いつの間にか話が終わっていた。というかみんな準備してるし。せめて……ってあれ?

「何処に?」

俺は恥を知りつつ尋ねた。知らねぇものはしょうがないからな。

「馬鹿野郎。俺たちは何を探しに行くんだ?」

えっと……笛吹き男ですよね……?

「そうだ。笛吹き男は何の笛吹き男なんだ?」

そこまで言われて俺はようやく気付いた。やれやれと溜め息をついたのもいる。悪かったな。

「ジャパニーズボーイ、やっと気が付いたかい。向かうぞ。笛吹き男伝承の殘る街、ハーメルンへ」

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