《ルームメイトが幽霊で、座敷。》麥酒と野外と泣き上戸

「行っちまった……!」

「追い掛けるか?」

「実化してない霧を探すのは非常に困難だと思うが?」

アドルフさんと俺と碧さんの會話だ。確かに探すとは言ったが、どうして探せばいいってんだ。……霧を(もっと言うなら実化されてないものを)探すのはほぼ不可能と言ってもいいだろう。

「……仕方ない。逃げたものは逃げたんだ。直ぐに気づいて対応出來なかった俺らが悪いのさ」

そう言ってアドルフさんは深々と頭を下げてきた。いや、俺たちにも非はやはりあるわけだからそこまで思い詰めなくても……。

「……と、とりあえず」

「どうしたリストア?」

「食事にでもしませんか。……ほら、ちゃんとした飯食べてないですし、オクトーバーフェストの一件もありますから」

「……そりゃそうだな」

……確かにお腹は空いていた。

というわけなので、リストアの提案で食事を行うこととした。

「こ、ここなんですけど……!」

リストアが提案したのはビアガーデンみたいな場所だ。……いや、どう見てもビアガーデンなんだがな。その証拠に、ビールの匂いが半端ないし。

リストア曰く、ここはハーメルンでも有名なビアガーデンというが……未年が三人も居るのにいいんだろうか?

「大丈夫大丈夫、國ほうりつが違うから」

「それって関係なくね?! というかそれで捕まらねぇんだろうな、捕まったら俺たち國際テロリスト扱いされるんじゃねぇか!!」

「だから……言ったじゃない。“法律が違う”って。ドイツは十六歳以上の飲酒が認められてるんだよ」

なん……だと……?

「なんだいその誰かの霊圧が消えたような顔は? 本當だからな?」

「……つまり酒を飲め、と……?」

「それくらいの意地とが無きゃ四分家の人間は勤まらねぇよ」

「マジですか」

「マジだ」

即答されたし。

「……まぁ、そういうわけだから飲めばいいさ。見てみろよ、祐希なんかもうビールに手をつけてるぞ?」

「いいのかよそれって!! というかこの國の法律ってこの國の國籍を持った人間じゃないとダメなような」

「いいから飲め」

そう言って手渡されたのはビールジョッキ! しまった、もう出來上がってやがる!

……そうだ! ここにはドイツのメンバーもいる! 常識が(なくとも姉ちゃんよりかは)正しい二人ならなんとか……。

「リストア相変わらず飲むねぇ……ヒック」

「アハハッハハ! アドルフは相変わらず泣き上戸が治ってないのかにゃ?! ちょこ〜っと恥ずかしいにゃふん!」

いや、あなたも充分恥ずかしいレベルですよ。撮影されてデータにでも殘されたら一生黒歴史もんですよ。

しかし……このカオス空間で唯一解っている事がある。

それは、俺がこのビールを飲まなくてはならないということだ。

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