《ルームメイトが幽霊で、座敷。》現実への帰還と殘積課題(中編)

一先ず俺は行を開始した。

どうすれば見つかるのか――生きている犯人など、居るのか。

そこで考えついたのが、『ホープダイヤモンド・ゲーム』を制作したチームについてだ。

高木義堅、蜷局英輔、針咲千夏、海馬王明。

、確認されているのは海馬王明が死んでいるのと、高木義堅も殺されていること、蜷局英輔は行方不明――

――そして、最後の針咲千夏の寫真を見て、俺は何かを思い出した。

「……この顔……、もしかして……!」

思い立ったが吉日。俺は急いで、その場所へ向かった。アポイントを取る必要など、ないだろう。

◇◇◇

株式會社ハイパーリファインがっていたビルは近々取り壊しがることとなっているらしく、業者が出りを繰り返していた。寧ろそのような喧騒だからこそ、好都合と言えるかもしれない。

俺が歩いていると、『株式會社ハイパーリファイン』と書かれた扉が見えてくる。そして、俺は扉のノブを捻ると――いとも簡単に扉は側へと開かれた。

「……待ち構えていたということか」

俺は獨りごちる。しかし、聲は帰ってこなかった。

「黙りを決め込むつもりか。それでいいのなら、俺から勝手に話させてもらうぞ」

しかし、返事はない。

ため息をつくしかなかった。これは、もう続けるほかない。

「ホープダイヤモンド・ゲームを制作した『スタジオ・タンジェント』のメンバーは四人居た。しかし、その四人の中ではたった一人しかいない。それが針咲千夏という人間だ。針咲は既に結婚していた。舊姓は――七草さえぐさ」

息を飲み、話を続ける。

「それだけ聞けば、誰にだってわかる。針咲千夏は七草眸の姉だった。それも、瓜二つと思われるほどに、な。だからこそ、誰も気付かなかったんだ。七草眸があのゲームの世界にまだ閉じ込められていることを」

「……ふふ。そこまでわかっていたとはね。さすがは神事警察、といったところか」

闇から聲が聞こえる。

俺は――その闇に問いかける。

「――なぜこんなことをしたんだ。七草眸――いや、針咲千夏」

そして。

闇からひとりのが現れた。それは、七草眸として俺がホープダイヤモンド・ゲームに行く前には話しかけただった。

は、シニカルに微笑む。

「……ああ、そうだよ。私は七草眸なんじゃない。針咲千夏。ホープダイヤモンド・ゲームを作った、最後の人間だ。そして、なぜこれをしたのかと言うのは……簡単だ。自分たちがカミへとなろうとしたからだ」

「カミに……だと?」

俺は思わず聞き返した。

「ああ。カミだ。そこまでならば、神事警察のお前も調べていたのではないか? 人の魂をり、世界へと幽閉する。そして、その世界で私たちはカミになるんだ。なんとも素晴らしいことだ」

「いいや、間違っている。そんなこと、倫理的に違反していることは、解りもしないのか」

「解っているならば、こんなことはしないね」

針咲千夏はゆっくりと歩き、ひとつだけ殘された機に腰掛け、そこに置かれていたノートパソコンを自らの足の上に置いた。

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