《ルームメイトが幽霊で、座敷。》突然の旅行は前途多難(前編)

とはいえ。

碧さんが天照大神だろうが姉ちゃんと今から里帰りしようが、案外個人的には割りとどうでもよかったりした。

しかしながら、こんな中途半端な時期に里帰りだなんてしても意味がないように思える。何か理由でもあるんだろうか?

「……なぁ、姉ちゃん。何か理由でもあるのか?」

「だから言ったじゃあないか、墓參りだって」

「それだけの理由か? 墓參りするには中途半端な時期過ぎるぜ?」

「忙しかったんだからしょうがないだろう。もしが二つあれば可能はあったがな」

姉ちゃんならそんなことでも可能なんじゃあないかと思ってしまうが、まぁこの際突っ込む必要もないだろう。そんなことをすること自が野暮だ。

東京駅に著いた時には新幹線の発車時刻まであと五分といったところだった。

「本當に間に合うのかよ!!」

「間に合わせるんだよ!」

「そんな無茶な……!」

そんな無茶なこと、出來るわけがない。

出來るはずがない。

そんなはずが、なかったのに。

「おらおらーっ! 宮庁神霊班のお通りだーっ!!」

東京駅の改札を障害走のハードルよろしく飛び越える。俺もそれに負けじと食い付いていく。

庁神霊班などと言っても地下の部署だし、周りには都市伝説めいたことだと完全に認知されているために、そんなことを言ったとて誰も信用なんてしてくれない。

だから俺はし恥ずかしがりながらそこを通過していった。後でどうなるかなんと無く想像がついたが、その辺りは姉ちゃんに凡て任せることとした。

新幹線に乗り込んで座席に座ったのと新幹線が発車したのはちょうど同時だった。

「どうしてこんな無茶をしたんだ」

俺は姉ちゃんにそう訊ねた。當の本人は焼売を頬張りながら、「ん?」などと気合いの抜けた聲で答えた。張っ倒してやろうか。

「そりゃもう、緻なスケジュール管理の下実施したに過ぎないわ。あ、そうそう。今回かなり目立ったけど、あとで始末書のバーゲンセールみたいな酷い目には合わないから安心しなさい」

「……なぜだ?」

「この國が滅びるかもしれない危機だからよ」

……なんだと?

いったい何を言っているんだ? 日本が、滅びるかもしれない事態が起きているor起きるかもしれない――姉ちゃんはそんなことを言っていた。

そんなことが簡単に理解出來るわけもないし、理解出來たのなら誰かこれをもうし噛み砕いて言ってほしいくらいだ。割りと困っている。

「……あんたは楽観的だし現実が幸せなもんだから案外その真実に気が付いていないようだけれど」

そう、念を押して姉ちゃんの話は続く。

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