《俺の高校生活に平和な日常を》第11章 #11「會わせたい人」

「……」

その人を見て、俺達は言葉を失っていた。シルヴィアと名乗るがとても綺麗な人だったからだ。

金髪ロングにエメラルドの瞳、背丈はみのりと同じかそれ以上あるが、鎧を著ていてもはっきりわかるぐらいにすらっとした型をしていた。顔立ちも整っていて、戦場の神とでも形容されてもおかしくないほど、とても綺麗なだ。

「宜しければ貴方達のお名前を伺ってもよろしいかな?」

俺達がボーッとシルヴィアさんに見惚れていると、シルヴィアさんの方から俺達に問いかけてきた。

「えっ、えーっと、佐藤和彥、ですぅ」

「…夏目有紗」

「私、須川みのりと言います」

「私は佐藤梓です」

各々軽く自己紹介すると、シルヴィアさんは一人一人の顔を見つめていた。名前と顔を覚えているのだろう。

「なるほど。貴方達はニホン人ですか。それに歳もそれほど私と変わらなそうだ。ニホン人の転移者も久方ぶりだが、私と同じ年頃の人も隨分と見ていないな」

俺達の自己紹介が終わると、シルヴィアさんは俺達を見ながら顎に手を當て、ぶつぶつとなにか言っている。どうやらこの異世界では日本人のこととかその辺の話はある程度理解しているようだ。俺達以外にも來ているらしいし。

「ああ、すまない。早速で悪いんだが、貴方達に會わせたい方がいらっしゃるんだ。聞きたいことは山ほどあるだろうが、もうし辛抱してくれるかな? 聞きたいことならそこで聞こう」

「えっ?」

そんなことを考えていると、シルヴィアさんからまさかの発言が飛び出した。俺達はてっきり會わせたい人というのはシルヴィアさんのことだと思っていたが、それは別の人らしい。

「あの方は今どちらに?」

「あの方なら貴方の帰りを王室でずっと待っていらっしゃいますよ」

「そうでしたか。それは申し訳ない。なら、早く行かないと」

俺達が呆然としているなか、シルヴィアさんとマルクスさんは勝手に話を進めていく。

「さあ、私が案するからついて來てくれ」

「は、はあ」

そして、俺達はシルヴィアさんの言う通りにシルヴィアさんの後についていくことにした。

---「ここが王室だ。ここで貴方達を待っている人がいる」

「…うわぁー、おっきいー」

シルヴィアさんの後についていくと、10メートルぐらいはありそうな扉の前まで連れてこられた。あまりの大きさに梓が思わず聲をらした。

それより、シルヴィアさんは俺達を王室まで連れて來たということは、俺達に會わせたい人ってもしかして…

「シルヴィア・アフローティア! 王の命によりマルクス・ウォーケット、並びに転移者4名を連れて參りました!」

そんなことを考えていると、突然シルヴィアさんが扉の前に立ち、大聲で扉の向こう側に向かって喋り始めた。

ゴゴゴゴゴ

「ッ!?」

すると、大きい扉は徐に開き始めた。

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