《俺の高校生活に平和な日常を》第11章 #17「有紗は大?」

「ッ!?」

有紗の一言に俺達も含めその場にいた全員が驚愕していた。

「ほ、本當に、それでいいのか?」

シルヴィアさんも面をくらいながらも有紗に確認をとった。もっとすごいものを要求してくるのかと思ったのだろう。

「ええ。寶石なんて興味ないし、大金渡されてもお金の概念が私達のいた世界のお金と違っていたら意味ないし、名譽なんてのもどうでもいいし。私達に必要なのは『元の世界に帰る手段』、それだけよ」

「……」

それを聞いてシルヴィアさんは唖然として言葉が出てこなくなった。

「どお? それを報酬にならけるけど?」

有紗は皆に向かってそう問いかけた。しかし、皆、唖然としたままだれも口を開かない。いや、口は多開いてはいるが、まったく言葉を発さない。

「…うむ。分かった。君達がこの世界を救った暁には、君達のいた世界に無事送り屆けることを約束しよう。マルクス技開発長!」

「はっ!」

しばらくしてようやく口を開いた國王は有紗の提案に賛同し、マルクスさんに聲をかけた。マルクスさんは敬禮をしながら返事を返した。

「うむ。転移裝置の復舊はどれくらいかかりそうかね?」

「先程調べたところ、裝置の部品に損傷箇所は見當たりませんでしたが、起は全くしませんでした。おそらく、裝置自の壽命を迎えてしまったのでしょう。そうなると1から作らなければなりません」

「うむ。それで? 完の目処は立っているのかな?」

「はっきりとは申し上げられませんが、私の祖父の代の時は3年かかったようなので、2年、いや、1年半を目安に今すぐにでも取り掛かる予定です」

國王とマルクスさんはなにかやりとりを始めた。話の容から察するに転移裝置に関することのようだ。

「うむ。そうか」

マルクスさんの話を聞いて、國王はふむふむとひとりで何度も頷いていた。

「1年半、そんなにかかるんですか?」

そんななか、みのりが不安そうな表を浮かべながらそう呟いた。

たしかにみのりの言う通り、1年半はちょっとかかり過ぎる気がする。現実世界から1年半も消息を経っていたら、とんでもないことになるぞ。

「ああ。君達はあまり気にしなくても大丈夫だと思いますよ。転移裝置にちょっとだけ手を加えて、元の世界の元の時間まで戻れるようにしますんで」

「そ、そんなことできるんですか?」

「まあ今はあくまで私の頭の中で考えた理論でしかありませんが、先進國アルディーン國技開発長の名に恥じないよう全力を盡くすつもりです!」

だがしかし、マルクスさんは自有り気にそう語った。よっぽどの自があるようだ。

「うむ。彼がそこまで言うなら私達に異論はないが、君達はどうかな?」

マルクスさんの発言を聞いた國王は俺達に異論がないか問いかけてきた。

「ええ。任せるわ」

特にだれも異論を唱えようとする人がいなかったからか、有紗が俺達の意思を代弁するかのように國王の問いかけに答えた。

「うむ。では、宜しく頼むぞ、若き有者達よ!」

有紗の返事を聞いた國王は激勵の一言を送り、話し合いはお開きとなった。

それにしても、有紗のあの國王相手でも我を通すところにしばかり心してしまった。ヒヤヒヤさせられたところもあったけどな。

きっと、有紗は大になるのだろうなと俺は思った。

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